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SENZIN伝

SENZIN伝

2017.09.08

佐藤さん

タイルまん タイルまん   SENZIN伝


高齢者施設に勤めている介護福祉士の永遠のテーマ。


それは『この人に何をしてあげられるだろう』というもの。


その日の夜勤は、豪腕先輩と一緒だった。 夜勤はナースステーションと呼ばれ、利用者からは屯所と呼ばれる場所で、時間が余っている時は各々自分達の仕事を行なっている。

豪腕先輩はパソコンと睨めっこしていた。 たまに立ち上がり、眉間に皺を寄せながら今月のケアプラン更新者の紙を睨みつけている。

豪腕先輩とは、このSENZIN伝に1度登場した私の職場の先輩である。 昔はジャニーズ系、今は歳を重ねて見た目EXILEにいそうなワイルドな感じと様変わりしたが、どりたにせよイケメンである。何故うちいくTVのプロデューサーの様な肩書きで呼んでいるのかと言うと、オスイチGODを引いたり、沖ドキで簡単にフリーズ引いたりと頭のおかしな引きをする為である。 因みに酒癖が悪く、酔っ払うと金をばら撒く癖がある。


私は佐々木主任にどやされない様にと、別なパソコンでカタカタと資料作りをしていた。

「タイル、村上さんのケアプラン更新したか?」

恐る恐る後ろを振り向くと、厳しい顔でこちらを見ている豪腕先輩。 まだです……。一言呟くと、 「やって。」 一言返された。

この一言を解説すると 「お前は何故やっていない?ここに更新期限書いてるよな?急ぎではないけどもだ!しっかりそこは守れ!血祭りにあげるぞ!」 これ位の意味が詰まっている。

私は資料作りを投げ捨て、即ケアプラン更新に移った。 佐々木主任なんてどうだっていい!それより自分の命が惜しい!急いでプラン更新に励んでいると、ナースステーションの外から『ガタンッ!』と、何かが落ちた音がした。

音の鳴った方へ走っていくと、ナースステーションに1番近い4人部屋で異変が起きていた。手前のベッド柵が床に落ちていたのだ。
 


落とした犯人は、佐藤さんという男性SENZINだった。

佐藤さんは糖尿病が悪化して両目が失明していた。更に糖尿病の合併症で他の臓器にも爆弾を抱え、認知症も進行しており、寝たきり状態であった。

「あぁ!苦しい!水飲みてぇ!水飲みてぇよぉ!母さーーん!」

昼だろうが夜だろうが、ベッド上で叫んでいる。 叫ばれても心臓も患っており、負担をかけない為に水分摂取の制限があるのでたらふく飲ませられない。 1日1リットルといったところか。

そんな病気のデパート状態な佐藤さんだったが、力はある。170センチ程の身長で痩せてひょろっとはしているが、寝ながらベッド柵を抜くなんて造作もない行動である。

因みに。ベッドによって柵の形状などは異なるが、基本的には4箇所に柵を装着出来るベッドが主流である。 つまり、最大で左右の頭側に2点、足側に2点出来る。 4点柵をするとベッドから降りられない。降りるとしても柵を乗り越える形になる。


3ロックというものがある。 スピーチロック、ドラッグロック、フィジカルロック。

それぞれを簡単に説明しよう。

スピーチロックとは、「立ち上がるな」「〜するな」「ちょっと待ってて」といった、叱咤の言葉などで、SENZINの行動を制限する言葉を使用する事である。

ドラッグロックとは、昼夜逆転、徘徊癖があるなどの問題行動(周辺症状とも呼ぶ)を抑制やコントロールする為にSENZINに眠剤や安定剤の過剰投与する事である。

フィジカルロックとは、世間一般に知られている足や腕を縛ったりする拘束の事だ。他にも体を掻きむしったりしない為にミトンと呼ばれる手袋をはめたり、ツナギを着せて自分で服を脱げなくする事も拘束になる。 ひと昔前までは、ベッドや車椅子から転落の危険がある方々は紐などで縛りつけていた場所も多いらしい。


現在、これらの3ロックは立派な身体拘束で全国的に禁止となっている。 ベッドの4点柵もフィジカルロックの対象で禁止だ。 ただ、スピーチロックに関しては曖昧な部分がある。どこからがスピーチロックになるのか、明確になっていないからだ。

言い訳をさせていただけるなら、優先順位で、先にこちらをやらねばならない状態で声をかけられたりお願いをされると「ちょっと待っててね」など咄嗟に言ってしまう。「それはやってはいけないよ?危ないよ?」など優しく声を掛けるのも対象になってしまうのは現場の職員からすれば厳しいのも現実である。

何故この様な話をしたか?

たまには知識がある所をみせたいからだ。ただの阿呆ではない。 もう1つは、私が働いていた施設では決して身体拘束は行なっていないと主張したかったからだ。

佐藤さんが柵を抜いたベッドは4点柵ではなく、フィジカルロックに該当しない3点柵。 頭部の方の柵を苦しさのあまり、藁をも掴む思いで掴んで抜いて、抜いたはいいものの意外に重くて投げ捨てたのだ。


「佐藤さん……どうした?」

豪腕先輩が柵を拾い、ベッドに刺し直しながら佐藤さんに声を掛けた。

「苦しい!水飲みてぇ!」

「うん……水飲ませたいんだけど、医者からガブガブ飲むなって言われてるでしょ?」

「だけど飲みてぇ!」

豪腕先輩はため息をついた後、その場から立ち去り、コップに水を少しと氷を多めに入れて戻ってきた。 キンキンに冷えた水を少しでも摂取すれば飲んだ気になると考えた。

「ごめん、これで我慢して。」

そう言って飲ませると、佐藤さんはゴキュリッ!ゴキュリッ!と、喉の音を鳴らしながら美味しそうに飲んでいた。

「あぁっ!生き返った!どうもね!」

そう言って眠りについた。 私達は部屋を後にしてナースステーションへと戻った。

「確か佐藤さんってタイルの住んでる地域の人だよな?」

豪腕先輩がふと聞いてきた。 確かに佐藤さんは私が生まれ育った場所の出身だ。関わりは無かったが。

「どんな人だったんだろうな。」

何が趣味で、何を生業として生きてどんな暮らしをしていたか。 この事を知る事で、介護福祉士はそれぞれのSENZINに対してそれぞれのサービスを提供できる。個人情報にうるさい世の中だが、個人情報こそ命みたいな部分がある。

夜勤を終えて、帰宅すると母親と父親が茶の間でテレビを観ていた。 私は佐藤さんについて聞いてみた。同じ地域に住んでいたなら、私より長く住んでいる人間に話を聞いた方が早いからだ。都会と違い、田舎は大抵の人物の事は知っている。屋号を伝えれば一発だ。あー!あの人な!と、なる。田舎には個人情報保護も何もない。

最初は佐藤さんが誰か分からなかったみたいだった。しかし、そういえば……と、父親が口にした。

「佐藤ってあの中学校行く所の途中にある家の佐藤さんか。」

少ない情報で真実に辿り着く田舎ネットワークの恐ろしさ。名探偵も顔負けである。

「あの人はな、昔木こりやってたんだ。木こりやって材木場で働いて。でも土木関係者に多い病気になってしまってな。」
 


振動病。

チェーンソーなど強い振動の工具を長時間使用する職種の人に多い病気である。 他にもオートレーサーやラリードライバーにも多いらしい。 主な症状として手足の慢性的な痺れ、疼痛、握力の低下などがあるらしい。

「それで仕事が出来なくなったんだよ。ただなぁ……。」 父親は口籠もった。

「まぁ……佐藤さん夫婦は唯一の趣味があってな?俺は他人の事だし、干渉したくないから良いか悪いか分からんが……仕事辞めてからはパチンコ三昧だったんだよ。」


後編へ続く。

 

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タイルまん
代表作:SENZIN伝-僕らもいつかSENZIN-

祖母から父へ、父から自分へと脈々と受け継がれてきたギャンブルの血筋。何故か博才だけは受け継がれなかった哀れな駄目人間。
今日も貴方と同じ空の下の何処かで負けています。

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