目押しをマスターしよう（理論編）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

いつの時代も、スロッターにパチスロを好きな理由をたずねると「自分で大当たりを揃えられるのが楽しい」が上位に挙がります。同様に、パチスロが苦手という理由でも「目押しができないから」が挙がります。パチスロがパチスロである所以ですね。そんな“目押し”を最初のテーマとします。

たくさんのパチスロライターがいますが、これをテーマにする人はほとんどいないでしょう。上達したいという方が、どれくらい回っているリールを見えているのか、見えていないのかはわかりません。また、教えようと思ってもパチスロに慣れ親しんでいる側の感覚論となりがちで、とても難しいものなのです。

目押しとは、音楽＋スポーツです！

まだパチスロに慣れていない方にも伝わるように、ほかのジャンルも交えて解説していきたいと思います。今回は理論編なので、まだパチスロ台に座る必要はありません。その前にできるトレーニング方法を紹介します。

上手い友人に教えてもらってもコツをつかめず、諦めてしまっている方。なかなか精度が上がらないというカベにぶつかっている方。たまに教える側となるけど、説明が難しいと思っている方。そんな皆さんへのヒントとなれば幸いです。

目押しってなんぞや？

目押しとは、目で見て押すことではありません。“出目を狙って押す”という意味です。出目とは、全リールが止まった時の絵柄の形で、意味があるものもないものも。初心者の方は、わかったら面白いんだろうな、損しないんだろうな……くらいで。まだ深く考えなくてもいいです。

では、どうやって絵柄を狙って押すのか。やはり目でしっかりと見ます。リール窓に狙いたい絵柄が通過したのを確認し、それが1周りして帰ってくるタイミングに合わせてストップボタンを押す。これが基本です。

上級者は、回っているリールをざっと眺めて、押したい絵柄を見つけてからタイミングを取り始めます。しかし、目押しができない方の多くは、いきなりそのやり方をしようとしても挫折するかと思います。見える絵柄という手がかりを見つけられていない方は、まだリズムもつかめていなく、探し方のコツもわからないからです。

だとしたら。リールが１周するリズムを先に覚えてしまえばどうでしょう。そのリズムに合わせて、視線をリール窓の上から下に流す。合っていれば、同じ絵柄が通過することになります。そこに目立つ絵柄があれば、以前よりも見やすくなるはずですよね？

リズム感がないという方も大丈夫。覚えるリズムはたったの1つです。

1周のリズムを覚えよう！

リールの回転は、1分間に80回転を超えてはならない。ストップボタンが有効となる状態では、リールの回転速度は一定でなければならない。そのように法律で定められています。興味のある方は「風適法　別表第5」で検索してみてください。

下限が定められていないため、機種によって回転速度が微妙に違っているのも事実です。ただ、あまりに遅いと誰でも目押しができるようになってしまいますし、ストップボタンを押してからリールが停止するまでの時間にも制約があるため、ほぼ全機種が1分間に79.5〜79.9回転となっています。

（参考）1分間あたりの回転数
『黄門ちゃま喝』……79.58回転
『レッツ』（4号機）……79.79回転
『ミリオンゴッド神々の凱旋』……79.92回転

時間に直すと、1周あたり約0.75秒です。こんな短い時間は、私も日常生活で意識することがありません。そこで出てくるのが、音楽からのアプローチです。

音楽用語に、BPMというものがあります。“ビート・パー・ミニット”1分間に何回リズムを刻むかを示す数値です。この数字が大きいほど速い曲。小さいほどスローな曲となります。ちなみに、SMAPの「世界でひとつだけの花」はBPM100あたりです。

リールは1分間に約80回転。つまり、BPM80で刻むリズムが、リール1周の速度とほぼ同じになります。

このサイトをご覧になっているということは、スマホかパソコンをお持ちかと思います。「無料　アプリ　メトロノーム」で検索して、ダウンロードしてみてください。BPMを設定できるようになっているので、数字を80に合わせて作動させ、BPM80のリズムを聴いて覚えましょう。

リズムに合わせよう！

リズムをつかんだと思ったら、絵柄を見てストップボタンを押す動作につなげていきます。BPM80にセットしたメトロノームを使ってのトレーニング開始です。

カチ……カチ……カチ……

この「カチ」というところに合わせて、ストップボタンを押す人差し指で机などを軽く叩いてみましょう。強打のクセが付かないよう注意。音を出したほうが、ズレていないかがわかりやすくなるかと思います。BPM80をどこまで理解できているか再確認するのも目的の1つです。

正確に叩けるようになったら、絵柄を見る準備に移ります。リズムに合わせて、目を上から下に流してみましょう。起点となる「カチ」の瞬間は、リール窓の上段に合わせます。絵柄が上段に入ってくるところをイメージしてください。目の前にリールがあることを想像し、見る意識を持つことが重要です。これができるようになると、毎回同じ絵柄がリールの上から下に流れていくことになります。

人間の目は、形状もその通りで左右には動きやすいですが、上下は訓練しないとなかなか動かないものです。最初は、首を縦に振っても構いません。私もそうでした。首を振る場合は、上目遣い気味にしておくと目の位置が固定されるので、やりやすいですよ。

最後は、仕上げの作業。目の動きを常に繰り返しながら、リズムに合わせて指の動作も加えてみましょう。毎回、叩かなくても大丈夫です。目だけの動きを3回やって4回目に指も入れるとか。最初はこれくらいがいいでしょう。実機の目押しに慣れてくると、指は1拍置きといった短い間隔や常に同時でも動かせるようになっていくかと思います。

指で叩くまでに空ける拍の数は、毎回バラバラではなく同じようにするのが理想です。何周絵柄を確認してから押すか。あなたのルーティンの基本となります。そう、ラグビーの五郎丸さんのキックまでの過程のようなものです。目押しにスポーツの要素があると書いたのは、次回のテーマとなりますが、ルーティンの大切さもあるからです。

今回の練習は以上です。慣れないうちは、疲れてくるとズレてしまうかもしれません。そんな時は、休んで気分転換しましょう。また、長時間やる必要もありません。ただ、体にしみこませるまでは、短時間でも毎日のようにやってみてください。

次回は、いよいよ実機で練習します！

次回は3月1日（火）更新予定です。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。