あのときオレはクズだった　第4回

田中（クズプロ田中→クズ田中→田中）あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~

【メーカー】アルゼ
【販売年月日】1998年8月
【タイプ】Aタイプ
ⓒARUZE

【田中氏のコメント】 1998年8月にデビューしたアルゼ(当時)の4号機。フラッシュと音によって花火の迫力を再現したゲーム性や、玄人をもうならせる至極のリーチ目。高い技術介入性などが幅広い層に支持されたが、なんと言っても話題を呼んだのは｢遅れ｣。スタート音が遅れたらチェリーorボーナスというマニアックな要素が打ち手を虜にした。

｢オレに金を預けたら倍にして返してやる｣。

　無策のくせにマンクラが打ちたい一心でそう宣言し、結果は惨敗。借金返済のために焼鳥屋でアルバイトを始めることになった田中青年。とはいえバイトを始めたからといってお金がすぐに入ってくるはずもなく、最初の1ヶ月間は客の残した焼き鳥を食べたり、調理場の食材で勝手に炊き込みご飯を作って食べたり、わざと誤発注して焼きたての焼き鳥を食べたり、洗い場にいる丸顔のバアさんとくっちゃべったり、売り物の瓶ビールを勝手に飲んだりしながら、時給相応のバイト生活を送っていた。

　焼鳥屋があったのは、愛媛県最大の繁華街である大街道。アーケード街になっているこの繁華街にはパチンコ屋が数多くあり、いままで自宅と高校近くの店にしか行ったことがなかった自分にとって、そこはアトラクションがひしめくテーマパークのように心躍る環境だった。

　金があろうとなかろうと、パチンコ屋はスロッターにとってもっとも落ち着く場所なわけで、自分も｢両替に行ってきます｣だとか適当な理由をつけては店から徒歩20秒のパチンコ屋に行き、人が打っているのを後ろで何十分もただずっと見ているという、いま思うとなにが楽しいのかよくわからない行為を毎日のように繰り返していたのだけど、そんなときに、店のすみにある休憩用のソファー、その上に無造作に置いてあった本に目がいった。これが、自分とパチスロ雑誌との出会いだった。

　コンビニの本棚でなんとなく視界に入ったことはあったものの、本でパチスロを勉強するという思考がまったくなかった自分は、毎月必ず隣の成人コーナーに置いてあるAV解説誌｢ビデオボーイ｣を欠かさず買っていたにもかかわらず、その横にあるパチスロ雑誌は完全にスルーしていた。しかしパラパラとページをめくっていくうちに……これまでの自分を黒魔術で呪い殺したい衝動がわき起こってきた。

　小役の取りこぼしを防ぐ通常時の打ち方だとか、ビッグ中のボーナスゲームを引き延ばすリプレイハズシ。はたまた台の良し悪しがわかる設定判別など、信じられない、まさに奇跡のような情報がこれでもかというほど載っており、さらに大きな見出しにはこんな文字が踊っていた。｢フル攻略なら設定1でも勝てる!!｣　え～と。自分、そんなことも知らずにクランキーコンテストのビッグ中もずっと順押しで消化していたんですけど。2年以上ずっと、パチスロは運と気合いでどうにかするものだと思っていたんですけど。そりゃ、負けるはずだわ……。

　とはいえ、ここでパチスロ攻略誌と出会えたことは自分にとって大きかった。すでにパチスロの技術的な基礎はできているわけで、あとはそこに理論を加えるだけ。その日を境に自分はパチスロ雑誌を貪るように読み始めた。もちろん金がないので一切購入はしなかったが、バイトの休憩を独断で引き延ばして例のパチンコ屋で勉強し続けた結果、気がつけばいっぱしのスロッターに成長していた(当時の愛媛には高設定などなかったので、それでも勝てなかったけど)。そして、そんなときに鳴り物入りでデビューしたのが、アルゼの技術介入マシン『花火』だった。

　以降、自分は高校生活の大半を花火に捧げた(花火が打ちたいので、もちろん焼鳥屋のバイトもばっくれた)。そして高校卒業と同時に、戦いの場を愛媛から大阪に移すこととなった。大阪は当時、7枚交換や8枚交換が主流。大阪のドヤ街、西成のあいりん地区で、逃亡犯のような心境になりながら7.6枚交換の花火を打つ日々。そんな日々がスタートしたのである。

《ビデオボーイね。。。うんうん。》

クズの成績表：★★☆☆☆（屑）

クズっぷりが発揮されてきましたね。残り物を食べる、勝手に調理するあたりは当たり前。ご発注を織り交ぜてくるあたりはさすが。原価の部分以外で店に損害を与えるとはね。

西成という単語にも期待が持てる。次回からも期待してますよ、さぁ行って来い!!

ちなみに私はアップル通信派。

田中氏の現在の素晴らしき活動はこちら!!

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田中（クズプロ田中→クズ田中→田中）: 代表作：あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~

パチスロ好きが高じて21歳の時にパチスロ必勝ガイドにてライターデビュー。若手時代は勝ちキャラだったものの徐々にクズっぷりを発揮し、昼はギャンブル、夜は酒をモットーに活動を行う。30歳で思い立ってフィリピンに英語留学へ行き、2012年の2月より世界の子ども支援を行うNPO法人セブンスピリットを設立。フィリピンのセブ島でNPO活動をしながら執筆も行っている。