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犬を巡る冒険。-後半-
犬を巡る冒険。-後半-
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さん
- 投稿日:2015/11/07 21:00
「とにかくビニール紐じゃ可哀想だ」
と、言うことで保護場所から20分ほど歩きペットショップへ。ハーネスを試着しようとすると酷く嫌がる。首輪に触れられたくない犬ってのは以外といるのでリードのみ購入。少し店員さんと話していると、
「スピッツですよね。多分。」
そうなのよ。この子スピッツ犬なのよね。酷く汚れてはいるけど・・・・。まぁ何はともあれ警察だ。また15分ほど歩き警察へ。この時に散歩に対するしつけが行き届いている事に気づく。本来「正しい散歩の姿」は、犬は決して人間より前に出ること無く、常に一歩後ろを歩くモノなのだが、驚くほど出来ている。飯も食って落ち着いたのだろう。少しだけ、振る舞いが飼い犬になってきた。
警察では迷い犬はあくまで「遺失物」勝手に持って帰って良い類では無い。少し面倒な手続きを済ませ、保護の許可を頂く。最初の通報からすでに時間が経過しているが、警察に迷い犬の届出は出ていない。嫌な予感がしてくる。
犬飼にとって犬は立派な家族だ、数時間でも行方が不明になれば、まず一番に警察に届出が出る。むしろ変に事故にでも会うまでにすぐ届出を出すのは常識。白いモフモフスピッツを撫でながら、家族との再会を願う。
警察への申請が終了した所で、地域の愛護団体や保護団体と連絡を取る。やはり・・・届けが出ていない。嫌な予感が消えぬまま、次の準備に取り掛かる事にした。
しつこいようで申し訳無いが我が家にいる先住民の幸せが自分にとっては一番。新参を迎え入れることで彼らのストレスが増えれば本末転倒だ。しかもスピッツ犬は我が家のチビどもより大きい。まずは会わせる事にした。最悪2階の空き部屋でしばらく過ごし、時間をかけて距離を縮めて行くか・・・とか考えてた。
カズとリョー(我が家の犬)との対面は驚く程好印象。カズは心優しい犬なので不安ゼロだったが、リョーは少しばかし面倒になるかな。なんて不安も少し解消。続いて連絡を取ったのは大家さん。
このアパートは犬の上限が2匹。やはり大家さんは「ダメ」と言う。こんな時に自分が口の立つ人間で良かったと心から思う。説得に入った。長い格闘の末、「家賃3000円増し」と言う訳のわからない条件で許しを貰う。これで、スピッツの一生を面倒を見る準備の半分が終わった。
自宅で動物病院を探す。大事なのは「保護活動にも力を入れている病院」都会なだけあって存在するが若干遠い。レンタカーを借りて連れて行くことに。一通りの検査と自宅準備の為の一泊を予約。ホテルも兼ね備えている病院だから話がスムーズだった。
車を借りて乗り込ませようとするとスピッツが言うことを聞かない。半ば無理やり乗車させると震えている。車に嫌な思い出があるのだろうか。それでも道としては通らない訳には行かない。ウチで暮らすなら俺の事を信じて貰わなければ行けないし、今は我慢して貰う。
動物病院で検査と共にシャンプーを願い出る。白いモフモフがもっとモフモフになった。いいねぇ。モフモフはとても良い。
検査を終えて数値を見るといたって健康。事前に高カロリーな食事を与えていた事を踏まえても驚く程良い数値。愛されてたんだな。きっと。どうにかして家族に再会させたい思いと、これから彼女(あ、メスです)と過ごす時間を想像して、頭の中がグルグルする。すると、検査を終えた先生から思いもよらぬ一言が。
「マイクロチップが入ってますね。」
驚いた。そして盲点だった。マイクロチップはペットショップで購入をする際などに埋め込まれている場合がある。今まで保護してきた迷い犬に全く入って無かったので、完全に頭から抜けていた。そうか、純血犬ならありうるな・・・。
チップリーダーで読み込もうとするも、上手く行かない。何度も先生が試みてくれる。頼む、反応してくれ。
「ピッ」と読み込みを完了して、先生が数字を見る。さすが愛護に力を入れている病院だ。すぐに国内で登録されたチップと判明する事が出来て、専用の端末で登録先を探してくれた。しかし、個人での登録先は無し。望みはチップを管理する会社のデータとして残っているかどうか・・・。
ちなみにチップの入った犬を購入し、「当初は生涯愛するつもり」だった飼い主が途中でサジを投げ、もうウチとは関係無い。なんて話も世の中には腐るほどある。過度な期待はするべきじゃないが、検査時の数値が「愛された証拠」だ。頼む。見つかってくれ。
時間がかかった。待合のソファーで座っている時間が酷く長く感じた。その間にも何匹もの犬が飼い主と共に病院を訪れ、去って行った。動物病院に良い思い出のある動物飼いなんて居ないだろうが、ここに来ると、いつも家族の絆を垣間見れる気がして、僕自身は動物病院がそんなに嫌いじゃない。
先生が来た。飼い主が、見つかりました。 と。
ことの事情はこうだ。チップの先に登録されていた飼い主は、飼い主の都合で現在この街には居ない。 飼い主の母親(老人)に預けてさして間がない。老人が目を離した隙に脱走をした。老人が探したそうだが見つからず。今に至るとの事。
この国で犬が物である以上、何も言う権利は僕には無い。勝手に保護して勝手に病院に連れて来ただけだ。一言、「迎えに来て頂くことは出来ますか?」とだけ聞いた。母親が行きます。との事だった。
今まで、迷い犬と飼い主の対面を何度か見てきたが、感動的なシーンを見たこともあれば、そうじゃない事もあった。前者は抱きしめ、後者は言葉の通じない生き物に説教から入る。今回は、どっちだろうな。。
すっかり陽も落ち、暗くなった。そういえば、今日は洗濯機を買おうとしてたんだな・・。
一台の車から家族が降りて来る、老人と、若い母親と子供が二人。スピッツが反応した。この家族か、いい車に乗ってるな。老人が僕と言葉を交わす前にスピッツの名前を呼ぶ。ナナ。白いモフモフは飼い犬である事が証明された瞬間だった。
ナナは飛び出して行くこともせず、僕から離れようともしない。そしてお約束の「説教」が始まった。すぐに僕との会話に移り、一番に金の話をされた。病院代とか検査代とか。「お礼」とか。
全く裕福じゃない自分に苛立つが、受け取る事は拒否した。受け取らない事しか、抵抗が出来なかった。
リードを渡し、ナナが離れて行く。もしこの世に「犬の幸せ」なんて都合の良いものが存在すれば、なんなんだろう。いつも疑問に思う。それを考える事を辞めれたら、1つ大人になれる気がするが、修行が足りない。まだ、わからない。
レンタカーを返さなきゃな。
と嫁ちゃんに言うと。「今日は美味しい物が食べたい」と彼女が言った。でも、無性にチビどもを撫で回したいね。と、俺の顔を覗き込んで言う。俺は、「今日も皆で寝よう」と言うのが精一杯だった。
家に帰れば自分を迎えていれてくれる犬が居て、貧しいけれど愉快な我が家。それでいいし、それがいい。しかしまぁ、こんなにも迷い犬と出会う人生なのはどうにかならないモノか。才能かなぁ・・・。
※パンを物色する白いモフモフ
※綺麗になったナナ
8
さんの
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このコラムへのコメント(3 件)
僕は嫁ちゃんのおかげでまた動物と向き合う事が出来ました。これも運ですな。いろんなことに優しく出来て、いろんなことに優しくされる世界であって欲しいものです。
>>ながもん
ほんまそれですわ・・。読んでくれてありがとうね。
かと言ってあーだこーだ言える口も持ち合わせてはおりませぬ。
非常に複雑な心中、お察しすると共に、全ての飼主がジェット君みたく優しい心を持ち合わせていなかったり、更にはパートナーとして暮らすには不十分な環境であったりする現代社会。
とりあえず、お疲れさまでした。