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冥府への旅
冥府への旅
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SpringWoodさん
「完璧なパブコメなどといったものは存在しない。 完璧な法改正が存在しないようにね」 - 投稿日:2015/04/03 14:26
完璧なスロットなどといったものは存在しない。
完璧なホールが存在しないようにね。
隣に座っていた初老の男は言った。
「さっきから黄色の7が揃ってるんやけど当たりちゃうの?」
やれやれ。
僕は頭を振った。
「おじさん、これは子役だから液晶で奇数の赤い数字をそろえないと。」
僕は言った。
初老の男はすこし訝しげな表情を浮かべたあと、黙々と打ち始めた。
しばらくすると
キン、キン、………………タン。
キン、キン、…………タン。
キン、キン、……………………タン。
音のするほうに何気なく目をやると、老人はつぶやいた。
「あかんなぁ。。」
目押ししていた。
これはしまった。と僕は思ったがそのままほうっておいた。
僕のほうはというと世間でささやかれているゾーンとやらを無事に通過し、
データランプの目盛りは880を指している。
自分がどこにいるのかも定かではなかった。
正しい方向に進んでいるという確信もなかった。
ただどこかに行かないわけにはいかないから、
一歩また一歩と足を運んでいるだけだった。
物静かで言葉をまったく発しないこの機械は
キンキンと、どこか無機質でそれでもテンポよく僕の感覚を麻痺させていく。
このまま天井まであてのない旅をするのも悪くない。
予言にも似たそんな感情をいだいたとき
ふと右下の、おおよそ役に立たないディスプレイに目をやった。
777と黄色い7がならび、鈍い光を放っている。
そう、ちょうど深夜に信号機が黄色の光しか発しなくなるようなぐあいで。
よして下さいよ。
そう思いながらもリールを回す。
タン、タン、……………タン!
目押しなど必要がないと隣の老人に心の中で言っておきながら
右下に黄色い7を狙う。
きた。
いつもは役に立たないディスプレイに黄色の7が4つ並び、鈍い光を放っている。
激しくて、物静かで、哀しい。
冥府への扉が開いたのだ。
僕を迎えてくれるのは誰だろうか?
ゼウスの娘であり、ハーデスの妻でもあるペルセポネか、
それともご主人みずからお出迎えかい?
パネルの文字はNOMOREDOG。
僕は期待にも似た感情を抱きながら冥府の扉を開けた。
「ワォ~ん」
玄関にいたのはやはりワンちゃんだった。
そういえば我が家でも玄関を開けると犬が真っ先にやってくるっけ。
妻など出てきた事もない。
ふふふ。
ご主人がいたらもっといやだ。
「犬でいいのだ。」
ねじり鉢巻をまいたちょび髭のおっさんの言葉が脳裏に浮かんだ。
その後犬は特に戯れることもなく駆けぬけていき、ゲーム数は既に230G。
冥府への小旅行に35kを消費した僕はふたたび犬に会うために家路に着くことにした。
隣ではキンキンおじさんが二箱目を積んでいた。
END
カワイすなぁ♥
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