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スロッターあらすぃ 最終回 前編「それでも日は昇る」

【岡井のお題:ゆるいの】「スロッターあらすぃ」の必殺技とは? | コラム

スロッターあらすぃ 最終回 前編「それでも日は昇る」

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マグさんさん
初めての20スロはクレアちゃん2でした。クレアちゃんの可愛さを知れました。いやあ、クレアちゃんかわいいですよねえ。
投稿日:2019/01/19 02:24

夢を見た。
「さらば、諭吉<< no limit >>」と叫び強者と拳を交えた夢。
異世界で若人の初々しい恋路を旗から見ていた夢。
「集中するために必要なんだ」と言いながら変な被り物をしながらスロットを打つ夢。
プロレスラーのような恰好をしながら、出玉勝負をする夢。

ここ最近よく夢を見る。
すべてバラエティーに富んだ夢だ。
普通の人ならば喜ばしいことかもしれないが、俺には必要のないことだ。


起床後の日課は、くだらないテレビのワイドショーを見ることだ。
世間様の流れを知ったところで誰に話すわけでもない。
人とのつながりを失っている俺は、低俗な番組で世間様の流行を知ることで、認知・認識という側面から”俺と世間の繋がり”を保っているだけだ。


アナウンサーは嘘めいた笑顔を振りまきながら自分の言葉ではない用意された原稿を読み上げる。
「人気グループのarashiが新曲を発表し……」
arashiとは長年人気の男性5人組アイドルユニットだ。
俺はこいつらが嫌いだ。
なぜなら、俺とおなじ”あらし”という名前がついているのに、かたや何年もちやほやされて……
いや、待て、俺とこいつらに何の関係があるというのか。
何も関係ないじゃないか。あいつらは雲の上の存在。
そして、この"似ている"という感覚も夢で見たような……。


今までみた夢を思い出す。
すべてまるで自分が主人公のようだった。
いや、一部自分が主人公ではなかったが、だいたいが主役は自分のようだった。
俺の脳みそには優秀は劇作家でもいるのか。
普段ならばすぐに忘れている夢でも鮮明に思い出すことができる。




物思いにふけっている場合ではない。
今日も日当を稼がねばならない。


アパートの扉を開け外に出る。
ポストには赤い封筒が届いている。

年金機構、区の住民税、社会保険料の滞納催促状。
”無職の俺が払えるわけないだろう。ろくな仕事もしないのに要求だけは一丁前だな。”
心の中でそんな悪態をつきながら、パチンコ屋に足を急ぐ。

ゴミ収集車がゴミの回収をしていた。
制服を着た作業員らが街の清掃の為に汗水流して働いている。
自分が制服を着て、何かしらの組織に属していたのは一体何年前のことだっただろうか。
今日はよく物思いにふける日だ。

ゴミ収集の中にぬいぐるみがあった。
既視感がある。
そうだ、夢の中で見たんだ。
こいつは俺のことを子供がみるアニメの魔法少女にして悪いものと戦わせようとしていた。
既視感のあったぬいぐるみは、ゴミ収集車に積まれていく。
俺はまたパチンコ屋に足を急ぐ。

駅には着物を着た男が、一畳の畳を敷いて肩にフクロウをのせながら漫談をしていた。
男は東北出身で肩のフクロウは北海道で偶然出会い、意気投合した後に関東に出たという。
「これじゃあ、我々二人は本当にこの道で"荒らし"をしていったていうね!」
朝のワイドショーでやっていたarashiと掛けた漫談をしていた。
自分の名前も出ていた為ドキッとした。
いや、なぜ、自分が驚かなければならないのだろうか。

俺の名前”あらし”もアイドルグループの”arashi”もこの漫談のオチの”荒らし”も何も関係ないじゃないか。
何を気にしているんだ。何を自意識過剰になっているのだ。

”俺はそういうのとは無縁だし、もう何もかも諦めたじゃないか。”

心の中で何度も、何度も、何度も復唱し、冷静を取り戻した後に若者のそばを離れた。
周囲の人は、若者の漫談を聞いて心を和ませていたようだが、俺はそうじゃない。

夢を見ていた。
夢を見ていた。
夢を見ていた。

最近、といったがここ数年ずっと夢を見ていた。
おかしな夢だった。それでいて、朝には懐かしい気持ちになっていた。

朝にはいつも絶望をしていた。
自分が見ていた夢とは程遠い存在。
夢の自分と、今の自分。

もう何年も笑った記憶がない。

いつのまにか、パチンコ屋の抽選を終え入店をしていた。
狙っていた台に座って、メダルを入れ、レバーをたたくだけ。

あたりの演出にもはずれの演出にも心躍ることなく淡々と仕事量をこなすだけ。
"この台を打っていれば、この台を打っていれば今日の日当分は稼げる。明日に繋げられる。"

明日に繋げてどうするというのか。
今日も昨日も次に進む努力をしていないのに明日に進んでどうするというのか。

夢の自分はどうだっただろうか。
信頼できる仲間がいた、競い合う好敵手がいた、友達がいた……
今の自分に、どれか一つでも手に入っているだろうか。



「----助けてほしい……。助けてください……。」
何年も思っていたことを不意に口にした。
祈り・懇願にも似たその”必殺技”はパチンコ屋の騒音の中、誰に聞こえるわけでもなく虚無の中に飲み込まれた。


前編 終
後編 2019/1/31

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このコラムへのコメント(3 件)

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霧のように岡井モノ
投稿日:2019/01/20
むむむ、独白型の表現とあいまってメタフィクション的な不思議な世界ですね。後編は日付まで予告されているので、今後の展開が楽しみです。
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ひろし
投稿日:2019/01/19
何の機種の話かなぁって読んでました。それでは月末まで御機嫌ヨー
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DC兵マツバ
投稿日:2019/01/19
まさかの社会派。
実体験に基づくと思うようなテキストで全然ゆるくないではない…。
なのに、ところどころがコミカルかつ既視感があるからすんなり読めますね。
つまりは早く後編出してってこと。

マグさんさんの
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