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サクラの花道 裏通り 3
サクラの花道 裏通り 3
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咲夜 一咲(サキヤイッサ)さん
月一ペースでコラム書いてます 偏見もあるので生暖かく見守って下さい - 投稿日:2016/09/27 10:16
下皿にあった200枚ほどのコインは、あっさり飲まれ、男の追加投資が始まった
追加してから少しで、バジリスクチャンス(BC)に当選した
それも、またあっさりスルーする・・・・・かと思ったら、一回のBCでバジリスクタイム(BT)に当選させた
そのBT中、BCに当選、自力で継続を獲得して、2セット目の事だった
ブブッ!
6択ベルを取りこぼす音が聞こえる
それくらいは、たまにはある
しかし、土屋は違和感を感じていた
そんな、焦って打つ様な時間や状況では全然無いのに、なんでペナルティをしているんだろうか
何かを狙っているような懐疑心で、いっぱいだった
だが、目的が分からないうえ、ペナルティをした所で獲得枚数が減って損をするのは男だけだ
そう疑問を捨て置いた
自力継続などで4セットまで続いたが、時々、ベルを取りこぼしているせいで、本来は600枚くらいは取れてもいいものが500枚程度になってしまった
土屋は、男の真意を測りかねていた
6を打たせろと強要しといて、何故、出玉を減らすようなマネをするのだ?
自分で出玉を減らすような打ち方をするのは完全に個人の責任だ
それを店舗のせいにするのは、さすがに暴論すぎる
なら、なんの為に?
遊戯開始から大体、1時間過ぎた頃、他の客も、多少は入ってきた
男は下皿で淡々と遊戯を続け、持ち玉でBCに当てるが、2、3回BCをスルーし、BTに入っても、でかい連チャンを出来ず、時々BCのハマりにより追加投資をする
そんな状態を、お昼頃まで続けていた頃、男の台に、あの演出がきた
男は、途中から天膳告知を止め弦之助告知でBCを消化していた
その弦之助告知で、バジリスク絆において通常の打ち手からすれば最強の演出が訪れる
ーーー残りベル三撃破
いわゆる、「設定6確定演出」というものである
BCで獲得出来る八回のベルの五回目(残り三回)でBTに当選する事は設定6以外に無い
だから、設定6確定演出、なのである
設定6を打てるように仕向けた男としてはサプライズにはならない演出
しかし、ここで男は奇妙な事をする
パチスロ台の上にある店員呼び出しボタンを押した
土屋が男の対応をする
「お客様、いかがなさいましたか?」
不満を手一杯、おし殺して対応する
「休憩だ」
ーーーは?
「休憩だ」と、男は繰り返す
台にはベル三撃破の画面が堂々と出ている
つまり、この台が設定6ですよ、と見せびらかすような物である
男の訳が分からない行動に土屋は軽い混乱状態だ
なんの為にだ?
自慢の為?
しかし、そんな事をされると、ますます悪目立ちしてしまう
設定6なんか入る訳がない寂れたボッタクリ店舗でバジリスク絆の説明6というのが、どれほど不自然に見えるだろう
幼稚園の「皆が書いた絵」の展示の中にゴッホの絵画が有る、というくらいの不自然さ
しかし、土屋は黙って受け入れるしかない
休憩札を台に置き、休憩から戻るのに必要な用紙を男に渡す
40分の休憩の内、30分程が経過した所で男は戻ってきた
その間、何名かの客にベル三撃破の画面を見られてしまった
これは、他の客にも怪しまれるかもしれない
そんな土屋の不安をよそに、男は台への戻り遊技を再会する
すると、このBTで今までの鬱憤を晴らそうとするかのように怒涛の連チャンをし始める
BCによる自力継続が上手く絡み、BC6回、BTにして8連もした
しかし、男は、このBTにおいて何度かベルナビを無視して打っていた
一撃1000枚、という数字は、なかなかだが、これだけ連チャンした中では、かなり取れていない方だ
本当なら、もう100枚200枚は取れてもいい
その原因は、明らかだった
ベルナビ無視
注意していれば分かるが20回か30回に一回、一回のBTに一回以上のペースでナビを無視している
この目的は、なんだ?と疑問を解こうと遠くから男の遊技を監視カメラで見ていた土屋は、ある事に気づく
一人の若者らしい客が、男の台の様子を時折、見に来ている
この若者は、男が休憩に行った時に設定6確定画面を、たまたま見ていた
それから若者は、男の台をチラチラと様子を見に来ていたのだ
仲間らしい様子は無いが、やはり、こんな寂れたお店に絆の設定6らしいモノがある訳がない、と気になるらしい
男は、というと休憩後に伸びた出玉から増えたり減ったりを繰り返し、まだ1500枚程しか出ていなかった
すると、また、BCの残りベル三撃破が出た
今度は、若者が様子を見に来ていた目の前で
若者は、目の前で行った設定6確定演出に驚いていた
そんな驚きをよそに、男は淡々と打ち続けていると、首を傾げながらも若者はお店を出て行った
変な噂を広げないでくれよ、と土屋は祈るしかなかった
夏の長い日中でも日が暮れてしまうような時間になる頃、男は、また店員呼び出しボタンを押す
「いかがなさいましたか?お客様」
あくまでお客様、として対応する土屋
「ヤメだ」と男は土屋に伝えた
まだ閉店まで四、五時間はあるのに、しかも、出玉はというと、大体2000枚有るか無いか、くらいだ
男の投資は総額で二万三千円にもなっており、これでは差し引き、およそ一万五千円くらいにしかならない
「終了で、よろしいのですか?」
本来なら終了するかの確認なんかしないが、土屋は思わず聞いてしまった
男は小さく頷くと並盛りにされたコインの入ったドル箱を土屋に持たせ計数機でコインを流し、レシートを受け取った
レシートを景品に交換し、そのままお店を出て近くの景品買い取り所で景品を買い取って貰う
その後、男は営業時間中にお店に戻る事は無かった
その代わり、たまたま、履歴を見て座った別の男性客が座り、またベル三撃破を確認してしまった
時間が微妙だったので出玉はそうでもないが、また一人、不自然なバジリスク絆の設定6を確認してしまった
土屋の溜め息と暗い顔は、閉店まで続いた
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咲夜 一咲(サキヤイッサ)さんの
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