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オカイ☆サロン
2017.07.10
純情演出モニターJUN③ 惨状編
【前回までのあらすじ】純くんのイケない大ハッスル
「えっ、えーっと……続いてセクシー演出のテストが始まりましたね」
司会担当がやりづらそうなのは明らかに純の存在が影響している、それでも時間通りの進行に努めるのはさすがと言ったところだろうか。
液晶画面には自分も知っている有名セクシー女優が出てきた。水着で体操をするというサービスシーンを経てリーチ演出として登場したのは、「たっち☆チャレンジ」と称された画面と、中央部から引出しのようにせり出したボタン……ボタン?
一般的な円形ボタンではない、立体的になだらかな丘陵を描く、丸みを帯びた少々変わったカタチ。どこかで見たような、そう、おっぱいマウスパッドのような、男性諸君にはうれしはずかしの形状をしている。そして司会者の話だと新技術によって人肌のぬくもりとやわらかさを持った素材を採用しているらしい。
いわゆる「狙ってる」セクシー演出であり、なかなか過激だ。はたから見ていてもドキドキするし、実際触ってみたいと思わせる演出は見事なものだ。
「ハァハァ先輩こんなの出しちゃっていいんですかぁ。ハァハァちょっともうこんなえっちすぎますよ、ハァハァああもう辛抱たまらんハハァン」
案の定、純は激しく呼吸を乱して画面にかぶりついている、実際ホールに彼がいたら通報されてしまうのではないだろうか。興奮しすぎて体中のあらゆる部分から謎の液体を分泌している、女子中学生とかがこの様子を見ていたら一発で男性不信になりそうである。
たっち☆してっ
台から可愛らしい声で前述のボタンへのプッシュを促される。
もう我慢できないとシリアルのCMに出演するゴリラさながらの勢いで、つかみかかるようにボタンに触れる純。ボタンをまさぐる純。妙な声をあげる純。
「アッヒッ、ハッ……ふっ、ふぁっ、ん、んああ、はぁっ……んっ……」
シャキーーーン! おめでとー!!
台が大きな効果音とともに一層激しく光を放ち、大当たりを知らせる。
眼前で繰り広げられる痴態に本来の目的を忘れそうになるが、これはパチンコの演出だった。
「ひゃあああっ! ふぉおおおおおおおおお!」
どうやらバイブレーションもしているようだ、純の興奮も最高潮に……最高潮……に!?
「おああああっ! ほっ、ほあああああ! あっ、もうらめぇ! ひぎぃいいいいい!あっ、あっ、あああああ、おあああああああああああああああああああっ!!!」
一際大きく絶叫し足をピンと伸ばした純。ビクンビクンと小刻みに痙攣しているのが遠目にもわかった。
この様子には周囲も尋常ならざるものを感じ、騒然となる。
これで演出テストは終了らしいが、疲弊しきった姿で椅子から滑り落ちていた純が心配になった私は駆けつけて抱き起こし、乱れた呼吸が整うのを待って声をかける。
「お、おい純、大丈夫か?」
「ふうっ……大丈夫? はて、なんのことでしょう、わたしはいつでも大丈夫な人ですよ」
「いや、さっきあんなに興奮してたから」
「おや、先輩は優しい方ですね、でも心配無用ですよ、さぁ、モニター用のアンケートにとりかかりましょう」
今日の感想を書くアンケート用紙に、黙々とボールペンを走らせる純。
私はここで彼の様子が以前より変化していることに気がついた。血色の良い肌、曇りのない瞳、聞くものを落ち着かせるやさしい声。
これはまさか……
「純……おまえ、まさか賢者に……」
「賢者? たしかに晴れやかな気分ではありますが、そんなおそれ多い存在ではありませんよ、わたしはわたしです」
この感じ、間違いない。彼は興奮が頂点に達した後に訪れるという賢者の領域に入っているのだ。おかしな先輩ですねと上品に笑う彼の変貌ぶりを眺めながら、彼の純粋さとパチンコ演出がもたらす影響力をみた気がした。
そして彼を触った手が糸を引いてるので早く洗いたかった。
今回の純の姿をみて、パチンコ開発者は何を思うのか。
自分達の作った演出の反応が良かったと満足するだろうか、それとも行き過ぎた演出が打ち手に与える影響を考え直すのだろうか。いずれにせよ、現在の演出でも十分過ぎるほど満足する人間がいる、いや、やりすぎな場合もあることが周知されたことだろう。
また、我々も考えなくてはいけない。
個人の好みというものがあるので、何を選択するかはもちろん自由。しかし派手さやインパクトのみで中身のない機種にははっきりと『NO』を突き付けてやってもいい、それは悪しきに罵るということではなく、ホールでの人気にも自然と現れるだろう。
逆に好きな機種や演出は思い切り褒めてやってほしい、「この台が好き」「この演出がたまらない」、SNS等で気持ちを共有したり、設置ホールに通ってもいい、バラエティコーナーでも長生きする、大事に使われる台が開発されて欲しいし、ホールもそうした客やメーカーの気持ちを汲んで欲しい。
そうした互いをリスペクトする気持ちが、今後のパチンコ業界活性化のカギになるような気がする。
そこまで入力し、私は記事ファイルを保存した、今回の記事には手ごたえを感じる。きっと読者や編集部内でも反響があるだろう。
ちょうど今斜め前に座って、仕事のフリをしてプロ野球ニュースをチェックしている担当編集も私の扱いを考え直すに違いない。経理担当のナツミちゃんなんかは「素敵な記事で感動しました、付き合ってください」くらい言うかもしれない。
はじめは私も冷ややかな目で見ていたが、純には感謝しなくてはならない、我々は彼のような純粋に楽しむ気持ちや素直なリアクションを忘れてしまっていたのかもしれない。
そんなことを考えながら、自動販売機で紙カップのコーヒーを「砂糖多め」で購入し机に戻る。
「あっ、先輩! 先日はどうも!」
ちょうど純が編集部オフィスに顔を出した。
資料の束だろうか、よくわからない大荷物を抱えながらドタバタと近寄ってくる。
「いやー、あんな公衆の面前で僕ったら気持ちよくなりすぎちゃって、恥かしいです」
「ああ、いやいいんだ」
「先輩はやさしく抱いてくれましたけど、あの時僕感じまくってヤバかったですからね」
「あ、ああ……うん?」
「いろんな新しい機械が出てきて、この後どう攻められるだろうって考えたらもう興奮が収まらなくて」
「いや、ちょっと、純?」
「でも先輩に見られながら新しいのを試すってのはまた違った刺激がありますね、また一緒にイキましょう!」
――周囲の目が冷たかった、もう完全にアッチの趣味の二人と思われている。
私は必死に大きな声で「演出モニターの話な! 先週のパチンコ演出試験な!」と言ってみたが完全にあとの祭りだ、ナツミちゃんなんかは珍獣をみるような目で私を見ている。
いかん、私はノーマルな独身男だ、ここはなんとかそれをアピールしなくては。
「よ、よし! 今日はキャバクラ連れてってやるよ純!」
考えて出た言葉がそれだった、自分でももう少しなんかあっただろうと思う。
「マジっスか、やったあ!」
無邪気にはしゃぐ純を尻目に、ナツミちゃんの汚いものを見るような視線が突き刺さった。
一瞬で汚い珍獣という評価に成り下がった私は、一度言った約束ということで純を連れて夜の歓楽街に来ていた。どうにも気分が盛り上がらないが、まぁ彼への礼のつもりで今夜は飲もう。
さて、どの店がいいかな。
店がひしめく通りに入ると、ビルのあちこちにキャストの写真入りの案内看板が目に入る。
「あぁ、みんなキレイなお姉さんばかりですねぇ」
純がきょろきょろと見回して言うと、どこからか客引きが現れた。
「オニーさん達店さがしてるの? いい店紹介するよ、なんとおさわりOKよ」
マズい、純が興味を示してしまった。
興奮しつつある彼をみると、先日の出来事が頭をよぎる。往来で「イクゥ!!」とか絶叫されたらどうしよう。
敏感体質と汚い珍獣というマニア向け動画みたいなありがたくない絵が展開されてしまう。
他人のふりをして帰ろうかと本気で考えはじめたその時、純のとった対応は極めて意外なものだった。
「……それは楽しそうですが、また今度にさせていただきますね」
落ち着いた口調で客引きを退ける純。
えっ、またも賢者に……いや違う、彼はイッちゃいない、ナチュラル純のまま、生まれたまま100%無修正の純だ。
その後二人で飲んだが彼は終始落ち着いており、特別おかしな点は無い。
それだけに不思議だ、いったい彼の中で何があったのか。
「なぁ純、今日はやけに落ち着いてるじゃないか、具合でも悪いのか」
「いえ、私は本来こんな感じですよ、先日はパチンコ演出の激しさに取り乱してしまっただけです」
「そ、そうなのか」
確かにパチンコ演出の過激さは理解できるが、そういうものなのか。
納得いかないままだったが終電の時間がせまり、純と並んで駅に向かう。
通りかかった営業終了後のホールで、新台入れ替え告知が目に入った、
「おっ、見ろよ純、明日は『CRセクシー女優』シリーズの新台が導入らしいぞ」
「えっ!?」
!?
「はっ、ああああああ、セクシーっ……疑似連っ、疑似連したらどうなっちゃうのぉ……ふぁぁあ、はああああああああああ発展してイッちゃうぅ!!」
「…………えぇ」
今わかった。
純はパチンコ関連のコンテンツにしか反応しない、純情というより特殊な性癖の持ち主なんだ、むしろ煩悩の塊と言ってもいい。
アスファルトに転がって、よだれをまきちらしながら痙攣する純を見て思う。
この業界はどこでイッてしまうのだろうかと。
いや失敬、どこに行ってしまうのだろうかと。
純情演出モニターJUN おわり
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- 岡井モノ:ライター兼パチ7編集部員(別館)
- 代表作:オカイ☆サロン
学生時代友人に連れられ、はじめて『ジャグラー』を打って負けたその日、悔しくてなぜか『サバンナパーク』のゲームを買った異端の猛禽。パチ7自由帳において「何か変なヤツがいるな」と思われていたが、何か変なヤツのまま編集部に捕獲されたトリックプレイヤー。日本全国を旅する渡り鳥としての経験を活かしたコラムを、旅情たっぷりに綴るかと思わせながら特にそういうコラムを書いたりはしない。今日も今日とて奇策縦横。
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嫌いじゃないけど好きでもない、でも無性にアイツのことが気になって、一体なんなのこの気持ち、まさかこれが恋!?
天才の初期症状だと思って読んでいただけたら幸いです。
眠れぬ夜の暴走特急、なんかやべーやつ岡井です。
ひどすぎる(誉め言葉)。
ダンバインなんか打ったらST中イキ死にしそうだなジュン!
こんなおもしろヤバいものを載せたパチ7の勇気ある決断に感謝します。
オカイサロンのためにパチ7を開いてます。
2話目、3話目と至るところで読み。その度にニヤニヤしてた僕は
きっと携帯もったヤベー奴って、
ナツミちゃんの蔑んだ目が訴えるでしょう。
だが、嫌いじゃない(変態)
今日、その考えは間違っているかもしれないと学びました
『なんかやべーやつ』達の中に『天才』と呼ばれる人達が居るのかもしれません・・・。