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BAR BIG BONUS#1 ジ・エンターテイナー
BAR BIG BONUS#1 ジ・エンターテイナー
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岡井モノさん
「ダメです」「反応ありません」「完全に沈黙しました」 サーバーが不安定な時は使徒に襲われたネ○フみたいな雰囲気になる愉快な編集部です。 - 投稿日:2016/04/17 00:00
私は業界タレントがよく集まるバーの雇われマスター。
店の名前は「BIG BONUS」。
パチスロ好きなオーナーが開業時に、BARという響きを嫌い、せめてもの縁起かつぎにとつけた名前です。
話は記憶を頼りに書いているため【間違っている部分も多いと思うので、鵜呑みにしないよう】お願いします。
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その日も常連さんが来店されました。
「やぁマスター、また来たよ」
そう言ってカウンターの端に座るピエロの彼は業界でも古参の一人であり、今だ第一線で活躍するパチスロ界のスーパースターとも言うべき人物だ。
「いつもの」という彼の注文にマティーニを提供する。グラスに口を付け、一息ついてから彼は話し出した。
「マスターのマティーニは相変わらず絶品だね、景気はどう?」
ありがとうございます。ジャグラーさんほどじゃありませんが、おかげさまでなんとかやってますよ。
店の味を褒められて悪い気になるマスターはいない、この気配りが彼が長く愛される理由の一つなのだろう。私は続けて彼の近況を聞くことにした。
先日出た新機種の評判も上々、もうホールじゃ敵はいないんじゃないですか?
「いや、そんなことはないよ。毎月いろんな機種が出る移り変わりの早い業界なんだ、少しずつ変化させなきゃいけないし、ホール全体が盛り上がってこそジャグラーも楽しんでもらえるんだよ。それにボクも今でこそ定番なんて言われているけど、はじめからそんなに支持されていたわけじゃないしね」
私が知っているのは人気者のジャグラーだけだと言うと、じゃあ昔話をしようかと彼は続けた。
「ボクがデビューしたのは1996年末のことさ、『サーカス3』っていう先輩機種の後を継いで世に出たんだ。もともとは『ピエロ』って名前だったんだけど、他社が同名商標を持ってるってことで『ジャグラー』に変わってね。自分で言うのもなんだけど、当時から完全告知のゲーム性は完成していたと思う。でもね、ホールではあまり相手にされなかったんだ」
ゲーム性は完成していたんでしょう?一体何故……あ、GOGOランプがまだ搭載されていなかったんですか?
私がたずねると彼は首を振って答えた。
「逆だよ。それどころか『サーカス3』、その前身の『クリエーター7』にも告知ランプは搭載されていたんだ。ただ全く機能していなかった、というより多くのホールが告知ランプを切ったり遮光したりしてしまったんだ」
どういうことですか?
「時代の流れなのかな、当時は大量リーチ目や技術介入要素の多い機種が人気だったからね、GOGOランプも含めて完全告知は無粋な存在とされてしまったのさ。あとはいわゆるモーニングと言われる開店時からボーナスを仕込む営業をするホールも多かったから、ランプの存在が不都合だったんだろうね」
当時を思い出したのだろうか、少し暗い表情で彼はグラスを傾けた。
「ボクはじっと機会を待った、幸いにも当時は新台入れ替えも年に数えるほどしかなかったから、稼働が良くなくてもすぐに撤去されることはなかったんだ。もし今、全くの新台としてジャグラーが出たら3ヶ月も持たずに撤去されてたかもね」
い、いやいやジャグラーの無いホールなんて想像できませんよ。むしろ今出たら画期的な機種として人気が出そうですし。確かに今の入れ替えサイクルは早すぎると思いますが……
「あはは、そうかもね。いつの間にか周囲はAT機ばかりになったよ。あ、でも最近はユニバーサル系で懐かしい顔ぶれが帰ってきてるね。——ええと何の話だっけ、そうだ、導入当初は人気が無かったって話だったね。それでも待ち続けたボクを幸運の女神は見捨てなかったんだ」
私の相槌を待たずに彼は話を続ける。
「理由はいくつかあると思うんだけど、さっき話したモーニングも禁止される地域が増えてきたってこと、あとは雑誌で【独自乱数の荒波マシン】なんて紹介されたことの反響もあったかな」
荒波マシン?ははあ、さては裏モノ化をきっかけに人気が……
「違う違う、今でも言うでしょ、ジャグ連って。合算の軽さからくる自然な連チャンだよ。もっともそれ以上の何かを期待する人たちもいたんだとは思うけど……あとは気軽にスロットを楽しみたい打ち手のニーズがあったんだ。パチスロの遊戯人口が増加する中、流行とはいえ知識・技術介入を好まない人も多かったからね。ランプさえ見ていればハイエナされないならリーチ目を覚えられない初心者や高齢者も安心でしょ」
なるほど、潜在的な打ち手の要望を見事にかなえたわけですね。
そうなんだ、それまでは鳴かず飛ばずで事務所が潰れるって言われていたんだけど、設置から半年以上たってからオファーの電話が増えだしてね。生産が追い付かなくて断ったくらいだったよ」
紆余曲折あったにせよ、おさまるところにおさまった感じですね。
「まぁ、うまくチャンスをつかめたのがよかったね」
大切なランプの下にも描かれてますしね、『CHANCE』って。
「それね、たまにチャンスじゃなく『確定』だろって言われたよ、ハハッ。それからしばらくして5号機時代が来て……おっと、もうこんな時間か。つい話し込んじゃったね、もう行かなきゃ」
そう言うと彼は席を立って会計を済ませる。
是非またお話を聞かせて下さいね。
「うん、また来るよ」
足取り軽く夜の街に消えていく姿はどこか楽しげな印象を残す、彼は生粋のエンターテイナーなのだろう。
見送りをした後に店内に戻りカウンターを軽く清掃する。グラスを拭いていると、オーナー自慢の檜造りの重厚なドアが開いた。
いらっしゃいませ……おや
次のお客様は――
SEE YOU NEXT BONUS…
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岡井モノさんの
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このコラムへのコメント(20 件)
いらっしゃいませ、どうぞごゆっくり。
面白いです、一気読みしますw
昔の台はわかりづらい告知もありましたね、
今は特にAT機だと爆音鳴らして激しく発光する機種が多いですが。
粋な花火職人の彼は近日来店するかもしれません。
岡井(何か視線を感じますね…)
犬(やだ・・・かっこいい///)
ありがとうございます。
カエルさんはおそらく来店されるでしょう。ただ彼の話はどうしても長くなってしまいそうです(汗)
業界もベテランの方はやはり貫禄がありますね。
よろしければ花粉症を乗り越えて、次回をお待ちください。
おや、サーカス3現役世代でしたか。
私自身は打ったことが無いんですが、資料を見ていると図柄が妙に怖いんですよね…生気の無いパンダの表現は妙に納得してしまいました。
皆浮き沈みの人生を送っているんですね。
あきうめさくら様もコラムを拝読する限り相当な波乱を感じます。