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とある地元のホールの最期に導かれた日 前編
とある地元のホールの最期に導かれた日 前編
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かちょーさん
モブ子に恋することってありますよね - 投稿日:2022/03/18 23:09
2022年1月31日。
この日をもって旧規則機の殆どが一律撤去され、それに伴い同月、多数のホールが閉店・無期限休業となった。パチンコ業界における「Xデー」とも表された一日である。
閉店したホールの一例を挙げると、「グリーンピース新宿本店」や「スロットマグマ」といったユーザーからの支持の厚いお店から「エスパス日拓渋谷スロット館」、「SAP松原」、「パチンコ&スロットアルファ町田店」といったチェーン店まで。比率こそ中小ホールが多いものの、様々な形態のホールが閉店・休業していることからパチンコ店の経営の厳しさが感じられる。
しかし、そんなXデーは僕にとって無関係だった。いくら有名店が潰れようがチェーン店が潰れようが地元の住民が客としてついている僕の地域は大丈夫。Xデーの前日である1月30日だって「あのホールは今週何を導入するのかな」と楽観的な気持ちでp-worldを検索していたくらいだ。
僕の地域のホールはきっと大丈夫。
明日も明後日も営業を続けるだろう。
「………え?」
Xデーなんて無関係。そう思っていた。
「おい、冗談だろ…?」
地元のホール「N」が明日、閉店するという告知を見るまでは。
そのホールを一言で表すなら「古臭いホール」。そんな言葉が似合うお店だった。
例えば設備やホールの内装。それらは一昔前の機械・デザインであり、西洋風な階段のつくりやカーペット、床や壁などの装飾は時代錯誤感があってどうしても古臭い印象を受けてしまう。
また接客態度もあまり良いものではなかった。大手チェーンの圧倒的な接客レベルに毒されてるのかもしれないが、それでもすれ違った時の挨拶がなかったり表情やお辞儀の角度など色々と気になる点が多かった。マル○ンが一流ホテルレベルならこちらはスーパーやコンビニだろう。
そして設置している機種はパチンコであればP機初期、パチスロであれば6号機初期の台が大半を占めており、多くのホールがバラエティに1台だけ設置してあるような機種でもここでは複数台設置していた。
おまけにパチスロに関しては一部の機種を除きリセットをしていなかった。データカウンターは0回転なのに台はエンディング画面になっていたりと隠す気がまるでないのが逆に清々しい。
最新の設備は無く、接客も一昔前のスタイル、そしてパチスロは中古台の据え置き___そこだけを見ればこのホールが閉店するのはさも当然だと思うだろう。
ただ、このホールに「無い」のは悪いものばかりではなかった。パチスロにおいて忌み嫌われるであろう「設定1」。それが殆ど無かったのだ。
これは実際に設置されている機種を複数打って分かったことなのだが、「出率が100%を超える設定は使わないが、できる限り100%に近づける設定を使う」という営業スタイルを「N」は貫いていたのだ。
また、ノーマルタイプの機種は更に甘く調整していたのか、データランプの連日データを照らし合わせてみると設定3以上(アクロス機は2以上)の合算になることが多かった。
無論、その入れ方は常連も理解していたのかニューパルサーSPⅢやうまい棒といった機種にも一定の稼働が付いていた。また合わせて7台しか無かったマイジャグ5とファンキー2は昼過ぎになると空き台があることが珍しいまであった。
それに甘いのはパチスロだけではない。パチンコだって人気の高い海物語やフィーバーパワフル、ナナシーやクイーン等の機種は等価ボーダー+1前後の調整が多かったし、遊タイム搭載機をリセットしていることはなかった。
設備やサービスだってモノ自体は確かに古かった。けれども休憩スペースやトイレはいつだって清潔だったし、コストカットの為におしぼりを紙に変えることはなかった。
接客だって単にやる気がなかったのか、時にはお辞儀をされることすらなかったけど…それでも足の悪い常連客を自ら支えながら椅子に座らせていたことを、僕はハッキリと覚えている。
「N」は傍から見れば最新台もなく若年層の居ない、時代に取り残されたホールのように見えるだろう。しかし実態は地元の住民客のことを第一に考え、その上で今有るものから結果を目指すホールだったのだ。
そんな「N」が、明日閉店してしまうのだ。
僕はこのホールが閉店するだなんて一切思っていなかった。設置している機種の殆どが6号機やP機になっても大きな客離れは起きていなかったし、何ならこの直近には「花の慶次3」を導入していたことから資金繰りにも余裕があるのだろうと考えていた。
運営している元締めに何かあったのだろうか。
それとも既に自転車操業だったのだろうか。
はたまたあの古い建物の老朽化だろうか。
何にせよ、明日の営業を以て「N」は無くなってしまうのだ。怒ろうが泣こうが、その事実は変えようが無い。
…僕はこのホールの常連客とは言い難い存在である。それでも長年、常に客のことを思って営業し続けていたこのホールに少しでも敬意を払いたい。
なら、僕にできることは何だ。
あのホールに朝から行って、負けてもいいから最期の姿を見届けること。それが僕にとって出来ることでありすべきことだろう。
1月30日23時10分。
「Xデー」の前日。
その夜、僕は思いを決めて眠りについた。
10
かちょーさんの
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このコラムへのコメント(4 件)
今のユーザーが求めてるのは基本ベタピンで月に2~3回程度特日を設けるホールなのかな…とこういうホールがなくなるたびに思ってしまいます。
某漫画家さんが言ってましたが、遊ばせる気のない、客を選り好みする効率的に搾取する店などしかなくなってしまった。
本当に楽しんでもらうことも目的とした店はもう失われてしまったのか。
などとありましたが、まさに遊ばせてくれる優良店はN店のことですね…
寂しいっすね…
こういうホールが潰れるのってさみしいですよね…