『せっかくフリーズ引いたのに』第11話

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11話
◆道

　1回目のチャレンジを失敗し、後がなくなった。
　打っていた『カバネリ』の背もたれに手をかけたその時、長髪ジャケットくんが声をかけてきた。

「待って。その台座らない方がいいよ」

「え？」

「だって“自分の台の設定を当てる”がルールでしょ？　キミが2回連続で答えず戻ってきたってことは2択にすらできてない。なら、もっと確実な台を選び直した方いいんじゃないかって」

「……もっと確実な台」

「ほら、さっき1問不正解しただけで殺されちゃった子いるじゃん。明示されてないルールがある。ってことは、逆に抜け道も存在するんじゃないか？ってぼくは思うんだ。ま、保証はできないけど」

　その抜け道ってやつがなんなのか、想像すらできない。それに──。

「そんな不確かな賭けに出る余裕も時間もないんですよ、こっちには」

「そっか。でも覚えておいて。残り4枠だと思ってるだろうけど実際は3枠だからね」

「え、まさか……」

「うん、ぼくの台の判別は完了してる」

「……なら、なんで解答しないんですか？」

「パチスロ楽しみたいからもうちょっと打とうかなーって。言ったでしょ、好き者だって♪」

　……やべーヤツだ。オレと比べてなんなんだ、この余裕。
　でも、彼の言うことにも一理ある。
　ちょっと一旦落ち着いて状況整理と確認をしてみようか。それでなにも掴めなかったら元の台へ戻ればいい。

　まずは電光掲示板。

・突破人数→3
・1回目不正解者数（ゲーム終了者は除く）→15
・残り人数→46/100
・生き残り枠数→4/46

　さっきチェックしたのとそんなに変化はない。

　なら、設置機種に見落としはないか？　彼の言う“もっと確実な台”ってのはなんなんだ？

　視線を動かすととある部分に違和感。

　解答し終わった台に札が置かれているんだけど、「ゲームオーバー」と「ゲームクリア」の2種類がある。

　……なんだ、これ？
　ゲームオーバーは間違えたやつら、ゲームクリアは正解者、ここまではわかる。
　でも、これ分ける必要あるか？　全部ゲームオーバーだって問題ないはずだよな？

　…………。
　もしかして、ゲームクリアの台を打ってもいいのか？　いわゆる“強くてニューゲーム”方式。

　だとしたら、キリン柄トロフィー出っ放しの『スマスロ北斗の拳』！　あれなら2択にできる！！　1ゲーム回してすぐ解答エリア行けばいい話だ。
　待て待て待て。その2択でしくじったら……？
　そうか、5か6かわかるくらいまでは回した方いいのか。1000ゲーム後の当たりで虹トロフィー出るかもしんないしな。
　いや、そもそも抜け道なんて存在しなかったら？

　そう考えたとき、オレの目と記憶がある台を捉えた──。

（続く）

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