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あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~
2014.11.04
あのときオレはクズだった 番外編
田中(クズプロ田中→クズ田中→田中) あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~
倍々ゲームの番外編。ギャンブルの王様は田中に微笑むのか、それとも……
※今回は途中途中で同行した私(編集部)の注釈付きです。
このコラムを書き始めてからというもの、セブで会う若造に「ボクも自分のことをクズだと思っていましたけど、下には下がいるんですね」と見下されたり、マジメな大学生から「インターンに応募しようと思ってセブンスピリット、田中、で検索したら変なコラムが出てきたんですけど、あれはいったいなんですか?」と半笑いで言われたりするようになったわけだが、そんな目にあいながらもこの自虐コラムを書き続けている理由はなにかというと、読者さんの喜ぶ顔が見たいから……ではなくて、毎月の原稿料とセブンスピリットへの支援(※編注①)。これをなんとかもぎ取ってやろうと、そう思って心で血を流しながらコラムを書き続けているのである。
※編注①
これは田中氏とコラム連載を始めるにあたっての約束事項。
田中氏が恥を切り売りした分だけ、編集長が私費でセブンスピリットを支援するという約束。基本的に「1アクセス=1円」と捉えて頂ければ問題ない。詳しくは第一回を御覧ください!
編集が送ったtwitterDM
そんななか、パチ7のtwitterアカウント、そのダイレクトメッセージという非常識な手段で連絡があったのが10月頭のこと。パチ7担当のO氏がセブにくるらしく(※編注②)、その際にこれまでのアクセス数をもとに弾きだした金額を、自分に報酬として手渡したいとのことだった。
※編注②
今回セブには2週間滞在した。目的はパチンコパチスロを海外に広げらんないかなぁ、という大義を掲げた遊び。会社にはこの世で最もラクな業務のひとつである「視察」で押し通した。
そんなわけで今回のコラムは特別編と題し、セブで行われた秘密の金銭授受から一大勝負までの模様をお届けしていくとしよう。
さて、貰えるものは病気でも貰え。出すものは屁も出すなというのが田中家の家訓。頂けるものはもちろん頂きますと言ったわけで10月下旬に会うことになったのだが、ただ会ってお金を受け取るだけというのもなんだかイヤらしいので、朝から船をチャーターして海のキレイな離島に行ったり、日本食屋で焼酎をがぶがぶやったり、ストローでテキーラをずるずるすすったり(※編注③)と、数少ないセブでの娯楽を堪能していただいた。なぜか? そりゃ、これからもお金をもぎ取っていくための接待に決まっている。
※編注③
海はとんでもなく綺麗だった。日本食もうまかった。だがテキーラのコノヤロー!
皆さん、テキーラの殺傷能力の高さはご存知ですよね?これをストローでグラス(ちっこいやつ)から摂取するだけでも充分なのに、ここのテキーラは飲んだそばから補充される不思議な不思議な減らないテキーラ。ゲイバー入りたての新人ばりに飲まされました。。。よって下記の上機嫌は「嘘」となる。
そんなこともあってO氏は上機嫌。持参したグラフのようなものを確認しながら、こう言った。
「平均して1記事1000ちょっとのアクセスがあるんですけど、とりあえず前回までの累計が1万5000ちょっと。これが、そのまま田中さんにお渡しする金額になります」(※編注④)
※編注④
第1回~第10回からの数値。それ以降アクセス数も増えているので、次回以降やばいです。
「腹凹ませますので待ってください(5分)」
テキーラ前。
テキーラ後。
1万5000アクセスがそのまま自分の報酬になる。まあ、1アクセス100円として150万円あればフィリピンではしばらくやっていけるわけで、とりあえず良しとしようか…って、え? 150万じゃなくて1万5000? それはユーロとかポンドとかペソじゃなく、円の話ですか?(※編注⑤)
※編注⑤
あめーよ。大甘だよ。
そんな考えは心にグッとしまいこみ、笑顔で受け取った1万5000円。さて、じゃあ、このお金でおねえちゃんのいる、歌って踊れる店にでも行きますか…って、ダメなの?
O氏「この1万5000円は、たしかに田中さんに差し上げます。でも、本当にそれでいいんですか? ギャンブラーとしての血が騒がないんですか? この1万5000円を元手に一攫千金を果たし、セブンスピリットの子ども達のために遣おうとは思わないんですか?」
そりゃ、お金がいっぱいあれば子ども達のためにも遣いたいと思うけど、一攫千金と言われても……あっ!
O氏「そう。フィリピンにはカジノがあるじゃないですか」
そう言ってニヤリとするO氏。たしかにカジノは一攫千金の夢がつまっている。だけど、その中毒性がハンパじゃないので、自分はこっちに移住してからの2年間、一度もカジノに足を運んでいなかった。昔、語学留学で住んでいたときは夜中にバカみたいに行っていたのだけど、勝っても負けても確実にハマるその中毒性が恐ろしくて、控えていたのである。……でもまあ今回はO氏もそう言っていることだし、行っちゃうか!!
不満顔(かわいい)
セブシティーにあるカジノ
5分後にはドレスコードもひったくれもないフィリピンのカジノに、二人の男が短パンとビーサンで入場していた。
勝負するものは決まっている。しっかりした理論があるブラックジャックではなく、IGTやKONAMIなど馴染みあるメーカーが出しているスロットマシンでもなく、有無を言わさずバカラ。
バカラというのはバンカーとプレイヤー、それぞれに配られたカードの合計、その下一桁が9に近いほうが勝利するのだが、どちらが勝利するのかを当てると賭け金が二倍(例外あるけど省略)になるという非常にシンプルなギャンブルである。ただ、ギャンブルというのはシンプルであればあるほど、そして勝負が運任せであるほど中毒性が高いわけで、まさにギャンブルの王様。いままで数々のギャンブルをしてきたが、バカラよりも面白いギャンブルを自分は知らない(2位はボートレース)。(※編注⑥)
※編注⑥
残念ながらカジノ内は撮影NG。ちなみに編集はカジノ初体験。感想は「くっそ面白い!」である。
人対人のギャンブルは楽しいし、バカラは皆との一体感が堪らない。しかもパチンコパチスロより負けにくくないか?これ?
ちなみに田中氏は「僕はギャンブルだけは真面目にやりたいんです」という名言を残した。
そんなわけで15000円(6180ペソ)、さらに自分のお金を5000円(2060ペソ)足した2万円(計8240ペソ)をチップに交換。じっくりと罫線(バカラの勝敗を記録した表)をながめながらここぞというタイミングでバンカーに500ペソのチップを置いたわけだが、ここはハズレ。そこから怒涛の5連敗で、一気に手持ちが5500ペソになった。(※編注⑦)
※編注⑦
ちなみに当日の為替レートは大体「1ペソ=2.5円」くらい。ってことで500ペソ=1250円くらいって訳です。
しかし、である。いままではテーブルの後ろに立ってチマチマ掛けていただけだったのだけど、椅子に座ってからグッと流れが傾いてきた。相手のナチュラル8に対して自分がカードを絞っていき、ここで2サイド2サイド。バカラにおける最もアツい場面のひとつできっちり9を仕上げるし、1で負けたと思っていたら相手がピクチャー3枚で勝利するなど、なかなかの展開で一気にチップはプラス3000ペソに……って、ねえ。ここパチンコ・パチスロのサイトなのに、こんなにバカラのことばかり書いていていいの? このままだとオレ、あと2万字くらい書いちゃうんですけど。
まあ、そんなこんなで3000ペソ勝ち。O氏も1000ペソくらい勝っていたので、晩メシでも食いに行こうかとチップを金に替えるべく換金所へ歩いていた。そんなときに、心のなかで悪田中がつぶやく。
悪魔「どうせタダでもらった金だろ? 3000ペソ勝ったくらいでどうするんだよ。いっちゃえ、いっちゃえ」
天使「ダメよ、フィリピンで3000ペソあればなにができると思ってるの。ここは絶対に引かなきゃダメ」
そんなやりとりを経て元クズが出した答えは、お分かりだろう。浮いた3000ペソとO氏の2000ペソ、合わせて5000ペソを流れもへったくれもない適当なテーブルのプレイヤーに投げ捨てるように張った結果。(編注⑧)
※編注⑧
フィリピンの晩飯はビール付きでも500ペソあれば充分。3000ペソあれば豪遊出来る。
そりゃ、負けますよね。結局、8240ペソスタートの8040ペソ戻りという華もなにもありやしないチャラ展開で、勝負を終えたわけだ。
昔の自分なら浮きぶんの3000ペソが飛んだ時点でムキになっていた。ムキになって残りの8000ペソを全額張って一撃で取り戻そうとして確実にゼロになっていたはずだから、これは明らかな成長。自分がもはやクズではなく、いっぱしの、真っ当な人間であることがわかった。それが一番の収穫だった。
ともあれ、こうやって勝負するお金を頂くことができたのは、いつもアクセスしてくださっているあなたのお陰です。15000円のお金、たしかに受け取りました。ありがとうございます。このお金は、子ども達のためにしっかりと遣わせて頂きます。そして、鈴虫のインタビュー記事とかまったく見なくていいので、これからもこのコラムを指が折れるまで、できれば5万回くらいクリックしてください。けして後悔はさせません。
そのお金、今度は間違いなく、一撃で全額バンカーに張らせて頂きます。
ほぼチャラという結果。
いやぁ。華があるね~。
クズの成績表:なんだよ。やりにくくなっちゃったよ。 |
田中氏のレポートには記載されていないが、フィリピンのスラムとそこの子どもたちが多く通う「セブンスピリット」にも連れて行って頂いた。
スラムは壮絶だった。大人たちは全てを諦めたように道端で寝ており、住居の環境も厳しいの一言。そこに住んでいる子どもたちがセブンスピリットで満面の笑みを浮かべているのだ。
正直、私はグッと来てしまった。子どもたちの演奏を聞いて、涙を堪えるのに必死だった。
スラムを見ると、恐らく多くの方たちは「なんて悲惨な環境だ。かわいそう」と思うだろう。だが私も含めて大多数の方はそれに対してなにか行動を起こすか?というと起こさないだろう。情けない話だが、帰国してしまえばすぐに忘れてしまうことだからだ。
だが田中氏は違う。行動を起こしたのだ。
(「オレはもはや田中氏をクズとは言えなくなっちまった。この人はスゲー人だ」)そう心のなかで呟きながら隣の田中氏に目をやると。。。
死んだ魚の目
テキーラが残っているようだ
安心したよ。
思い出写真館 |
壮絶なスラム
セブンスピリット入り口
日本から送られた楽器
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- 田中(クズプロ田中→クズ田中→田中)
- 代表作:あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~
パチスロ好きが高じて21歳の時にパチスロ必勝ガイドにてライターデビュー。若手時代は勝ちキャラだったものの徐々にクズっぷりを発揮し、昼はギャンブル、夜は酒をモットーに活動を行う。30歳で思い立ってフィリピンに英語留学へ行き、2012年の2月より世界の子ども支援を行うNPO法人セブンスピリットを設立。フィリピンのセブ島でNPO活動をしながら執筆も行っている。
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