続々・算数のお時間（自分の期待値を理解しよう！）

佐々木真パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

お正月休みは、妻の実家がある鳥取県米子市に帰省しておりました。家族の運転手役ということで、ホールにはまったく足を踏み入れられませんでしたが。東京と違って良いですね。駐車場を見るだけで、なんとなく繁盛しているかはわかりますし。あとからチョイチョイと設置機種を検索したりしていました。ま、打っていないので交換率などもわからないんですけど（笑）。

まだまだ等価交換という地域もありますが、全国的には交換差額を持つ営業が増えてきました。東京は5.6枚交換ですが、47枚貸しで特殊景品小は53枚というところが多いですかね。小数点以下の関係で、50→56枚のほうがロスは少ないんですけど。大量獲得できた際に「減ったな」と残念に思われないためなのでしょう。

個人的には、交換差額ありは大賛成です。まだ低設定域の出玉率が低い機種も多いですが、これが底上げされるなら7枚交換くらいで十分だと思っています。交換ギャップがしっかりあれば、ホールは集客できるほど利益になりますからね。通常営業から自ずと設定も入るようになります。高設定台が増えるほどユーザーも、ツモれたという成功体験が増えますし、ホールの設定変更パターンとの勝負も楽しめるようになります。

低交換率になると、夕方から打つサラスロ族には痛いですけどね。設定（もしくは低設定域のスペック）が上がれば。ロクに勝負の土俵にも立てない感じでお帰りとなるケースも減ることでしょう。楽しみという部分は増すかと思います。朝から持ちコインがある限り続行が是とされるので、そこは割り切ってください。私も割り切ります（笑）。

前置きが長くなりました。今回は、算数のお時間3回目。交換差額ありの状況で使える実戦的な計算をしてみたいと思います。

1回交換制の期待値計算

パチ7で企画された“ノーマル連れスロ”のホールでもありましたが、1回交換という営業もこれから増えてくるのかな。当たりが終わったらコインを流し、再び現金投資するスタイルです。ART系だと刺さったら終わらないこともありますからね。採用されるのは、ノーマルタイプということになります。REG扱いの小当たりは続行、BIG終了時（ハナビなどではRT終了時）に交換というのが基本でしょうか。

設置するホールのメリットは、高設定を置いているアピールができて、交換ギャップによって勝たれすぎることもないことでしょう。20年ほど前は、私もよくお世話になっていました。期待日当の半分とかヒキ負けた記憶しかありませんが（笑）。

今の機種は1回交換で、どれくらい勝てるのよ？　『クランキーセレブレーション』を例に計算してみます。

細かいことをやりすぎると混乱するかと思いますので、ざっくりやっていきたいと思います。まずは、昨年12月20に掲載した「続・算数のお時間（機械割詐欺・詐称）」のベースを逆算して攻略要素を発見!?を参照してくださいませ。

http://pachiseven.jp/articles/detail/2795#contents

その回では、総合の出玉率からBIGとREGの出玉率を差し引いて通常時のベースを求めました。しかし、今回は“BBのみ交換、RBは続行”というシステム。RBは通常時の小役扱いとして構いません。要は、そのまま通常時のコイン持ちに加えられるんです。RBも含めたベースで、どのくらい投資すればBBにありつけるのか。

また、交換差額があるので、BB1回でどれくらいの特殊景品に変えられるのかも注意しなくてはいけません。特殊景品のほうが多ければ勝ち。少なければ負け。勝てる場合は、BB1回につきどれくらい勝てるのか。気になりますよね。

ベースは、50枚で起算しています。上の表はわかりますよね？　BB合成確率の分母をRB込みのベースで割っただけです。これによってBBまでの平均投資額がわかりました。

問題は下ですね。上段は、250枚をそれぞれの交換率に合わせると得られる特殊景品の金額です。次の“投資ギャップ”は、BBをヒイた時に残っているコインに発生する部分です。ざっくりで申し訳ないですが、25枚としてあります。実際はRBに救われることもありますから、あまり気にしなくてもいいんですけどね。20年前の私は気にせずに計算していました（笑）。

“BB1回で”のところで、そのロスを合算しています。この数字が超重要。これと平均投資金額の睨めっこです。設定6だった場合は、下の緑文字がBB１回で得られる平均利益となります。交換した際に得られる金額と、そこまでに使う金額の比較。やることはこれだけです。

日当は、何ゲーム回せるのか。それで何回BBをヒケるのか。そこから計算してみてください。ブン回して8000Gと言いたいですが、ボーナス消化の時間などもありますからね。50回として5.6枚なら4万円程度。あら、思ったよりも良い数字だったわ。

そうそう。設定1〜5の数字も書いておいたのは意味があります。1回交換だからといって設定6とは限らないからです。5.6枚交換の場合、設定2以下なら負け。設定5も微妙すぎる数値。これなら普通に打ったほうが良さそうですね。ホール選びには注意しましょう！

ちなみに、今回の計算は簡易版。本当ならば小役確率からベースを出して、青BBは揃えるのに1手遅れるから、BBを249枚にして……など、細かいこともできます。ただ、その微妙すぎる変化で、打つ or 打たないという判断は変わらないでしょ。そもそも、追加投資してからどのタイミングで当たるか。こういった不確定要素もありますから。それよりか、まずはホール選び。そして、己の技術磨きだと思います。アクロス系なら、スイカの取りこぼしとボーナス察知ですね。

あと『ハナビ』タイプのRT機についても触れておこうかな。RT終了後に交換という形になると思いますが、ハナビゲームとハナビチャレンジで得られる枚数をBIGに上乗せしてしまって大丈夫です。ただし、連チャンすると残りのRTが消えてしまうので、やや控えめに。RTの継続ゲーム数も計算したいところですが、完全に関数の講義となってしまうので割愛します（笑）。

チョイ引き算で自分の期待値もわかる！

全体の出玉率から、BIG分だけ差し引いてベースを計算しましたが、こういった“チョイ引き”や“数値の入れ替え”は、とても便利なものです。なんせ、ある程度の数値さえ把握していれば、イチから計算しなくても大体のことはわかりますから。

例えばですね。『クランキーセレブレーション』のスイカが見えないという方がいたとしましょう。左リールはスイカの取りこぼしなし。理論だけ伝えたいので、中段に止まらないとしますが、ハサミ打てば右リールも取りこぼしなし。中リールのスイカは、ビタ止まりから4コマスベリまで、5コマで揃ってくれますね。それが2つあるので合計10コマ。

設定1のスイカ確率は、1/59.96。通常のスイカによる出玉率は……15÷59.96÷3＝8.34％。中リールを適当打ちすると21コマ中11コマで取りこぼしますね。 15÷59.96÷3×11÷21＝4.37％

このように、取りこぼすコマ数を掛けて、リールのコマ数で割れば、取りこぼしで失われる出玉率がすぐに計算できるのです。完全攻略時の出玉率は設定2で104％なので、スイカを無視していると設定2でも負けるスペックということがわかりました。

また、『サザンアイズ』のようなボーナスに技術介入の差がある機種の場合。チャレンジボーナスで112枚なんて取れません。82枚くらいですという場合も同様。

通常のチャレンジボーナスは「112÷100÷3＝37.3％」ですが、最初の獲得枚数のところに、失ってしまう枚数を入れるだけ。「30÷100÷3＝10.0％。具体的な数字が見えてきます。何枚取れれば100％を超すかな……と数値を入れて探ってみるも良し。『クランキーコレクション』のCBは、かなり真剣に私も計算しました。平均124.5枚で100％っす。

とまあ。出玉率はすべてを合わせた指針のように使われることが一般的ですが。分解して、チョイ引きや入れ替えをすることによって、もう少し深くスペックや自分の目標が見つけられるものだと思っています。

いや、しかし。数学のセンスはゼロなもんで疲れました（笑）。次回は機種のことを語りたいんですが、3月にたくさん出る機種を書くには早く。さて、どうしましょう……。

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佐々木真: 代表作：パチスロ攻略ライターの思考ルーチン

裏モノ全盛期に“ギャンブル”としてパチスロを始めたが、技術介入機時代に最適手順を模索するなど“遊技”としての魅力にはまり、履歴書に大きな穴をあけてしまう。2000年よりパチスロ雑誌などで編集兼ライターの活動を開始。現在は、ほぼすべての機種の発表会や取材に参加。法律・規則などの知識をもとに、根幹システムの推測をライフワークとしている。