『せっかくフリーズ引いたのに』第15話

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15話
◆走

　このボーナスがもしビッグなら判別手順やり直しとなる。
　レギュラーは15枚小役としてそのまま手順続行できるのに対し、ビッグは小役減算値とやらがリセットされる。
　もちろんいままでのデータは活かせるけどボーナス消化と判別開始までの数十ゲームが痛い。

　なんたって残り枠数はたったの2人分。
　焦ったやつらが解答スペースに並び始めてもいる。

　一生分の運を使ってもいい……そう祈りながら1枚掛けで中リールを止めると……BAR！
　よしっ！　変なリール制御さえなければレギュラーだ。

　なんとかレギュラーボーナスで済み、それを消化しながらスマホで計算をする。

　15%のモノが13回引けない確率は約12%。15回なら約9%になる。
　パチンコで信頼度88%は時々ハズすけど91%ならかなり確信に近いレベルと言っていい。もちろんこのへんは個人差あると思うが。

　だから、あと2回……あと2回カウントしよう。

　そう決めて、設定5以上判別は捨て、設定6判別を続行することにした。

　レギュラーを揃えたときのクレジットが32だったな。
　なので、クレジット精算後、手持ちの2枚を入れて31になるまでコインを追加。

　ここから手順の続きを開始し、ついに15回目……小役揃わず！　6ではない！　たぶん！！

　すぐに席を立ち、中央へ走る。

　確信はない。あのヒゲオヤジがこの攻略法を使っていたかなんてまるで見てなかった。
　適当に3とか押してたまたま当たっただけの可能性も十分にある。
　でもさ、元の世界へ帰る時、笑ってたんだよ。あの顔は余裕ある人間にしかできないんじゃねえかな。
「おまえら若造はなにもわかっちゃいねえ」、そんな印象を受けたんだ。

　だから──オレは解答スペースの列に並んだ。

　これが、最後の勝負だ。

(続く)

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