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おしっこ加速装置

★心の名機プレゼン | コラム

おしっこ加速装置

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岡井モノさん
誰も投稿しないのをいいことに漫画投稿部門1位を狙う男
投稿日:2021/01/22 00:00

ああ、パチンコってこういう遊びだったんだな。


パチンコ・パチスロメディアで筆をとりながらも私はパチンコの面白さに長年懐疑的だった。出ないから、勝てないからとかそんなものは単なる結果なのでどうでもいいのだが、現代パチンコの仕様がどうにも私には合わないのだ。

・期待度が3%も無いのに変動開始からタップリ3分以上展開されまくるリーチ演出
・そんな無益な時間が何度も繰り返され飽きるを通り越して虚無に
・金保留だろうが星5リーチだろうが最終カットイン緑でハイワロ
・時短1セット走るだけで上皿崩壊するえげつない店長の悪意
・ムラがあるとはいえ貸出1プッシュで1~2回しか回らないこともある店長の悪意
・右を絞り過ぎた結果大当たり中なのに玉が減りもはや心の病としか思えない店長の悪意

きりがないのでこのくらいにしておくが、とにかくパチンコは当たる当たらないという以前にストレスのよくばりコンボ満載。機械的都合という枠の中に調整側の悪意がぎっしり詰まった嫌なおせち料理みたいな状態であり、純真な私はあまりの恐怖におしっこを漏らすかと思ったほどだ。

「このキャラが好きで──」
「あの名シーンが再現されてて──」

というパチンコファンの声も聞こえてはくるが、少なくとも版権台ならDVD等映像メディアを買えば簡単に何度でも観れるし経済的だろとしか思っていなかった。

{Photo02}


▲『CR CYBORG009 CALL OF JUSTICE(ニューギン)』

しかし私は間違っていた。この『CR CYBORG009 CALL OF JUSTICE』を打った時、パチンコとは体感エンターテイメントだったと気付いたのだ。

本機の舞台となっているのは石ノ森章太郎原作の『サイボーグ009』をフル3DCG&完全オリジナルストーリーでアニメーション化した『CYBORG009 CALL OFJUSTICE』。もちろん原作も良かったが、設定やキャラクターデザイン等が現代的にリファインされており、昔の作品はとっつきづらいと感じている新規勢も安心の作品だ。

いくつかスペック違いが存在するのだが、基本的に確変に入ればラウンド数の少ない大当たりが高確率で連続するいわゆるV確転落式スペック。ダンバインを皮切りに業界トレンドとなった連チャン中の加速変動&当選は大工の源さんで一つの到達点に至ったと感じるが、この009は丁度良い具合に調整されていると思う。00ナンバーズが時折カットインしつつ簡単な予告演出を出し、その数秒後には当選しアタッカーが開いて気持ちよく当たりを楽しむことができる。

{Photo03}


▲確変中は加速RUSHの名に恥じないスピード感

そりゃ勝てばなんでも楽しいし気持ちいいでしょと思われたそこのあなたは正しい。正しいが、本作の要所はそこではない。

パチンコ演出で嫌われる要素の一つが「無意味な煽り」だ。開発者がこの迫力の演出で打ち手も大興奮に違いないぜと思って作った演出であっても、数分かけて展開される演出が何度もはずれ、調べてみれば期待値10%以下だと知れば、この無駄な時間は一体なんだろうと思うのも無理はない。しかしアッサリし過ぎても面白くないし、出率が同じでも騒がしい台の方が稼働が伸びるというデータもあるのでそのあたりの塩梅は難しい。

その点本機はパチンコ化に際してただアニメシーンを切り取って垂れ流すのではなく、パチンコ用に新規作成された演出が多く、そのリーチ演出時間自体も比較的短い。VSリーチ系も比較的アッサリ当否がはっきりする。


そしてなにより注目すべきはリーチ前予告演出である。一般的には保留変化やミニキャラアクションなんかに代表される、数字がテンパイする前に期待度を予告する演出だが、この009は00ナンバーズが順に登場するお馴染みのカットイン演出をはじめ、特に力が入れられている部分だ。

{Photo04}


▲003俺だ!! 結婚してくれ!!

探知キャラである003は旧作で「なにか来るわ!!」みたいな予告煽りに多用されまくったうえ全然信用ならないというポンコツぶりが発揮され、彼女は探知じゃなく妄言キャラではないかと思われていた。しかし今回はバイクアクションもこなしながら水着ステージも用意されるという有能キャラに変化、新デザインも相まって猛烈に可愛い。


そんな本機のリーチ前予告演出であるが、なかでも注目して欲しいのが「加速連続演出」である。

「加速」というギミックは原作でも重要な意味を持つのだが、これがパチンコと相性抜群。突入するとglobeの名曲「FREEDOM」のアレンジバージョンが流れる中で変動が高速化し、加速UP図柄が画面内に3つ停止するたびにエフェクトの色が変わりさらに加速し信頼度がアップしていく。確率は低いがMAXまで加速するとそのまま図柄が揃うので、単なる予告だけでなくこのまま当たるかもという期待感を持てるし、最後まで加速しきらずとも発展次第で十分にアツい。

{Photo01}


▲この瞬間が猛烈に楽しい

パチンコの演出は原則的にチャンスアップが多いほど、演出がゴテゴテ追加されるほど当たりやすいと言う傾向がある。その結果が現在の煽りまくり時間延ばしまくりの状態なのだが、打ち手の早く当たって欲しい心理とはズレが生じている。アツい演出が来ると楽しいというのはその先に当たりがあるからであり、当たりの無い長い演出などだれも歓迎していない。当たることが最も大切なのだ。プレミア的に発展無しで直接数字が揃って当たる機種もあるが、それが「演出無しで当たって不愉快だ」などと言う意見は聞いたことが無い。

この「加速連続演出」が秀逸なのは期待感と共に感覚を文字通り加速できることにある。加速UP図柄が揃うと変動は早くなるが、それ自体は単なる演出であり当たりが早くなるわけではない、むしろ演出が続いて延長されている状態になっている。しかしこの演出のスピード感とどんどん早くなるという状態に冗長さは感じないし、むしろもっと加速して欲しいと思わせる。

あくまでリーチ前予告演出なので、MAX加速状態という例外を除いて当たることもなければはずれることもないというのも絶妙である。打ち手の心理としてはどんどん続いて加速して欲しいと思えるし、発展先ではずれたとしてもこの予告自体が無意味だという印象は残りにくい。


演出中に流れる「FREEDOM」も魅力タップリだ。

争いに勝つこと 土地を仕切ること
色で分けること 血を選ぶこと
FREEDOM 2人がいま
FREEDOM 離れているから感じる

もともとはこの曲はサイボーグ009とは無関係なのだが、ストーリーの根底にある反戦というテーマにしっかりハマっている。スピーディにアレンジされた曲調も相まってとんでもない没入感を演出してくれるので、一種のトランス状態的感覚に導いてくれる。

加速していく変動、SE、BGMが混然一体となって流れる心地よい時間。いつしか打ち手ももっと速く、もっと加速をと主人公である島村ジョーと一体化できるのだ。

この「加速連続演出」自体の期待度は11.8%程度と全く高くないが、この演出はまさしく正しい期待の煽り方なのだ。

演出そのものの面白さ、映像・音楽・操作が一体化する感覚、その先にある大当たりという期待、それらが一体となった面白さがここにあると気付いた時、私はおしっこを漏らすかと思った。

{Photo07}


▲全員集合シーンがある演出は基本的にアツい

誤解のないように言っておくが、本機は欠点のない完全無欠のマシーンではない。
そもそも出玉的な意味ではキツめの仕様であるし、ミニキャラ系のチャンスアップ演出が失敗すればその後何が起ころうと期待薄、ジョーがいなければほぼ何もできない00ナンバーズ、というように不満点もたくさんある。勝てば面白い、負ければつまらない。それも当然の感覚であり私も否定しない。


ただ、勝てるかどうかだけが重要であり演出は不要という意見は違うと思った。そして演出動画を観賞するだけで十分という意見にも異を唱えたい。

パチンコがパチンコであるという意味、そしてそれを教えてくれた『CR CYBORG009 CALL OF JUSTICE』。斜陽産業などという声もあるし、世間からは引くみられがちな業界でもある。しかし私はそこで活躍するクリエイターの方々に感謝したい。そしていつかまた、おしっこを漏らすほどの衝撃を与えてくれると信じている。

{Photo06}


7

岡井モノさんの

※本記事はユーザー投稿コンテンツです。

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