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若年性パチンコ研究脳
2020.11.27
研究#03-1:『小当りラッシュ』の興隆と衰退~GANTZ・リゼロに至るまでの発明史~
どうもこんにちは。raraです。前回は2回に渡って『速いパチンコの仕組み』などについて語らせていただきました。
今回のお題は『小当りラッシュ機』について!
継続率規制(確変継続率上限65%)が撤廃された事によって、なんだか影が薄くなってしまった感があり、今年の新台は姫相撲とでかちりラッシュぐらいしか出ていない小当りラッシュ機ですが……一時期、ホールの覇権を取らんとする勢いがあったことは皆様御存知かと思います。GANTZが大ヒットしていた2017年の年初辺りですね。
▲小当りラッシュと言えば『初代GANTZ』を浮かべる人が多いですよね
まだ探せば打つ事も可能な初代GANTZですが、その魅力はなんといっても圧倒的な出玉増加速度と、大当たり間でハマればハマる程増えるという斬新なゲーム性にあります。
そして、GANTZの何が凄かったって……その後の小当りラッシュ機全てに影響を与える『革新的なアイディア』が盛り込まれていたことです。
今回は、小当りラッシュ機が如何にしてGANTZまでたどり着いたのか。なぜGANTZのようなスペックの機種が生み出されたのか。そして来年、2021年の初頭に販売される予定になっている、小当りラッシュ機の集大成とも言えるスペックであるリゼロ、に至るまでどのような仕組みが発明されてきたのか……という発明史を見てみましょう。
★小当りラッシュ機の基本について
小当りラッシュ機は、その名の通り大当たりとは別に「高確率で当選する小当りによって出玉を増やす事が出来る状態」を搭載している機械です。
しかし、小当りラッシュ機を作るに当たって立ちはだかるルールが2つあります。
1.電サポ中に出玉が増えてはならない
一般的な台での確変中や時短中のように電チューが高確率で開く状態において、大当たり無しに電チューのみで増えるような設計にしてはいけないというルールで……小当りラッシュ機が登場するより前から存在するルールですね。
このルールは、あくまでも試験上によるものです。試験時は完全打ちっ放しかつ、メーカーが提出した釘から調整されていない状態という条件ですので、ホールでの状態、ユーザーによる止め打ちによっては増やせる台はありました。
しかし、小当りラッシュ機に関しては止め打ちどうこうではない増え方をします。よって、このルールを守るために小当りラッシュ中は非電サポ状態にする必要があります。
2.小当り抽選確率とアタッカー開放時間は不動
「小当りの抽選確率と、アタッカーの開放時間はいついかなる時でも変わらない」というもの。
確変中に小当りの確率を変えられるなら楽だったのですが、小当りに確率変動は認められていません。なので、どんなタイミングでも小当りは超高確率で当たってしまいます。例としてGANTZを挙げますと……GANTZの特図2は常に1/1.14で小当りを抽選していますし、アタッカーも毎回しっかり開いてしまいます。
今の小当たりラッシュ機に共通して搭載されている様々な仕様は、このルールに沿った結果産まれたもので、謂わば常識。ルールとして定められていて、大事なのものはこの2つです。(厳密には1回の小当りラッシュに設定できる期待値等、数字的な細かい決まりが膨大に存在します。ですが、仕組み的にはあまり関係が無い部分なので今回は割愛します)
ということで、小当たりラッシュ機には、基本的に「電サポに関係なく入賞出来る特図2始動口(※)」が付いています。じゃないと電サポ必須になっちゃうからね。
※今後頻発する「特図1」「特図2」という表現ですが、一般的な台におけるヘソ保留が特図1。電チュー保留が特図2……ぐらいの認識をしていただければ大丈夫です。
ただ、いつでも入れられる特図2変動口があって、いつでも小当りが超高確率で当たるということは、通常時からゴリゴリ出玉を増やせてしまうのでは……という問題が発生してしまいます。とはいえ、いくらなんでもそんな構造的破綻は起こしません。小当りラッシュ搭載機種第1弾からしっかりと対策はされていました。
★小当りラッシュ機第一弾「 CR交響詩篇エウレカセブン ~真の約束の地~アネモネVer」
記念すべき小当りラッシュ機1台目にして、その後のスタンダードになる仕様が複数盛り込まれている偉大な名機がこの『エウレカアネモネバージョン』です。
まず、通常時に小当りで出玉が増えてしまう問題を「通常時の特図2変動時間を長くする」ことで解決。大体1変動10分ぐらいかかりますんで、流石にこれを狙うのは無理な数字。どんな時給だって話です。更に変動時間をランダムにする事で攻略要素を完封。小当たりの開放時間で、開いてから打ち出してたらどうにもなりません。
しかし、一つ問題が生じます。長い長い特図2変動の間、ユーザーは何をして待っていればいいのか。10分間×保留4個分という長時間寝ていろとでもいうのか。
…という事で、特図1と特図2が同時に変動するようになっています。この後に出た全小当たりラッシュ機に採用されている仕様のため、ルールと誤解されがちですが攻略対策でやってるだけです。
なのでその気になれば、通常時にうっかり特図2へ入賞するたび平均10分間待ち時間が生じて、そのたびに睡眠必須な小当たりラッシュ機も作ることができます。作る意味がないけど。
が、この同時変動もまた曲者。当たり前ですが、特図2は小当りのみではなく、大当たりも抽選しています。長い長い特図2変動中に席を立ったユーザーがいたとして、残っている保留に大当たりが入っていたとしたら…?
突然当たっちゃうんですよ、誰も座ってない台が唐突に。
ものすごい好意的に捉えればナイスサプライズとも言えるこの現象ですが、現実的にはトラブルの元です。最悪、遠隔操作の証拠を手に入れたとかの騒ぎに発展しかねません。
とはいえそこは西陣様、抜かりなく2つの対策を用意しています。
まず1つ目が「特図1で当選する小当り」の存在。一種二種混合機の通常時を想像していただけると分かりやすいと思うのですが、特図1からでも小当りは抽選できます。ポイントとなるのは「どちらかの特図が小当り/大当たりに当選した際に同時変動中の特図をどう扱うか」です。
この時、内規で定められている
・条件装置及び特別電動役物を作動させることとならない図柄で停止し、かつ、そのままの状態で表示を継続する
・あらかじめ定められた変動時間の計測を中断した上で、図柄を停止させない
の2つから任意に選択する事が出来ます。難しいですね。要約すると……
・消化中の変動を強制的にハズレで停止させて、小当りが終わるまで止まったままにする。大当たり/小当り終了後には別保留を消化。
・小当り消化中もずっと変動し続けるものの、変動時間の計測は中断。小当り/大当たり終了後に残りの変動時間を消化。
のどちらかを選べるということです。
この2つから、変動が強制的に外れる方を選択しつつ、特図1でもたまに小当りに当選する作りにしておく事で厄介な特図2の保留を減らせるシステムの完成です。
ついでに言うと、貯めて損する訳じゃないから、と特図2を取り敢えず貯めておくタイプの遊技者に対しての対策にもなります。一石二鳥。僕はしばらくの間、気付かずに一生懸命貯めていました。
……蛇足ですが、このシステムが後に西陣の手によって新たなシステムへと生まれ変わります。何が活きるか分からない感があって、パチンコシステム開発の歴史は大河ロマンなのだと実感できます。この連載が続けばいずれネタにする予定。
ちなみに、特図1の方は特図2で小当りに当選しても、その間変動し続けるタイプが選択されています。なので、激アツ演出の最中に偶然長い特図2の変動が終わって、強制的に特図1がハズレとかいうシステムにはなっていません。こっそり長時間変動している特図2だから強制ハズレで消されても気にされないだけで、メインでやってる特図1でそんな事起きたら暴動が起きますからね……。
そしてもう1つの対策が、特図2の保留を無くす事です。保留が4つもあるからうっかり当たっちゃう訳で、一個だけなら単純にリスクも1/5になります。流石西陣さん!
……が!コレが大問題に。想像してみてください、一般的な台の右打ちから保留が取っ払われた状態を。どう考えてもテンポが悪いと言うか、よっぽど電チュー性能が高くないと絶対厳しいでしょう?
そのうえ、この台は小当りラッシュ機であり、電チュー性能どうこう以前に電チューがついていません。さらに特図2の始動口はアタッカーの上についています。その結果、始動口の釘を締めると全然回らずテンポが鬼のように悪くなり、開けると球が吸い込まれて全然アタッカーに届いてくれないという圧巻のシステムが完成。
また、初当たり1/99で100%ラッシュ突入という敷居の低さが産み出す低い一撃性能もあり、中々稼働は芳しくありませんでした。僕的には遊びやすいし、役物がいい具合にチープで凄く好きだったんですけどね。何にせよ、この台が後の小当りラッシュ機全ての雛形となった事だけは間違いありません。偉大な名機。
ちなみに、設置はまだそこそこあるので打つことも出来ます。是非、特図2始動口の調整と、特図1のなんてこない変動でパカパカするアタッカー。それと同時に終わる特図2の消化に注目して打ってみてください。特図1のリーチ終了後とか大体パカパカしてます。
★初の時短付き小当りラッシュ機「 CR逆転裁判」
エウレカから4ヶ月後にリリースされた2台目の小当りラッシュ機がこの逆転裁判になります。
最大の特徴が、小当りラッシュ機でありながら時短を搭載している点。
エウレカのように初当りで100%突入にすると、一撃性能を持たせる事は難しくなります。しかし、突入率を設けた上で時短なしにすると、ユーザーからの心象は大きく悪くなります。なので突入率ありで時短も搭載するのがベスト……ですが、小当りラッシュ機のレギュレーションには『電サポ中に増えてはいけない』がありますので、単純に時短を搭載する訳にもいけません。
そんな状況下で平和は、元ネタのゲームと同じく”発想を逆転”させる事で電サポを搭載させました。
特図2の電サポが作れないなら、特図1の電チューを作れば良い……盲点と言わざるを得ません。普通のデジパチだと存在意義がないので使われる事もない特図1での電チューが、小当りラッシュ機においてのみ輝くのです!
とまあ画期的な発明かのように書きましたが、欠点もあります。V-ST機なのに、時短中に引き戻してもST確定じゃないんです。特図1で回してるんだから当然なのですが、V-ST機の時短引き戻し=ST突入確定というのは最早世界の常識。初打ちで面食らった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まあ、時短はたったの20回転しかないんで、そうそう引き戻しも出来ないんですけどね……なのに特図1という。正直、非突入時でも納得させられるって程の性能ではありません。
そしてもう一つ画期的なのが、特図2に保留を設けていること。これによりエウレカと比べ、小当りラッシュ中のテンポが大幅に改善されました。また、特図2始動口に入賞させる頻度を減らす事が出来るため、アタッカーへの入賞率も向上。エウレカとは比べ物にならない増加感を味わう事が出来ます。(そもそもライトミドル突入率50%と甘デジ突入率100%を比べる事自体がおかしいのですが、仕組みとしてこちらの方が出玉増加感を演出しやすいという事です)
但し、エウレカの項で書いたように保留があることで上がるリスクもあります。突然当たっちゃう問題ですね。そこは後発だけあってしっかりと対策されて……
いません。特図1に電サポを付けたからか、エウレカで採用されていた強制ハズレシステムの採用も特にされてません。なので、電サポ終了後、変動していた保留+残保留4個を小1時間かけて消化する形になります。コレだけ時間があると当然退席もされます。というか、殆どの人は特図2保留が残っている事にすら気付かず退席したでしょう。その結果、30分ほど誰も座ってない逆転裁判が突然当たりだすという怪現象が全国的に生じる事態に。
一応、特図2の5割を占める2R確変の場合ショート開放のみで演出も無く終わるため、外からは小当りと区別が付かないのですが……それはそれで、ユーザーが本来手にすべき大当たりが消えているのと同義なので困りものです。
台としては原作を大事にしていて好感が持てたんですが、いまいち流行らなかったですね……図柄揃い=確変突入なので揃う気が全然しない確率になっちゃってるのが問題だった気がします。
★小当りラッシュ機なのに特図2電チュー搭載!?「CRソルジャー」
▲画像のスペック表では分かりやすい表現をしようしていますが、厳密には色々と異なります。
電サポ中は増やせないというレギュレーションがあるにも関わらず特図2は電チューのみ。というゲージで一部マニアから注目を浴びていたのが、逆転裁判から約1ヶ月後に発売されたソルジャーです。
ここまで攻略対策や実際に発生していたトラブルを紹介してきましたが、それらが必要だったのは通常時に保留が貯められてしまうのが原因です。トラブル回避への工夫は尊いですが、やらないで済むならそれに越した事はありません。そのため、右に電チューが付いているソルジャーは一部のマニア層(僕)から注目されていました。果たしてどのようにレギュレーションを突破したのか...?
……そもそも、電サポとは"通常時に比べ、電チュー解放確率、解放抽選にかかる時間の短縮、解放時間の延長といった様々な優遇がなされる状態"を指します。そこで増えちゃダメってのがレギュレーション。
そこでマルホンが考えたのが、通常時からスルーを通せばいくらでも電チューが開くというシステムだったのです! 優遇されている状態に増えたらダメならば、優遇されている状態を無くしてしまえばいい! という事で、ソルジャーに電サポは搭載されていません。右打ちすればいつでも電チューは簡単に開きますし、幾らでも拾ってくれます。
理外にある凄まじい発想と言わざるを得ません。常識に縛られないことの大切さを実感できますね。ただ、一つ問題がありまして……。
このやり方だと、結局いつでも特図2を貯められてしまうということ。なので、通常時の特図2変動時間は長くせざるを得ないです。突然当たっちゃう怪現象も当たり前のように健在。
とはいえ、意味が無いわけではありません。スルー通過後、電チュー開放抽選にかかる時間が、丁度小当りによるアタッカー開放の時間と同じように設計されていまして……一般入賞口では再現不可能な、爽快な消化が楽しめます。コレに関しては是非動画を見ていただきたいです。
うーん、何回見ても素晴らしく邪魔しない電チューですね。素敵。こりゃ今後のスタンダードになるぞ……と打ちながら思ったものです。結論から言うと、このシステムはこの一台で終わってしまいました。より、洗練された手法が定着したためです。
ちなみに、技術的な事を除いたスペックは、初の次回まで確変機+小当りラッシュ機で、ハマればハマる程増えるし楽しいというどこかで聞いたことのある特徴が斬新でした。早めに当たってもスルーしてもなんかがっかりしてしまうST機より、絶対小当りラッシュ機に向いてると一人はしゃいでいたのですが、びっくりするぐらい僕しか打っていませんでした。マルホンのドット魂が炸裂していて最高なんだけどなぁ……。
はい! ちょっと長くなってしまったので今回はここで終了です。
この頃の小当りラッシュ機はあくまでも黎明期。試行錯誤が凝らされてはいるものの、まだまだ荒削りな時期で、大ヒットと言える機種もない状態です。
小当りラッシュ機に革命が起きるのは年が明けた後、2017年の1月。次回は小当たりラッシュ機最大のヒット作にして、のちの小当たりラッシュ機全ての作り方に影響を与えたあの台……というか隠す必要ないですね。GANTZが登場します。それではまた!
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- rara
- 代表作:若年性パチンコ研究脳
北海道に蠢く24歳のスロパチ好き。珍古店を探して全国を駆け巡ったり、大きいホールに一台だけ置いてあるマイナー台を打って、悦に浸ったりするタイプの人。最近のマイブームはパチスロミルキィホームズ。
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アネモネは1/51.2で50回転なので、平気で単発スルーが多発。
しかも大半が微々たる出玉。
一方、当たり確率をアップさせたら小当たりラッシュを堪能する前に通常を引いて終了。
アネモネタイプだとメインの大当りで出玉を増やせず、確変タイプだと早く当たって小当たりラッシュを堪能出来ない。
この相反するゲーム性を取り込んだのが大都のガンスリかな。