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あのときオレはクズだった　第3回

田中（クズプロ田中→クズ田中→田中）あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~

ウルトラマン倶楽部３/サミー

【メーカー】サミー
【販売年月日】1998年3月
【タイプ】Ｂ－ＣＴ
(C)円谷プロ (C)BANPRESTO

【田中氏のコメント】
1998年の3月にサミーよりリリースされたCT機『ウルトラマン俱楽部3』。パチスロ史上初のCT機(発売はマンクラが先。型式試験の適合はクロスCTの方が早かった)と鳴り物入りでデビューした本機はそのゲーム性はもちろんのこと、設定6はエクストラ設定となっており、プレイヤーに｢万枚｣を強烈に意識させるマシンとなった。

高校中退を阻止するために作り上げた完璧なチームワークとは……

　厳しかった中学時代の反動もあってか高校に入ってからはパチスロにどっぷりとハマり、学校にも行かず親の金を拝借して毎日のようにピンクパンサーを打ち倒していた田中青年。とはいえ、高校は義務教育ではないわけで、そんな生活を続けていたら留年の可能性が高くなってくる。ただでさえ自分はバスケットで全国大会に行ったこと。中学での成績が学年で10番以内だったこともあって試験ナシの推薦入学で高校に入っていたので、たまに学校に行くと、担任をはじめとする周りの先生の視線が痛かった。

　このままでは、じきに高校をヤメることになる。だけどもそれは自分の望むところではなかったので、まずは学校に行き、人間関係の修復に乗り出した。大半の先生が自分をいないものとして、順番を飛ばして生徒に答えを言わせるそんな状況。もはや勉強で挽回するのは不可能だったため、考えた。そして、もっとも自分が嫌われていた数学の真鍋先生。彼が筋トレが大好きだと知ると数学ではなく個人的に効果的な筋トレの話を聞きに行き、他の生徒にバカにされていた政治・経済の先生とは積極的に世間話をして、英語の上原先生(女性)には恋の相談に行く。そんな日々を重ねていくうちに、それまでのイヤな空気はいつの間にか消えていた(上原先生にいたっては、夜、眠れなかったら私の家にきてもいいのよと言うまでになった)。そして、気がつけば先生の間で、いつしかこんな共通認識ができあがっていた。

　
｢あいつは勉強をしないし、けしてマジメではないけれど、人間としては本当にいいヤツだ｣　

　別に狙ってそうしようと思ったわけでもないのだが、そうなったらこっちのもの。いままでは家から公園を経てパチンコ屋に行っていたが、それからはまず高校に行き、朝のホームルームに出席。それが終わり次第、学校の近くのパチンコ屋に行くという生活が始まった。そして、仲良くなった担任の先生が教科ごとにあと何時間休めるかを計算してくれ、もう絶対に休めない教科があると自分のPHSに連絡がくる。そうすると、すぐさま休憩札をだして1時間だけ学校に戻る。まさに、完璧なチームワークを作り上げたわけだ。　

　その時期に打っていたのがサミーのマンクラことウルトラマン俱楽部3だった。CT中はすべてのリールがただちに停止するため目押しが正確なら狙った小役を必ず奪取できるという、伸び盛りだった目押し欲をくすぐるゲーム性。CT確定の赤7が揃うか、はたまたCTナシの青7が揃うかどうかの緊張感。CT連がばっちり決まったときの爽快感。そして5000枚や万枚という未知の世界を初めて意識したそのスペックは、なにより魅力的だった。　

　とはいえ、パチスロを始めて2年経つのにいまだ攻略誌の存在すら知らず、小冊子の情報のみを頼りに戦っていた田中青年。ピンクパンサーは7番台を、マンクラはカウンター側のカド台のみを打つという、立ち回りもひったくれもない戦略ではハイスペックマシンの恩恵を受けることはほとんどなく、戦車に竹やりで突っ込んでいくが如く、ことごとく返り討ちにあった。そして、やっぱり手持ちの金は底を尽きてしまったのである。

　金はない。でも打ちたい。だけど引き出しにはもう赤いがま口はない。でも右リールの下段に止まるチェチェ7が見たい。だけど金はない。……気がついたら、高校の教室にある教壇の上に立って、こう叫んでいた。

「お前ら、オレにありったけの金を預けろ。今週末までに必ず、預けた金を倍にして返してやるからっ!!」　

　そうやってなんとか集めた3万円を握りしめて、再びマンクラのカド台を打った結果は……。
　

　その週末から、田中青年は焼鳥屋でアルバイトを始めることになる。しかし、その焼鳥屋での出会いによって、さらにパチスロの魅力に引き込まれていき、自分のクズっぷりは加速していくのであった。

《おーい、みんな。オジサンの呼びかけに応えるとアレだぞー》

クズの成績表：★☆☆☆☆（KUZU）

なぜクラスメイトは田中氏に金を預けたのでしょうか？同氏のプレゼンに心動かされたのでしょうか？また先生に取り入るその決断力と行動力。それらキラリと光る部分を使う方向性は確かにクズです。その点は評価します。
クズではあるが、なんか釈然としません。良い機会ですので今一度はっきりさせておきましょう。
私は「クズだけどやれば出来る子」的なストーリーは期待していません。もっとこう掛け値ナシのクズっぷりを期待していますよ。

「クズ、くず、屑、KUZU」
なんとなく並べてみましたが、やはりカタカナのクズ感が強いですね。ただKUZUの存在感も捨て難い。

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田中（クズプロ田中→クズ田中→田中）: 代表作：あのときオレはクズだった~田中の回胴回顧録~

パチスロ好きが高じて21歳の時にパチスロ必勝ガイドにてライターデビュー。若手時代は勝ちキャラだったものの徐々にクズっぷりを発揮し、昼はギャンブル、夜は酒をモットーに活動を行う。30歳で思い立ってフィリピンに英語留学へ行き、2012年の2月より世界の子ども支援を行うNPO法人セブンスピリットを設立。フィリピンのセブ島でNPO活動をしながら執筆も行っている。

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