僕らは位置について横一列でレバーを叩いた　前編

はーい今日はオッサン昔話するぞー。でも今日の昔話はちょっと聞いとけ。

あの頃後悔した生き証人が、今を支える君たちにビッグなお世話だが１つの助言をさせて貰う。

ひょっとしたらバケなお世話くらいにはなるかもしれんからの。





出会いがあれば別れがある。四苦八苦の四苦にも数えられるこの愛別離苦。愛する物との別れはいつだって苦しいもんだ。


一昔前のホールには特定機種の聖地と呼ばれ、独自の色を出すところも少なくなかった。

僕が当地居た町のパーラーV店は、この町においてある機種の聖地とされてんだ。


その機種　ー初代ミリオンゴッドー


良く出てよく飲まれる。1/8192でのみ赦された約束の5000枚。そんな台の聖地。無論、鉄火場である。

その鉄火場にこんな掲示が行われた。



「今月17日。ゴッドラストデー。」



その掲示に、神に魅入られ狂信者の如くレバーを叩いた町のクズ共は、それなりに驚いた。

「撤去を予告すんのか」と。

どんな人気台であれ去り際と言うのは寂しい物だ。期待に胸膨らませて抽選を潜り抜け座られた新品のあの台も、汚れ傷つき知らぬ間に消えたその台となる。




でも予告があった。まるで、「最後に派手なことしようぜ。」と、その掲示物は信者を煽るかの様に。




神に２度と触れられなくなる。




結果稼働は加速した。そして最後の日を迎える。ゴッドラストデーの当日、前日の閉店前から並びが出た。信仰心の強さは、常識を打ち砕く。





8:50　入場開始








俺も、狂信者のクズだった。







次回へ続く。

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