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元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
2023.05.05
4.7号機ゆえの失敗? 悲運の初代北斗後継機『北斗の拳SE』のしくじり物語。
元・店長カタギリ 元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~
ヤバ過ぎませんか、スマスロ北斗の稼働状況。私も導入前まで「この時代に通用しないだろ、4号機北斗の演出やゲーム性なんて……」と裁判官のような顔で知人と会話していました。
実際、私の職場の若手スタッフも「初代の北斗って4号機? でしたっけ? 液晶画面が小さいヤツですよね(笑)」と小馬鹿にしていました。ところが、彼も今ではすっかりスマスロ北斗に夢中の日々。まさかこのご時世に空き台探しに一苦労する台が登場してくるとは。私は今、被告人のような表情でこの文章を書いております。判決は無期懲役、およびスイカ強制取りこぼし200回の刑です。
さて嫌な記憶はサッパリと消し去って今回の『しくじり機種』に参りましょう。初代、つまりスマスロ北斗の偉大なる先代である4号機北斗の後継機となった『北斗の拳SE』のご紹介です。当時を知るユーザーさんやホール関係者ならその名を聞くと思わず苦虫を32匹ほど噛み潰した顔になりがちなSEさんではありますが、いったい何がいけなかったのでしょう? では、さっそく参りましょうか。
★今回のしくじり機種は『パチスロ北斗の拳SE(サミー)』
▲北斗の拳SE(サミー)
2006年の秋に検定切れによる完全撤去を控えた初代北斗の後継機として同年7月にホールデビュー。販売台数は実に34万台と、前作に次ぐ歴代2位の記録であります。初代北斗をやむなく撤去せざるを得ない状況下で大多数のホールが多台数導入した、という流れですね。ま、そりゃそうなりますわな。
しくじりポイント1:あまりにも大き過ぎた『初代北斗』の存在感
本機を語る上で欠かせない『初代北斗』の存在。販売台数の62万台は全盛期を知らないユーザーやホール関係者にとっては想像もつかない数字でしょうね。多層階ホールでは1フロア全台が初代北斗なんて当たり前で、設置機種が北斗だけ、そんなスロ専まで存在していたモンスターマシンだったのです。
兄より優れた弟など存在しない、そう言い放ったのはジャギ先輩ですが、その言葉通りに弟分であるSEさんは偉大な兄となる先代北斗と比較すると欠点ばかりが目に付いてしまいます。最高設定6の出玉率は119.7%から108.5%へと大幅ダウン、AT(バトルボーナス)1回あたりの出玉も減少。とりわけ私が感じる致命的な変更点は「高確モードでの2枚チェリー(いわゆる中段チェリー)でのAT当選確率が100%から50%へと格下げ」されたことです。
初代北斗の高確濃厚演出直後での2枚チェリー獲得時の「してやったり!」感が「お、これで大丈夫か……!?」という期待と不安の入り混じった感覚になってしまった点には、正直かなりガッカリさせられました。
初代は4.5号機、そして本機は4.7号機。スペックダウンを余儀なくされた上でのデビューであったことはユーザーもホール関係者も頭では理解していたはずですが、北斗人気を支えていたのはコアなユーザーのみならず、ライトユーザーも多く存在していました。今度の北斗は前のよりショボい、アツくなれない。そんなイメージが定着したマシンが長期稼働するはずもありませんよね。そう、やはり兄より優れた弟は存在しなかったのです。
しくじりポイント2:どのユーザーにも響かなかった『導入タイミング』
SEさん以前に導入され人気を博した4.7号機で多くの方が連想するのが『俺の空』や『秘宝伝』ではないでしょうか。いずれも出玉性能云々よりも独自のゲーム性に惹かれたファンが多かったように思います。どちらも人気機種の後継機ではない、という点も影響していたのかもしれませんね。
SEさんが導入された2006年といえば新台は4.7号機ではあるものの、まだまだ出玉性能の高い4.5号機もあれば、既に5号機も導入されていた時期。つまり、ユーザーの選択肢が非常に多い時期だったのです。本機の導入タイミングであれば「これショボいわ、やっぱり撤去されるまでは初代を打つわ」となるのは当然、さらに初代撤去後には「他の面白い4.7号機を打つよ」となってしまったのです。
SEさんがもしも初代撤去後に導入されていたならば初代北斗ロスのユーザーに多少は響いていたのかもしれませんね。……ま、もっと酷評されていたかも知れませんが。
★元店長カタギリと『北斗の拳SE』
200X年、ホールは大当りの炎に包まれた。そして2006年下半期、私は無職という災禍に包まれた。ま、端的に言うとパチンコ店をヤメて泥人形のような気分でブラブラしてたんスわ。そして悲しいことに、パチンコ店の責任者の肩書を失っても、ホールが日々の糧を得る場所であることに変わりはなかったのです。遊技台から回収したマネーは事務所の金庫の中ではなく、自らの財布の中へダイレクトにインしなければならなかったのです。泥人形は、そうしなければ人の形を成さぬ泥の塊なのですから。
そんな私にとっての強い味方が、この北斗SEでした。概ねベタピン、イベント時にようやく高設定投入といった調整内容だった初代と比べて、本機はそのスペックの辛さ故に稼働させるには高設定の投入が必須条件。平常営業でも高設定と思しき台を確保するのは容易でした。渋い台ゆえにライバルの少ない中、店のクセを読み、空き台の中から高設定台をゲットしてブン回す。比較的ラクな立ち回りでも月々の収支は安定。誰にでもできる簡単なお仕事でした。
ノースロット、ノーライフだった当時の私にとって北斗SEは兄よりも優れた存在であり、まさに無職の救世主となった思い出の1台なのです。ま、そのせいでいたずらにノージョブ期間が伸びてしまいましたが……。
★まとめ~北斗SE、その血脈による悲劇~
令和のスロッターからも評価を得ている初代北斗の演出面やゲーム性自体は、SEさんにもキッチリと引き継がれています。主人公であるケンシロウが勝てばAT継続、負ければ終了というシステムは理解しやすく、故にアツくなりやすい。レバーONやストップボタンを離すタイミングに魂を込める瞬間は、リーチ目こそパチスロの醍醐味だと信じていた私をも虜にしたのですから。
そういった面から見るとやはりSEさんの「しくじり」の原因はゲーム性ではなく、スペックダウンと導入タイミングの2点にあったと言えるのではないでしょうか。裏を返せば、北斗の名を冠した後継機である時点で「ある程度のしくじり」は避けられなかったとも言えるでしょう。初代北斗がいかに超越した存在であったのか。それは時代を超えてホールに再臨した「兄」本人が証明しているのですから。
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- 元・店長カタギリ
- 代表作:しくじり店長
シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。
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