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  4. 万枚補償? マツヤ商会からの最強の刺客。4号機AT機『ツインバディ』のしくじり物語。

元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~

2022.10.10

万枚補償? マツヤ商会からの最強の刺客。4号機AT機『ツインバディ』のしくじり物語。

元・店長カタギリ 元・店長カタギリ   元店長カタギリのしくじり機種~歴代パチンコパチスロ事件簿~


先月、某人気パチンコ台での大量出玉が話題になりましたね。その出玉数、なんと21万発。奇跡的な大勝利、羨ましいなと思いきや実は遊技台トラブルが原因でひたすら出っ放しになっていたようですね。21万発ゲットは幻と化し、遊技されていたお客様はホールから一定の補償を受けてお開きとなった模様。ま、故障なら仕方ないですわな。

ここで皆様が気になるのが「一定の補償」の割合ですよね? 台が壊れたとはいえ21万発、だったら10万発ぐらい補償されたのかな、そんな風に考えられる方もいらっしゃるかと思います。実際、機械トラブルによる出玉補償は一切ナシといったところから一定の上限を設けて補償を行う等、ホールによって対応は違うはずです。

ちなみに私の店では台がトラブルによって遊技続行不能になった場合は即、稼働停止となります。トラブルが発生したタイミングが確変やST中などの場合、継続率から平均連チャン数を算出して補償するハウスルールとなっています。継続率80%で1回の出玉が1,500発の台だと、平均継続回数の5回×1,500発で7,500発を補償、といった感じですね。ハンドルや賞球のトラブルで玉が飛ばずにVに非入賞で大当り消滅、といったケースも同様。この対応でお客様とトラブルになるケースはほとんど無く「この台はここから30連チャンするはずだった、5万発は補償しろ!」みたいな人はいらっしゃらないです。ま、昔はこういうクレームも多かったのですが、現在では補償があるだけマシか、と考える方が多いようです。

こうした機械トラブルによるお客様への補償対応については、私にも強烈な思い出がございます。今回は想定外のトラブルによる、冗談みたいな本当の話をお届けしたいと思います。20年近く昔の話ですが、今でも鮮烈に記憶に残る実話ですから。

 

★今回のしくじり機種は『ツインバディ(マツヤ商会)』

▲ツインバディ / 2003年

導入年は2003年、AT機や大量獲得機を中心に多種多様なマシンがホールを席捲していた4号機の全盛期ですね。そんな群雄割拠の鉄火場に時期に突如として現れたのが今回ご紹介する、何とも言えない名称のAT機『ツインバディ』。ワンチャン最大3,000枚獲得のATが搭載され、上乗せもアリ。他機種に劣らぬ爆発力を引っ提げたマシンです。

メーカーはその名を聞けば当時のユーザーなら思わず「ああ、ハイハイ(笑)」と薄ら笑いを浮かべてしまう『マツヤ商会』。そう、登場と同時に誰もが単なるAT機だとは考えなかったマシンです。事実、普通のAT機ではありませんでした。では、イリーガルAT機の本機は何故しくじってしまったのでしょうか?

 

しくじりポイント1:ユーザーのニーズに全くマッチしないゲーム性

本機の導入当時は前述の通りAT機全盛期。大手メーカーが、こぞって万枚や2万枚の可能性を秘めた爆発力の高いAT機を市場に送り込んできていた時代ですから、ユーザーは当然ながら大手メーカーの人気機種に注目します。当然、ホールもそれらの機種に設定を入れていた訳ですから。

そこにやってきたのが違った意味で有名なメーカーマツヤ商会のAT機。普通の台ではないであろうことは承知の上で、イリーガルマシンならではの大量出玉に期待して打つユーザーが求めているものは、明らかに異常な偏りで出現するボーナスという「尋常ならざるボーナスの連打」や、小役前兆や特定のゲーム数でボーナスが出現しやすいといった「ノーマル機とは全く違った挙動やゲーム性」なのです。つまり、ボーナス主体のゲーム性こそイリーガルマシンに最もふさわしいスペックなのです。

厳密に言えばツインバディはA+AT機。すなわちボーナス搭載機なのですからATで出玉を増やすゲーム性ではなく、ATはショボいけどボーナスがやたらと連チャンする、といった方向性にした方が、ニーズに応えられたのではないでしょうか。

中身のよくわからないアブノーマルAT機。どこがアツいのか、どうなればアツいのか。そういった特性を伝えきれないまま「出る時は出るけど、よくわからない台」といった評価を下されてしまった点が最大のしくじりポイントと言えるでしょうね。

 

しくじりポイント2:ユーザーの反感を買う非常識な演出

マツヤ商会のマシンといえば、チェリー連やリプ連といった「小役前兆マシン」が定番。その期待を裏切ってボーナスや小役の出現率を大幅に削ってATの性能に全振りしただけでも「これじゃない」感が満載です。にもかかわらず、そのAT中にも不満要素が存在していました。

AT中のリプレイナビがハズれてもボーナス確定ではなく単なるチャンス、単なるハズレ時に発生する押し順ナビ音声といった、不快かつ不安になるような演出やバグが発生してしまうツインバディさん。ATの出玉性能に全振りしたにも関わらず、肝心のATがお粗末なのは致命的。さらにこのバグが、後述するトラブルを引き起こします……。

 

しくじりポイント3:AT機として無理のあり過ぎたハード面

ツインバディの演出面を担っていたのは、7セグと上部ランプのみ。液晶も大型リールもフラッシュすら無い、怪しさと古臭さを漂わせる筐体でした。メダル投入音からリール始動音、リール停止時の音に至るまで安っぽく、淡々としたゲーム進行となります。

7セグが3つ揃えばボーナスorATで、ATは最大3,000枚のチャンス。そのゲーム性を盛り上げるには、あまりにもチープな演出、そして期待感の無いルックス。人は見た目で判断されがちですが、パチスロもまた然り。高いポテンシャルを秘めていても、人を引き付ける魅力があまりにも欠け過ぎていたのも残念です。見た目も中身も今ひとつ、まるで私と同じじゃないですか。母さん、生まれてきてごめんなさい……。

 

★元店長カタギリと『ツインバディ』

実はこのツインバディ、私が20年前に勤務していたホールに設置しておりました。その台数、なんと20台近く。イリーガルマシンが複数設置していた悪名高いホールでしたから、新台入替時には当然の如くフルーツ泥棒みたいな目つきをした大勢のスロッター達で賑わっておりました。

新台入替オープン初日は、開店から数時間もするとシマのあちらこちらでドル箱の山が築き上げられ、まさにフェスティバル。中でも際立っていたのが推定身長190センチ、自称・個人金融業者のY氏の遊技していた台。AT中に上乗せを重ね、既にセグの表示は万枚確定の『FFF』が表示されて猛烈な勢いでメダルを吐き出しておりました。私自身、何度も一撃3,000枚の上乗せの瞬間を目撃しており、万枚どころか2万枚コース確実の猛爆状態となっておりました。

ところが、事件は突然に起こりました。

上乗せに上乗せを重ねて、さらに上乗せが確定した次の瞬間になんと、Y氏の猛爆ツインバディは何事も無かったかのように通常時に移行してしまったのです……。

消滅したAT。その現実に一瞬、何が起こったのかわからずに身動きひとつしなくなったY氏。その背後で、これまた同様に筐体を見つめながら呆然と立ち尽くす私。Y氏はゆっくりと振り返ると一言、こう呟きました。

「見てたよね……?」

ええ、もちろんハッキリと。間違い無く、バグでATが飛ぶ瞬間を肉眼で確認しましたよ。そして今、アナタの般若のような表情もしっかりと見えています……。

「これ、どうなるの?」

追い打ちをかけてくる般若、じゃなかったY氏。上司に確認しますと告げ、マルチーズのような猛ダッシュで事務所へ向かう私。

事務所では新装初日ということもあって役員が待機していたため、ただちに報告。2万枚ほぼ確定といったところでATが突然終了しました、私も確認済みです、どのように対応すれば良いでしょうか、そんなことを矢継ぎ早に質問しました。機械故障だから補償ナシ、そんな返答になるのかな、Yさん納得しないだろうな、私の頭の中には般若の顔が浮かんでいました。

しかしながら役員のIさんの顔には「だろうな……」と言わんばかりの表情が浮かんでしました。狼狽える私に向かって「万枚だけ補償してやれ」とだけ告げ、やれやれといった顔で溜息を吐き出したのです。

再び生まれたてのチワワみたいな足取りで人生もBモノでおなじみ、闇の金融業者Y氏の元へ何とか辿り着き事情を説明、故障のため万枚の補償になりますと丁寧に告げる私。当然「ふざけんな、2万枚は出る状況だったろ!」と怒鳴り散らされるのを覚悟していたのですが、意外にもY氏は仕方ないと言わんばかりの表情を浮かべながら「いいよ、それで」とすんなり了承してくださいました。思えば超がつくほどの常連客、ここでゴネても自分の得にはならないだろうとの判断だったかと思います。


さて、それでは補償にまいりましょう。

メダル計数機の前にメダルタンクを移動させ、ジョッキ一杯のメダルを何度も流し込みます。猛烈な勢いで計測する数値は2,000、3,000、4,000…と、カウントを伸ばしています。その数字を見つめながら必死に何度もメダルを流し込む私。数値が9,000を超えたあたりから流す枚数を慎重に調整し、最終的な数字はジャスト1万枚。これでいいのか、いや、こんなことしていいのか、何をやっているんだろう、私は。そんなことを考えながら、Y氏に「メダル 10,000枚」と印字されたレシートを手渡すと、Y氏は通常時に戻ってしまったツインバディの残りメダルを交換して去っていきました。良かった、無事に納得してもらって……。

パチンコ業界の長い歴史の中でも、このようなアナログ式の補償を、しかも1万枚のメダルを計数機に流して行ったスタッフはあまりいないのではないでしょうか? 補償を受けた経験も稀ではあると思いますが、補償した側のこういった経験もまた稀であるだろうな、というお話でした。

元マツヤ商会の開発者の方、もしいらっしゃいましたら私にカステラぐらい差し入れしてくれてもいいんですよ? あ、ちなみに20台近いツインバディ、当然のようにウチの店からソッコーで撤去されましたよ。

 

★まとめ ~『ツインバディ』の記憶~

『マツヤ商会』の名は今なお好事家の間で語られますが、同メーカーが輩出したAT機ツインバディについての話が盛り上がることは滅多にありません。

爆裂マシンを数多く輩出したメーカーの血を濃く受け継いだマシンでありながら、時代の波に乗り切れなかった正に不遇の「しくじり機種」と言えるでしょう。これまで紹介してきた数々の機種の多くは、その失敗を教訓として新たなヒット機種を生み出したケースが目立っていますが、ことツインバディに関してはメーカー自体も消滅しており、栄光の礎となった気配もありません。

それでも今回、私がこうした形で記事にすることでどこかの誰かが思い出し、当時の活気ある鉄火場の空気感を懐かしんでいただければ良いなあと、そんな思いを込めて書き記しておきました。

 

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元・店長カタギリ
代表作:しくじり店長

シルバ〇アファミリーみたいに小さなパチンコ店の責任者から一転、 雑巾がけがメインの業務となってしまった事務員へとグレードダウン。 そんな設定①のスランプグラフのような半生を、隔週水曜日に連載させて頂いております。 タイトルは「しくじり店長」。 パチ屋の店長が平社員へと降格していく逆サクセスストーリーを、 海物語シリーズの泡リーチを見つめるような気分でお読みください。

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