時代～鈴虫の一分～第12話～アイムジャグラー

鈴虫君時代～鈴虫の一分～

パチスロの勝率は、機種や遊技時間、交換率などによって異なるが、設定1でも30%から40%はあるとされている。10回に3、4回はラッキーパンチが炸裂する計算だが、体感ではテキトーに打ち散らかした際の勝率は2割、いや、1割ではないだろうか。

今年に入って全敗。横綱なら引退を表明している成績である。それなりに考えがあって、低設定は避けようとして打っているのだから、今は下ブレの時期なのか。もうなにがなんだかわからないシーズンというのは、年に一度はあるもの。

ここはひとつ、雑に台を選んで打ってみたい。メンタルをリセットするためにも、負けてもいいや、今日は遊びだからと、あくまでも「遊技代」として5千円ほど払う感覚で打ってみよう。

機種はアイムジャグラー。テキトーに選ぶといってもこっそりデータを見てしまうのが自分という人間で、染みついたものを落とすのは簡単なことではない。

それほど稼働があるホールではないので、サンプルこそ足りないが、REGの出現率が悪くない、総ゲーム数1220、ビッグ3、REG5の台を選んだ。自信を持って押せるわけでもないから、ヤメるときも気持ちがラク。5千円だけ打つにはある意味、適したデータである。

財布から5千円札を取り出す。5千円札は本当に使い勝手がいい。1万円だとプッシュが止まらなくなって、想定外の1万円負けがある。逆に千円は、いい大人が一枚一枚、財布から千円札を取り出して打つことに抵抗があるタイプだからこれも無理。あくまで5千円と決めて打つ場合は、5千円札をサンドに入れるのがちょうどいいわけだ。

いつものように、無抽選とすら思える通常時を消化していく。ブドウ、リプレイ、時々チェリー。しょうもない遊技が続いて、さあ帰ろうかとタバコをポケットにしまったら見慣れないランプが光ってビッグが揃った。ビッグなんていつ以来だろうか。続いてもう一発。素早い当りがくる。

164 777 5K
23 777

一気に下皿が満タンになった。その下皿を見て、喜びよりも不安が襲ってきたのだ。このコインがなくなったらどうしよう、このコインを失いたくない…と。

5千円はあくまで遊戯代だった。悪く言えば捨ててもいいような感覚だったわけで、仮に目の前にあるコインがなくなっても結果的に想定内。同じ5千円負けである。しかし、目の前にコインがあるということは、プラスで終えれるということだ。

こんな経験はないだろうか。待ち合わせまであと1時間、それこそ負けてもいいやと軽い気持ちで打ち始めるも、いざコインが出てしまうと目先のお金が愛おしくなるのである。人間はズルい生き物で、想定外の報酬を必要以上に守りたがる傾向にある。

もう少し打ちたい、さらに増えるかも、いやいやノマれたら痛すぎる、これらの感情が波のように押し寄せてきて、パチスロどころではなくなった。

140 ヤメ

370枚を流してヤメた。1500円と収支はわずかだが、ひさしぶりのプラス。それよりも、打てば打つほど命が削られるような気持ちになって辛かった。俺はもうこんなパチスロは打ちたくない。常に勝つことだけを考えて、閉店間際までブン回す。いつの時代もそうでいたい。

鈴虫君の実戦結果

【今回の実戦】
実戦機種：アイムジャグラー（総G数：1220 BB：3 RB：5）
ゲーム数	出来事	投資など
164	777	5K
23	777
140	(ﾍﾀﾚ)ヤメ	370枚

【ここまでの収支】
勝敗	収支
3勝9敗	+5770枚

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鈴虫君: 代表作：ほぼ週刊勝利人、負け人相談室、時代～鈴虫の一分～

北海道釧路市出身。大好きなパチスロを打って楽に暮らせると思い込みライターになる。パチスロ必勝ガイドを中心に多岐にわたって活躍している…わけではなく、他人のおこぼれにあやかろうと必死にしがみついている。好きな機種はカイジとニューパル。

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