パチンコ代稼ぐために日払いバイトに行ったときの話

パチンコ打ちたいけどお金がない！

一部のプロと貴族の方を除けば、誰しも経験したことがあると思います。

私はというと、引き弱な星のもとに生まれたうえに、腕もないということで、人一倍その想いを味わってきました。

そんな時助けてくれたのが丸井という慈善企業で、お金がないうえに学生証しかない私に、簡単にお金を貸してくれました。返す時にほんの少し、いや、よく考えるとまあまあ多めにイロをつける必要が有りますが。

しかしながら、いくら優しい丸井さんとはいえ限度額というものがありました。信用して頂くと10万単位で増えていくのですが、当時で最大でも50万だったと記憶しております。

すると、冒頭の「パチンコ打ちたいけどお金がない！」に戻るわけですが、ポケットの小銭を集めて「パチスロ必勝ガイド」を買いにたどり着いたコンビニで、その横にあったフロムエーが何となく気になってパラパラとやっていると、「日払いOK！時給1000円！登録制倉庫内軽作業」と景気の良い求人が視界に飛び込んできました。

これだ！！

すぐに金がもらえてパチンコ打てるなら、どんな仕事だってやれる！

フロムエーを購入し、すかさずPHSで記載された番号に電話したところ、面接、履歴書は不要でさっそく翌日から仕事に入って欲しいと言われました。

正直私は、「軽作業」を舐めていました。

植物物語というシャンプーや、石鹸の銘柄はご存じでしょうか？

初日に与えられたのが、「植物物語のシャンプーが入ったダンボールを開け、ボトルをテーブルに並べる」という仕事でした。

私が出したシャンプーを、別の人が出したリンスとボディソープをセットにして袋に詰める、という一連の流れの、「シャンプー係」を任せられたのです。

想像してください。

早すぎず遅すぎず、常に一定のリズムでシャンプーをテーブルに置き、一瞬の隙をついてダンボールを畳む…。

9時から17時まで、ひたすらその作業を行うのです。

ハズレ確定のアステカルーレットにすら舌打ちを連打していたほど堪え性のない私は、開始5分で気が遠くなりました。

途中「あのリンスのおっさん、下手かよ！リズム悪いな」とか「ボトル出す係のほかに、畳んだダンボールを運ぶだけの係もあるのか…それがよかったなあ」など周りを観察することで、何とか永遠を感じさせる時間をやり過ごし、待ちに待った昼休憩にたどり着くことができました。

そのときのハイライトのうまさは、忘れられません。

全身全霊でタバコを味わっていると、リンスにポンと肩を叩かれました。

「君、経験者？うまいねえ。才能あるよ！」

「…うす。…あざす」

褒められると悪い気はしません。

午後の作業はリンスにいいところを見せようと、さらにキビキビと働きました。

日当ては実働7時間、源泉をひかれ6000円ちょっとだったと記憶しています。

その金を握りしめホールに突撃し、あっさりと6000円負けました。
帰り道、夜空を見上げ「植物物語をテーブルに並べる才能より海物語の才能が欲しかったなあ」と思いながら涙を流しました。

その後、「丸まったカーペットを一日中広げる」という仕事もしましたが、やはり同様のキツさでした。

それでも辛い作業中、薄れゆく意識の中で「こんな不毛な作業で1時間千円もらえるのか…もしかして日本ってものすごく豊かな国なのではなかろうか」と思い、パチンコと倉庫内軽作業があるこの国に生まれたことを、深く神に感謝しました。

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