【第9回】お題～もしも宝くじが当たったら～鈴虫君編

クズと虫とは？

元クズ田中氏と鈴虫君氏が同じテーマをそれぞれの視点で語るという連載企画。第9回は「もしも宝くじが当たったら」です。

鈴虫君編

2015年の年末ジャンボ宝くじの当選金額は、前後賞合わせて10億円と、1等の金額が過去最高額だったようだ。自分は宝くじに何の魅力も感じないので、これまで数回、それもバラ10枚しか購入したことないし、totoやロト6といったものも遊びで数えるほどしか買ったことがない。はっきり言って当る気がしないし、じつは当選者なんていないとすら思っているから高額当選のイメージがわかない。

それでも想像をかき立て、10億円が当たったとして話を進めていきたい。まず、パチスロ以外のギャンブルは一切絶つ。運のみで掴んだ大金なんてギャンブルで溶かす姿しか見えないから、ここを最大の難関として襲いかかるギャンブルの誘惑と戦っていきたい。

ギャンブルの誘惑に勝ったら、もう大金はすべて自分のもの。強者揃いの公営ギャンブル陣に勝った鋼のメンタルを武器にあれもこれも買ってやる…って、何を買えばいいのさ。宝くじが当ったら買いたいと人が願う家や車はまったく興味がないし、冷静に考えてみるとこれといった物欲がない。

そうなると貯金か。大きな病気を患ったとき、女性を口説くとき、後輩とごはんを食べに行くとき、実弾は必ず必要になってくるし、お金に余裕があれば心にも余裕ができて、そういった意味で裕福に暮らせるのは大歓迎である。正直、自分は身に余るほどの大金は欲していない。小さなことだけれど、昼のランチで本当はCランチを食べたいのに300円高いからAランチにしようとか、手持ちが少ないから飲みの誘いを断るとか、そういった悩みを抱えない程度の小金持ちでいいと思っている。

悩みは仕事面だ。どんなに大金を手にしてもこの仕事は続けていきたいし、10億円を手にして、残りの人生を遊んで暮らそうなんて思っていない。ただ、10億円を持ってしまったら、黒い鈴虫がどんどん大きくなって、反省すべきことだが余裕のない今ですら仕事で手を抜くときがあるのに、お金の余裕があるとさらに拍車がかかるかもしれない。結果、手元に残ったのはお金だけで、お金では買えないものを失ってしまうかもしれないから、結論をいうと大金なんていらないんだ。

いや、まてよー。やっぱりほしいなぁ。10億円はやりすぎにしても、1億円ぐらいならうまく使いこなせる気がするし、自分に甘くならない気がするんだよなぁ。この時点で少し甘えている気もするけれど、1億円が手元にあったら余裕が生まれるはずで、とりあえずボートレースに1千万は使ってみてもいいような気がしてきた。アカン、破産の道しるべがくっきりと見えてきたじゃないか。

やっぱり俺はダメだ。宝くじの当選金額は魅力的だし、日本全国の選ばれし強運者にのみ与えられたギフトだから否定はしない。でも、俺は働いて稼いだお金はもったいなく、降ってわいたようなお金は雑に使ってしまうので、せっかくの大金は溶けてしまうと思う。他人のお金には働いたお金も、それ以外で得たお金もなんの区別もないのに、自分のお金だけは働いて得たものに美しさを感じてしまう。

結論。自分に甘くなるほどの大金はいらない。ただ、数か月先の家賃を払うビジョンはほしいので100万円ぐらいなら、いつでも降ってくることを祈っている。