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BAR BIG BONUS#2 パイロテクニシャンズ
BAR BIG BONUS#2 パイロテクニシャンズ
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岡井モノさん
「ダメです」「反応ありません」「完全に沈黙しました」 サーバーが不安定な時は使徒に襲われたネ○フみたいな雰囲気になる愉快な編集部です。 - 投稿日:2016/04/27 19:31
私は業界タレントがよく集まるバーの雇われマスター。
店の名前は「BIG BONUS」。
パチスロ好きなオーナーが開業時に、BARという響きを嫌い、せめてもの縁起かつぎにとつけた名前です。
話は記憶を頼りに書いているため、【間違っている部分も多いと思うので、鵜呑みにしないよう】お願いします。
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グラスを拭いていると、オーナー自慢の重厚な檜造りのドアが開いた。
いらっしゃいませ……おや?
「おぅマスター、ごぶさたでい!」
閃光の青とも呼ばれる青い半被の彼が、軽く片手をあげながら入って来た。いつも通りの威勢の良さだ。
これはこれは、本日はご兄弟で。
粋な半被と鉢巻がトレードマークの、そっくりな顔をした3人が並んでカウンターに着席した。彼らは4号機時代に鮮烈的な登場を果たした花火職人の兄弟。シリーズと共に成長したスロッターも多く、抜群の知名度を誇る3人だ。
「日本の酒場は久しぶりでい」
「うまい酒を頼むぜい」
それぞれ注文を受け、手早く酒を提供する。
珍しいですね、お三方が揃うなんて
「今日はオイラの『HANABI』ヒットのお祝いだったんでい」
そうでしたか青ドンさん、確かに増台に次ぐ増台、パチ7さんでも2015パチスロMVP受賞だとか。
「改めて言われると照れるぜ、まぁおかげで忙しく働かせてもらってるぜい」
デビュー当時からメーカーの顔として目覚ましい活躍でしたね、ええと、もう20年近く前になるでしょうか。
「そう、オイラ青ドンちゃんのデビューは98年の『ハナビ』!出目・音・フラッシュ演出の三拍子が揃い、パチスロ攻略の楽しさを広めた大ヒット機種でい」
「自分で言うのかい(汗)」
赤ドンさんが口をはさむ。
いやいや、誇っていい実績ですよ、確か『遅れ』を初めて搭載したのもハナビですよね。
「おう、あれは画期的な演出だったな!」
「遅れはもともとバグじゃ…」
緑ドンさんが言葉を投げた。
「ま、まぁ怪我の功名ってヤツでぃ…それに15枚役目押しは中リールのみ、ハズシは2コマ猶予と初心者にも遊びやすい、懐の深ーいデザインなのよ」
実際完成度の高い台で、多くのスロッターに愛された台だった。本人が熱く語るのも頷けるものでしょう。
「それで大ヒットからシリーズ化して…「おっと、そこから先はおいらの出番でぃ!」
赤い半被にねじり鉢巻きの彼がずいと前に出る。
鼻息荒くまくしたてる彼は灼熱の赤こと赤ドンちゃんだ。
「99年登場『大花火』。当時パチスロを打っておいらを知らなきゃモグリだぜい!なんと言っても当時の最高獲得枚数を711枚を実現したインパクトは抜群、それでいて3連ドン狙いの制御ハズシもあって遊びやすさも健在、上級者から初心者までに支持されて、前作を上回る大ヒット機種になったんでい!」
「自分で言うのかい(汗)」
今度口をはさんだのは青ドンさんだ。
「あたぼうよ、ベテランスロッターにパチスロの思い出を語らせたら、オオハナの名前を出すスロッターは未だに多いんだぜ。当時は暖簾ビタ押しハズシが目押しの力量を図る基準にもなったもんさ」
「続いて00年に出たのが『ドンちゃん2』。オイラのデビュー作だよ」
「おっ、おい緑ドン、まだ大花火の魅力を語りつくしてないぜい」
調子がでてきたところに割って入られた格好になった赤ドンさんが不服を述べる。緑ドンさんは冷静に話を続ける、心なしかやや元気が無い。
「大花火の魅力はみんな十分知ってるぜい、大丈夫、手短に話すから。ドンちゃん2はアルゼは本格的な液晶演出機の原点とも言える台だ、配列上右リール適当押しが出来なくなったりと変化はあったけど、基本はまぎれもなく花火のゲーム性を踏襲していたぜい ……おいらとしては躍動の緑として活躍する5号機時代の方の話をしたいけど」
「そうだな、ちょっと時代を進めるぜい。マスター、同じものを」
緑青の二人が同時におかわりするカクテルは日本酒ベースのサムライだ。赤ドンちゃんが小さな声で「百景…」とつぶやいていたが、聞こえていないのかそのまま5号機時代の話題に移っていった。
思えば青ドン、赤ドン、緑ドンと独立したキャラクターとして個性分けされたのは5号機に入ってから。名前毎の機種名でそれぞれがノーマルタイプ、セット式ART、G数上乗せループタイプ等で違ったゲーム性を打ち出してきた時代になった。
ほどよくアルコールも入り、頬を赤らめるドンちゃん3人。それぞれが思い出話に花を咲かせ盛り上がった頃、誰からともなくもっとも活躍したのは誰かという話題になった。
「まぁ今回のHANABIの完成度は見事だけど、5号機時代のシリーズを牽引してきたおいらのワールドワイドな活躍は忘れないで欲しいな、エクストリームラッシュ!」
「てやんでい、緑のは前兆ばっかりで何から何まで重くて、結局天井や特化ゾーン事故待ち台って評判だったぞ。派手さだけじゃなく和の心も大事だぜい、例えるなら京都とかー」
「いやいや、そういう赤のだってARTポイントが全然貯まらないうえに、いざ突入しても純増が不安定だってんで、お墓で迷子になるだけの台って言われてたじゃねえかい。男はやっぱりノーマルタイプよ」
「おいおい、青のアニキは今回のHANABI以前は出るたびに余計な機能つけるなって言われてたの知ってるぞ」
普段は仲の良い兄弟だが、アルコールも手伝ってか、それぞれの発言が熱を帯びてきた。
ま、まぁまぁ、それぞれ思うところはあるかもしれませんが、少なくとも期待の集まった台ばかりでしたよ、評価はどうあれ作りは丁寧でしたし。ちょっと前には『ドンちゃん祭』で仲良く共演していたじゃないですか。
「え、ああ…」
「ドンちゃん祭ね…」
「た、楽しい機種だったよな…」
三人の歯切れが微妙に鈍る、悪い事を言ってしまっただろうか。
「今こそワシが主役の台を出すべきじゃろう!」
声と同時に店のドアが勢いよく開き、髭を蓄えた初老の男性が入って来た。
3人のドンさんが目を白黒させる。
「げっ、親方!?」
「こんなところで油を売ってたとは、ドンよ、ワシに一度主役を譲れい!経験豊富なワシが初心者からベテランまでを楽しませてやるわい」
店内に飛び込むように入って来た男性は親方と呼ばれるベテラン花火師、七屋花火店を経営するドンちゃん達の師匠だ。
しばし沈黙がおとずれる。兄弟三人がどこか言いづらそうに親方に視線を送る。私もその視線の意味をわかっていたが、どうにも言葉にするのは気が引けた。
意を決した三人が申し訳なさそうに口を開く。
「あ、親方…その…」
「なんじゃ、言うてみい」
「親方が主役の台、もう出てます…15年前に」
「ふがっ!?そうじゃったっけ?あまり記憶にないのう」
「『ハナビノオヤカタ』…リール図柄20個の珍しい台でしたね…」
(※当時多くの機種のリール図柄は21個、ちなみにオヤカタの滑りは最大3コマ)
「……ヒットしなかったの?ワシ」
「……」「……」「……」
「ま、まぁ飲みましょう、親方も!マスター、ビール追加で!」
ヒットシリーズにも浮き沈みはつきものです。十分な機能を備えながらも、時代に恵まれない機種もあります。沈んだ時代にも負けずに向き合うことができる台こそが、大輪の花を咲かせるのでしょう。そう、打ち手の要望を見事に応えたHANABIのように。
別の席からピニャ・コラーダの注文が入った。
ラム・ココナッツミルク・パイナップルジュースをシェイク、グラスにカットしたパイナップルをあしらい完成させる。
亜熱帯地域はプエルトリコ生まれの、このカクテルを提供する席には女性が一人。
こちらをご注文のお客様はーー
SEE YOU NEXT BONUS…
7
岡井モノさんの
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このコラムへのコメント(10 件)
親方の違和感は皆さんが指摘されますね。
あの女性は、次の機会を期待しましょう。
百景は超つまらなかったのを覚えてるw
親方のリールが遅く感じたのを思い出した〜!
あれ!?女子がいないぞ!?
あの女性は販促PV等の出演時にはブラックなキャラが顔をのぞかせます、酒の席では波乱がありそうですね。
デカドン…色別に別のキャラ扱いにしてない時期だったので、そのへんは公式でもうやむやなのでしょうかね。
演出の進化と共に歴史を感じますね。
感覚のズレと滑りの3コマで、ベテランスロッターほど打ちにくい機種だったみたいですね。
あの女性は…いつの日か来店いただけるでしょうか。
コメント感謝いたします。
私もくりくり。さんのような漫画の才が欲しい今日この頃です。
銀玉達の行方をいつも楽しみにしています。
いや、面白かったですよ!
あぁ、その場に私がいたら一生懸命あの台の良さを語れたのに!
しかし、この三人がいるのなら是非あの女性の話をしていただきたいなぁ…。
遅れが分かった時の快感っ‼︎versus党の僕をも虜にしましたね、当時。
トロピカーナのボーナス確定の遅れとは違うチャンス予告としての遅れ。
画期的でしたね(遠い目)
20年も前か…
なんか気持ち悪くて。
三兄弟を翻弄するあの女性はいつ出てくるのですか…?
特に4号機知識の無い僕は当時の状況など全く分からないので、見ていて勉強になります。
文章も秀逸です。
いつも感服しております。