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気づけばソコへと足を運んでいる
気づけばソコへと足を運んでいる
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なるしまさん
- 投稿日:2020/05/17 17:30
始まりはいつだったか。繁華街にあるメダルゲームをしにゲームセンターに親や友達と遊びに行っていた。
お小遣いを握りしめメダル貸出機へと向かう。
カップに入ったメダルを持ち、好きなメダルゲーム機に着席する。
メダルに触れているとどことなく落ち着き、あのがちゃがちゃと色んな音がする世界は私を孤独にさせてくれた。というか、孤独でいることに違和感がないように感じさせてくれていた。
そんなにうまくない私は得たメダルをゆっくりと、かつ着実に減らしていった。手元に残る数枚のメダル。そして小銭。それを持って向かうはスロットコーナーだった。そこには4号機や5号機が並んでいた。打ち方もわからず、説明書をみながら打つ。すると見ず知らずのおっちゃんが話しかけ打ち方を教えてくれる。
警戒しながらも耳を傾け。教えた通りにできると一緒に喜んでくれる、その時は孤独であることよりも人と触れ合える喜びの方が勝っていた気がする。
ただ、そんな中で唯一現実に引き戻す場所があった。
フロアとは違い少し薄暗く独特の臭いを放つ。冬には冷たい”ソコ”に座り、辿り着くまでに”感じていたもの”を一瞬消し去る。
私はそれだけが嫌だった。
20歳を過ぎ、ゲームセンターで触れていたスロット機ではなく最新のものに触れてみたいと思った。働くようになり、お小遣いから給料へ昇格し、使える金額が増えたことにより世界が少し広くなったように感じた。
パチンコ店はゲームセンターと同じく私に孤独をくれた。たまに店員に話しかけられることはあるが、さらりとかわし、ただひたすらに演出に没頭する。
ふと席を経ち、ある場所へと向かう。
ここもどうせ現実に戻すのだろう。そんな風に思っていた。
現実から逃げていたい私はできれば行きたくない場所。
なのに。
なのに、このパチンコ店は違った。
フロアと変わらない明るい照明、優しく甘い匂い、季節に左右されることのない”ソコ”はまた別の世界を見せてくれた。
いつだって綺麗に整えられている場所。そう、ソコはお花を摘むだけではもったいない空間。遊技のためにではなく、ソコへ向かうためだけにそのパチンコ店に行くことだって多くある。
今、コロナにより多くのパチンコ店が自粛要請に応え店を閉めている。
仕事の帰り道、それは突然に襲ってきた。不規則な波として。そしてその瞬間に改めて思う。
パチンコ店はなくてはならない存在なのだと。
私はいつだって欲している、あの空間を。
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なるしまさんの
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