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【初めまして】挨拶がてら、短編小説を投稿
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赤頭巾さん
Aプロでリハビリ中の元ディスクアッパー よろしくどうぞ - 投稿日:2023/02/12 19:47
「振り下ろす右手に希望を握りしめて」
※これは、2017年に執筆した同タイトル作を2023年に編集したものです。
某戦国武将の城下町として知られる田舎町の、とあるホールへ私はよく通っている。煌びやかなネオンサインなど過去の遺物と化した現代、LED照明に変わったロゴの看板横を通り過ぎ入店すると、物凄まじい音圧が私を出迎えるのだ。
パチンコ店は下火などと各人が煽る中、それでも相変わらずなしぶとさで生き残っているのは天晴れとしか言いようがない。
もう見ることの少なくなったドル箱の山、無いに等しい高設定などを横目に、私が座るのは、いつも変わらないノーマルタイプだった。
ノーマルタイプの良さは3つある。
1つ目はボーナスゲームを当選させるための投資金額が少額で済むこと。
2つ目は設定判別が他のAT、ART機に比べて容易なこと。
そして3つ目。当たりの成否、やめ時がハッキリしていることだ。
特に、目の前にある新HANABIであれば、上記に加えて "遅れ"という発生するだけでドキドキ出来てしまう演出も良さに含まれる。
☆☆☆
「氷がテンパってハズレたら当たりだよ」
あれは8年前だったか。私が初めてHANABIという台を知り、友人に教えを請いた時に浴びせられた言葉がコレだった。
今であれば、
"左リール上段に暖簾を狙った時、平行にテンパイした氷が揃わなければボーナス確定"
という彼が伝えたかった言葉の真意を理解出来るが、当時の私は回胴式遊技機の基本すら理解していなかったのだから、彼の言葉の意味を理解してあげられなかったのは当然と言えよう。
☆☆☆
メダルを3枚入れて、台の左に取り付けられたレバーを軽く小突くと、軽妙なスタート音と共にリールが始動する。リールの回転速度は約0.7秒と来たものだから、描かれた暖簾や花火師を目で追うなど、常人には困難であることは明白なことだ。それを慣れで看破してしまう人間の適応力には、しばしば脱帽させられる。
停止ボタンを左、右、中と押していくがハズレ。約270分の1のビッグボーナスは、そう簡単に引かせてはもらえなさそうだ。
ふと、私の後ろに座る茶髪の男性が隣の大柄な男性と声を上げはじめた。リーチ目が出たようだ。
リーチ目とは、通常プレイ中にボーナスゲームの当選を知らせる特定の停止形のことを指す。
彼らは近くの大学に通う学生だろうか?
私は懐かしさからか自身の台よりも彼らに意識を向けてしまっていた。
思えば私も件の友人と、出目の一つ一つに一喜一憂していた頃があった。パチスロベテランを自称する彼から教わったことは多く、HANABIのリーチ目もその一つだった。遅れを耳で察知出来る彼によく指摘され、慌てて好きなリーチ目を出した事さえあった。
彼とパチスロに出かけるのが楽しかった。
思い出に更けていた私の手が動き出す。レバーへと、希望を握りしめて振り下ろす右手が鳴らしたスタート音は、あの時と同じく、どこか遅れを伴っていた気がした。
9
赤頭巾さんの
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このコラムへのコメント(6 件)
初めまして!
そうですねぇ。無くなられては困ります……
ただ、6.5号機やスマスロで活気が戻ってきているっぽいので、まだ大丈夫かなぁと思ったり……
なんだかんだはこの業界も潰れちゃならんモノでありますよね。
ギリギリまで楽しみたいなぁ…
そう言っていただけて嬉しいです!
当時、パチ屋の並び中に書きました……