THE・アイドルマスターを目指して

私が生まれ育ったM県はおそらく日本でパチンコホールの営業時間が一番長い。
朝8時～夜12時までがこっちの定時だ。

他の地域のユーザーからは驚かれることも多いのだが、これに慣れてしまうとどうなるか...言わずもがなである。

しかし、入場抽選のために数百～数千人の並び列が構築されるような人気店はない。
なぜなら当県では入場方法が並び順であるからだ。ホールの設置台数以上に並んでしまえば座ることすら叶わないのだから至極当然の話だ。
それゆえに、他の人より早く並べば確実に目当ての台に座ることが出来る。あとは分かるね？

と、まぁそんな遊技環境に身を置きながらも私がいつも訪れるのは田舎の小さなホールだった。
いつ行っても同じメンツ、同じ台。まるで実家のような安心感がそこにはあった。

とてもパチンコ店とは思えない静かな空間に響き渡るのはいつもの台の音。
それに仲の良いスタッフとの談笑というほんの少しのスパイスが毎日の稼働をより味わい深いものに仕立て上げてくれた。

そんな中、私がいつも打っていたのは「アイドルマスターLIVE in SLOT!」だ。

マイスロの打ち込み要素に没頭していた私は全てのミッションをコンプリートしようと目標を立てた。

みなし機の撤去に伴い、近隣のホールから徐々に設置が無くなっていく中でも私の店は県内では最後まで設置をしてくれた。私のわがままを聞いて少しでも長くとお店側からの配慮だった。

そこから時は流れて最後の日はやってきた...
長らく営業してきたこのホールもついに閉業する時が来てしまったのだ。

奇しくも最終日は仕事が入っていたため、1日前倒しで朝から閉店まで打つことにした。
アイドルマスター、そして心地よい遊技環境を私に与えてくれたホールへの感謝を込めた魂の全ツッパだ。

朝イチから順調な滑り出しを見せた私は、

ハイパーBIG中フリーズ×4回
ノーマルBIG中フリーズ×3回
MASTER RUSH×1回

と、えげつないヒキでお昼を過ぎた頃には大量ストックを抱えて後は消化するだけだった。

まさかこの機会に拝むことが出来るとは運命なのだろうか...
数あるパチスロ機の中でもお目にかかるのが難しい部類とされるエピソードART全4話(+エンディング)を最後の最後でようやく出せたのはまさに僥倖っ...！桃源郷を彷徨うが如くの圧倒的至福っ...！

ENDの文字を見たときは自然と涙が零れそうになった。
いい年した大人がパチスロを打ちながら泣いている、そんな絵面はちょっとアレなのでなんとか耐えた。



そして閉店時間に......



スタッフから遊技終了を告げられ、お疲れ様でしたと笑顔で肩をポンと叩かれた。
長時間の遊技で凝り固まった肩の疲れや気負っていたものが一瞬で無くなるようだった。

一撃9846枚、あと少し届かなかった万枚もマイスロミッションのコンプリート未達成も全然悔しくなんてない。
私は成し遂げた。アイドルマスターへの愛、マイホへの愛を貫き通したのだ。


お世辞にも繁盛しているとは言い難かったが、今でも私にとってはどこの繁盛店にも負けない優良店だ。これはお世辞じゃ無いと断言しよう。

昨今は大型店の相次ぐ進出やみなし機の撤去問題もあり、私の地域でも中小店は苦戦を強いられているが、そういったお店にこそ頑張って欲しいと切に感じながら今日もホールに私は繰り出すのだった。

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