- パチセブントップ
- コミュニティ
- パチ7自由帳トップ|ブログコミュニティ
- コラム(ブログ)詳細
あの幸チャレが舞台の映画が上映
あの幸チャレが舞台の映画が上映
-
アリオリ侍:Reさん
がんばった - 投稿日:2024/05/06 21:01
パチンコが重要な役割を担っている映画が、5月13日より劇場で上映されるのをご存じでしょうか。その映画のタイトルは「Floating Holidays(フローティングホリデーズ。以下フロホリ)」といいます。
この映画は、チャレンジャー幸手店(幸チャレ)が重要な舞台のひとつとして使われています。しかも幸チャレのオーナーであるひげ紳士が、普段とは逆の立場である”幸チャレのお客さん”として出演しており、彼のファンにとってはそれだけで観る価値のある映画かもしれません。
(画像引用:フローティングホリデーズ公式サイトより。幸チャレ店内でのワンシーン)
しかしフロホリの魅力はそれだけにとどまりません。パチンコユーザーであるならば、フロホリを観ればきっと魅力的に感じるはずです。もしもあなたがパチンコに関する事でごはんを食べている業界人でしたらなおさらです。なぜならこの映画は、パチンコ・パチスロの魅力と存在意義を【映画という文脈】を用いて表現してくれているからです。
業界から一歩先に出てしまうと批判されがちなパチンコにあって、何の利害もなくパチンコを肯定的に描いてくれるアーティストやコンテンツは貴重です。
たとえばドラマの劇中では、パチンコ好きな登場人物は残念な役に描かれてしまいがちです。お金に困っているだらしないキャラクターとして扱われる事が多く、あたかも社会の共通認識であるかのように、パチンコは悪いイメージの記号としてよく使われています。
世の中には、パチンコ以外にも固定的なイメージを持たれている記号がたくさんあります。勇者=魔王を倒す強い人。魔法少女=かわいい正義の味方。そんな通俗的な記号とイメージの紐づけにおいて、パチンコはいつもダークサイドです。悪役令嬢=陰険イジワル縦ロールと同レベルの先入観を世間から持たれてしまっているのが、パチンコの現実なのだと思います。
ところが、イメージが固定化され、社会に根付いたことを逆手にとってきたというのが昨今のエンタメです。たとえば「まおゆう魔王と勇者」という作品は、敵対するはずの魔王と勇者が協力する物語です。元となる長編小説が2ちゃんねるに書き込まれ始めたのが2009年でした。魔法少女をダークファンタジーとして描いた「まどか☆マギカ」が放送されたのは2011年。ニートである主人公が転生した異世界で活躍する「Re:ゼロからはじめる異世界生活」が、投稿サイト・小説家になろうで連載開始したのが2012年です。
これら作品は勇者・魔法少女・ニートといった記号が、社会の中でイメージが固定化されていたからこそ、それを逆説的に物語へ組み込むことで魅力的な作品に仕上がっています。ですから、パチンコの穢れきったダークなイメージを逆手にとった作品が、これからゾロゾロと生まれてきてもおかしくないはずです。そしてその映画分野での先駆け的作品がフロホリというわけです。
フロホリは、真面目な姉と奔放な弟のふたりが主役となっています。姉はその性格ゆえに心身を病んで休職し、田舎でひとり暮らしを始めます。そこに転がり込んできた弟は、重度のパチンカー。どうしようもないダメ人間です。
姉はそんな弟に度々迷惑をかけられ、呆れ果てます。多くの観客は苦労人の姉に同情し、思わず感情移入するでしょう。しかしこの映画の特に面白いポイントは、そんな真面目な姉の視点を通じて、自分自身に思わず問いかけてしまうところです。
『ダメの何がだめなんだろう?』
『“ちゃんと”する意味ってなんだろう?』
パチンカーの弟は、通俗的な道徳観念からするとたしかにダメ人間です。しかし物語が進むにつれて、弟は弟なりの哲学を通した生き方を徹底している事が分かってきます。
弟の性分を否定する事は簡単ですが、しかしそんな彼が、心を病んでいる姉に少なからず癒しを与えます。それは弟がパチンカーであり、ダメ人間であるからこそ出来たことでした。そうなると、観ている側としては彼を安易に否定する事ができなくなり、観る側の価値観をじんわりと揺さぶってきます。そうして思わず、前述の様な疑念を自身に問いかけてしまうでしょう。それこそが、このフロホリという映画の大きな魅力なのです。
-----
パチンコは、よろしくありません。しかしそれは、現代社会に通底している道徳とか常識とかモラルなんていう物差しで測った場合です。そんな固定化された価値観の戦場でたたかったところで、パチンコに勝ち目などありません。パチンコにはパチンコにしか出来ない事があるはずであり、それを奇貨として、固定されたイメージに対する「逆手」の一手にしたいところです。そしてこの映画には、新しいパチンコの魅力や存在意義の発見につながるヒントが沢山あるのです。
フロホリは日本映画の文脈でつくられた作品であり、だからこそ価値がある一方で、この作品だけで大局を動かす事は難しいでしょう。とはいえこの作品は数多くの海外の映画祭に出品しており、37もの冠を得ているそうです。国内ではあまり話題になっていない作品かもしれませんが、映画を通じて日本独自のパチンコ文化を海外に紹介し、評価を得ることに成功しているのです。パチンコのインバウンド需要が注目されている昨今の潮流とも和合します。そういった意味でも、この映画には観る価値があるといえるでしょう。
最後になりますが、フロホリをつくりあげたクリエーターたちのような「理解ある外野」を、パチンコ業界は全力で支えていって欲しいですね。それは金銭的な面に限らず、あらゆる形でです。
例えば、この作品では幸チャレが重要なロケ地として使われていますが、ロケ地の許可取りというのは滅茶苦茶大変なのです。この映画は幸チャレの店休日を使って1日かけて撮影していた様ですが、いくら店休日とはいえ普通の店舗ではハードルが高いのではないでしょうか。地域によっては店休日がほぼ無い所もありますし、新台入替の作業等で貸し出すどころではないかもしれません。大手のテレビ局や映画会社がバックについているのであれば、それなりの視聴率を見込めたり、有償で貸したりという事も出来るかもしれません。しかし小さい制作会社や自主制作のグループなどには、パチンコホールを借りるという時点でとてつもなくハードルが大きいのです。パチンコを題材とした実写作品が少ないのは、もしかするとそういった事情もあるのかもしれません。
ロケの誘致を積極的に掲げている自治体も増えています。たとえば群馬県では「ぐんまフィルムコミッション」というサイトを立ち上げ、ロケ地について制作者と行政が円滑に相談できるようになっています。
https://www.gunma-fc.jp/
パチンコを盛り上げるための業界をあげての諸活動は存じ上げていますし、これはあくまで出来る事の一例です。しかし乙女ゲー発祥の「悪役令嬢」が、2020年代初頭からノベルやアニメによってそのイメージを覆したように、「逆手」を巻き起こす台風の目はどこから生まれるか分かりません。数は打ったほうが良いように思います。
果たしてパチンカーが異世界を救うアニメが大ヒットする未来はあるのでしょうか。各方面に期待の熱視線を送りたいところです。
そんなありえるかもしれない未来の先駆けである「Floating Holidays」は、5月13日(月)より名古屋の大須シネマにて1週間限定で上映します。
http://www.osucinema.com/
2月に東京の大森にて劇場公開を開始し、その後の京都につづく3シアター目での公開です。
……遠い? 時間が無い?
もったいないですよ~。
「Floating Holidays」公式サイト
https://caminari.com/floating_holidays/
15
アリオリ侍:Reさんの
共有する
このコラムへのコメント(4 件)
ネット配信は無いのかなあ
なんらかで配信されるのを待ちます!