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BAR BIG BONUS#6 サバンナの熱い風
BAR BIG BONUS#6 サバンナの熱い風
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岡井モノさん
「ダメです」「反応ありません」「完全に沈黙しました」 サーバーが不安定な時は使徒に襲われたネ○フみたいな雰囲気になる愉快な編集部です。 - 投稿日:2016/08/17 02:02
私は業界タレントが集まるバーの雇われマスター。
店の名前は「BIG BONUS」。
パチスロ好きなオーナーが開業時に、BARという響きを嫌い、
せめてもの縁起かつぎにとつけた名前です。
素敵なTOP絵はくりくり。さん
(http://pachiseven.jp/columns/column_list.html?uId=14740#contents)
にいただきました。
話は記憶を頼りに書いているため、
【間違っている部分も多いと思うので、鵜呑みにしないよう】お願いします。
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すっかり夜が更け、一人になった店内。
一息ついていると何かが聴こえてくる。
店の外から響いてくるリズム。
音楽はいつの時代も人々の気分を高揚させてきた。
だがこのリズムは、
特定の人々にとっては高揚どころではなく、
熱狂させてきたと言っていい、
それほどの魅力がこの音楽にはあった。
私はこの曲を知っている、
まさにサバンナを駆ける熱風のようなこの曲を。
徐々に店へと近づくその曲に、いつしか歌が加わっていた。
♪センガヤーマ ザンゾ
アバーテ チバボ
サーミ ヨッパヨパ
リャラーヒ サンマンホー♪
今夜のライオンさんは随分とご機嫌だな、
そんなことを考えていると、丁度ドアの向こうで音が止んだ。
……おかしいな、入ってこない。
カウンター内からドアへ送った視線は行き場を失う。
どうしたんだろう、
もしや店の前でつぶれてしまったか。
様子をうかがおうと私はカウンターを出て入口のドアノブに手をかけた。
「ガオッ!!」
ドアの隙間から咆哮と共に、ライオンさんが飛び込んできた。
うわっ!と悲鳴を上げて飛びのく、
まったく心臓に悪い。
「ガッハッハ!まだまだ甘いなマスター」
「もう、勘弁してくださいよライオンさん」
満面の笑みで喉を鳴らすライオンさん、『獣王』で知られるサミーさんの看板スターだ。
イタズラ好きな性格は相変わらずといったところか。
「サバチャンに釣られたな、待ち伏せは狩りの基本だぞ」
「やられましたよ、さぁ、お座りください」
「今日のオススメのツマミは何だ」
「丁度今週入って来た、エゾシカ肉なんかはどうでしょう」
「いいな、それにしよう」
会話しながらカウンター内に戻り、
フレッシュオレンジのブロンクスを提供。
続いて先日北海道の知り合いから仕入れたエゾシカ肉を香草焼きにする。
フルーツの酸味と肉料理は相性抜群だぞ、と言うライオンさんはご機嫌だ。
聞くとここが3軒目、ほどよく酒もまわっている様子。
「それにしても、サバチャンに歌詞が付く時代が来るとは、驚きでしたね」
「歌は串田アキラ氏だぞ、力強い歌声はサバンナチャンスに相応しいな」
ライオンさんは手についた肉汁を舐めながら言葉を続ける。
「サバンナチャンス(SC)というATが誕生したのは2000年の『獣王』だ」
「会社の名を一気に知らしめた、強力な飛び道具でしたね」
「当時ホールではこの音楽と共にメダルの山が築かれたもんだ」
内部では12種類の15枚小役がほぼ毎ゲームで内部成立する仕様で、通常時は取りこぼすこれらをアシストするのがSC。(通称サバチャン・鯖)
導入直後はシステムの難解さからか敬遠される向きがあったものの、その仕様が明らかになるにつれて稼働はうなぎ登り、「王」の名は伊達ではないことは、シマの熱気からも伝わったものだった。
「優秀な出玉性能、高設定の判別、技術介入要素、打ち手も殺到しますよね」
「ガッハッハ、高設定は機会割140%オーバーだぞ」
ライオンさんは大きく口を開けて豪快に笑う。
『獣王』は時代に愛された機種の一つだ。
ボーナス外で純増10枚という破格の性能を実現させたサミー。
高確判別、設定判別、SC延長等の豊富な攻略要素を明らかにしていった攻略誌。
そうした要素を望み、攻略にチャレンジしていった打ち手。
がっちりと噛み合ったその歯車は、火傷しそうな熱気をはらんでホールを動かしていた。
特にSCの一度突入するとどこまで継続するかわからない、という仕様は単純ながらも興奮度は高く、後にバトルボーナスとして文字通りメーカーの救世主となる機種を誕生させることにもなる。
ライオンさんは話を続けた。
「出玉ばかりが注目されがちだが、演出もなかなかに味わい深いぞ」
「単色ドットではありましたが、各動物の動きもよかったですね」
「今も続く『ダナゾ』や『キリン柄』はこの『獣王』由来だ」
「どちらも出玉の契機演出、象徴的なものでした」
追加の肉に手を伸ばしつつ、しばし思い出に浸るライオンさん。
私もほうほうと相槌をうちながら、当時のシマの様子が脳裏に甦ってきた。
「朝イチでみんなデモ画面を凝視して高確判別なんて、ちょっと異様な光景でしたね」
「勝てる機種として、パチスロファンを増やした要素だ、
まぁ、コピー打法には泣かされたけどな、ガッハッハ」
「えぇ…コピー打法って…自分から言うんですね」
思わぬ話題が飛び出し、私も少し動揺した。
酒の勢いか、ライオンさんからはちょっと後ろ暗い過去の話も豪快に飛び出す。
コピー打法とは当時のサミー系機種複数で通用した打法。
詳しい手順は割愛するが、その名の通り前ゲームのフラグをコピーできる打法が存在した。
単純に小役を連続して揃えることもできるが、何よりSC抽選フラグをコピーし続ければ勝率は格段に高まる。
当然業界は大騒ぎとなり、対象機のシマも一時閉鎖された。
対策として用意された所謂『ゴールド獣王』を覚えている人も多いだろう。
当時のパチスロは攻略全盛の時代だった。
技術と知識をフル活用すると勝率は全く違ってくるといってもよく、雑誌に加えてweb上でも情報戦が始まった時期でもあった。
その攻略要素もどこか仕様の穴をつくようなものや、バグじみたものも散見されたおかげで、ガセ情報も多く出回る闇鍋状態。
攻略が通用した場合の高揚感と背徳感は独特のものであったが、おそらくこのような時代は2度と戻ってこない。
現在では筐体のハード面とホールのセキュリティがしっかり機能しているので、仮にバグが発生すればすぐに情報が拡散され対応されるだろう。
「後継機として『超獣王』が用意されていたんだが、
爆裂機問題やら何やらで結局お蔵入りになっちまった、
ちなみにweb上ならばサミータウンで打つことができるぞ」
「色々睨みが効かされている時期だったので、仕方なかったでしょうね」
「その後登場したのが2002年『猛獣王S』だ、
ドットから液晶に変わり、ハード面も強化されたぞ」
「新たにゴリラさんも登場し、ダチョウさんと共にメインを飾りましたね」
規制対応後の登場だったため周囲ではパワーダウンがささやかれたが、蓋を開けてみると変わらぬゲーム性と出玉性能で支持を集めた。
そして強力な天井をこぞって追いかける、新たにそんな動きもみられた台だった。
「天サバの恩恵は今も語り草ですね」
私の言葉をライオンさんが返してくる、
「ガッハッハ、まぁな、
でもまだやりすぎだったのか、
4号機再区分により4.1号機と認定され新規設置ができなくなったぞ」
「………」
「………ハハッ、はぁ…」
二人の間に乾いた笑いが生まれた。
翌年には4.5号機『猛獣王G』として対応している、ゲーム性はそのままだが、爆発契機はかなり自重した仕様になった。
「ほどなくして登場したのは2003年の『サバンナパーク』だ」
「SCはサファリチャンスとなり、
プレミアの1000ゲームAT『グレートサファリツアー』が搭載されましたね」
「うむ、しかし純増3枚が打ち手には敬遠され、思うような結果が残せなかったな、
やはり高純増に慣れた打ち手には物足りなかったのか…」
「で、でもATが押し順方式になって打ちやすかったですし、
音楽のノリノリ感はシリーズ随一ですよ、なんというか、5号機ATに近い仕様ですね」
私も少々フォローを入れ、話を続ける、
「2007年の5号機『けものっち』、これも私は好きでしたよ」
5号機版の獣王はなんとノーマルタイプで登場、子役スベリからの告知が特徴だ。
ただしキャラクターはデフォルメされており、獣王らしさといえばサウンドくらいか。
「ノーマルタイプなので、こだわりがなければ普通に楽しめる機種だな、しかし…」
ライオンさんは俯いて言葉を濁す、
なぜ『獣王』シリーズで出したのか、という反発が一部にあり、ブランドの安売りなどと言われていたことを気にしているのだろうか。
「まぁ、プロモーション上の都合もあったんでしょうね」
「グルル…良かれと思ってつけた名前で損をしてしまったというところか」
「でも、少し間をおいてようやく本命が出たじゃないですか」
「2013年『パチスロ獣王 王者の帰還』、
ついに復活したATサバンナチャンス、
純増は2.5枚だがそこは時代というもの、
複数の上乗せ、特化ゾーン、リールアクション、
これでもかと盛り込んだ機種だぞ、ガオッ!」
「常に期待感を持続させる、遊園地みたいな機種でしたね」
注目度は間違いなく高く、実際派手な出玉報告も多かった。
しかし、毎週のように新台導入が繰り返され、度重なる煽りに疲れた打ち手。
演出過多が囁かれた時代、古参ファンが求めたあの頃の獣王の姿。
賛否はっきり分かれる結果となった。
ライオンさんは静かに口を開く、
「…自分で言うのもなんだが、決して悪い台では無い、
しかし猫も杓子もAT機を繰り出していた時期だった、
その数多のAT機のうちの一つとして埋もれてしまった感は否めん」
「システムまわりというよりも、演出の好みが分かれた感じでしょうか」
「でもな、オレは自信をもって楽しいサバンナチャンスだったと言えるんだ」
「確かに、嵐のような演出群とあのサウンド、たまりませんね」
「初代が時代に愛されたのなら、帰還はオレの時代じゃなかった、それだけだ」
いつになく真剣な表情をみせるライオンさん、
看板を背負う百獣の王は、風格漂う鋭い眼光で静かにつぶやく。
「はっきり言って、初代のサバンナチャンスをもう一度出せと言われると難しいだろう、
次に出た時には『こんなのは獣王じゃない』と言われてしまうかもしれない、
でもな、昔のような強い牙、鋭い爪が無いからと狩りをやめる獣はいない、
その時にできることを最大限に活かして挑むのが獣王だ、
ダメならより良いものを次に出すために爪を研ぐ、オレは王者であり挑戦者なんだ」
「昔は良かった」と悲観し何もしないならば、挑戦を諦めてしまえば傷つくことはない。
でも、そうしてしまうともう後は座して死を待つのみだ。
多くの人が「4号機は良かった」と過去にとらわれたその時に、
挑戦を諦めなかった人がいたからこそ、5号機の人気機種が誕生した。
ライオンさんの瞳に宿る炎は、サバンナの風よりも熱く燃えていた。
ぐいとグラスを一気に空にするライオンさん。
「まぁでも、やっぱりサバチャンは楽しいよな!さすがオレ!」
「次はまた新しいとっておきに期待していますよ」
「よし、マスター歌おうじゃないか!ヤッホヤッホヤホ♪」
「ええっ、ラ、ライオンさん、店内ではお静かに……もう、一番だけですよ」
そうさ!俺がナンバーワン
獣王(Oh!)王(Oh!)
牙をむけ!ガオッ!
二人だけの店内に、獣の咆哮にも似た歌声がこだました。
SEE YOU NEXT BONUS…
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岡井モノさんの
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このコラムへのコメント(19 件)
世紀末救世主のオマケに成り下がらないよう願うばかりです。
抱き合わせ・機歴販売、業界の問題でもありますね。
マングースはドットの動きも可愛らしかったですね。
さらに余談ですが、野生のキリンは意外に凶暴らしいです。ウヴォォ…
出玉の破壊力は時代と共に牙を失っていきましたが、
反比例するように演出の破壊力だけが尖っていきましたね。
それにしたも末代まで憎まれるとは、罪づくりな機種です…
実は私自身はほとんど打っていないというのは秘密です。
ただ、あの音楽が流れれば皆陽気にもなるというものですよ。
私的にはマングース登場音が凄い好きでしたね(>_<)チョイ熱キャラ
余談だが…キリンの鳴き声について、飲みながら談義した思い出は(笑)間違いなく獣王のおかげ( *´艸`)アリガトウ
入れられてしまった時の悲しみ。GSTは最後まで引けなかった。
帰還はチャンスなの?が末代まで許せません。
世代じゃないのでホールでは見たことないですが、中古ショップのゲームコーナーとかに絶対置いてあったのが獣王でした。
やっぱりみんな好きだったんですね!
しかし、このライオンさん陽気である
今ほど前兆やチャンス告知がはっきりしていなかった時代でしたね、「何か知らんがATってのが始まった」「いつの間にか終わった」「わかんないけど凄そう」最初期はそんな感じでしょうか。
獣王に限りませんが、往年の名機が肥大化というか奇形化というか…少し前まではそんな機種が多かったような(苦笑)
恐らく獣王を知らない人でも、このテンションをグイグイ上げてくる感じは伝わるでしょうね。
最近のプロレスラーの方は、パチスロを含む音楽やアニメ等のメディア方面に強い方が多い気がします。