新機能【健康】

『健康』

それは全ての人に欠かせないものでありながら、パチンコ・スロットとはあまり関連性のない要素、それどころかむしろ悪化させているのでは？とすら思われてきました。

しかし未来の新機能として見事な融合を果たすこととなりました。
考えてみれば、ゲームを利用した脳トレやフィットネスといった要素がウケたことからも、それは自然な流れだったのです。

まず、パチンコ・パチスロの遊技形式は基本的にイスに座って筐体に正対しながらハンドルを握るorレバー＆ボタン操作。ほぼ全ての人が同じようなかたちをとるということがミソです。

イスからは体重・操作デバイスからは脈拍・発汗・精密動作性等のデータが、筐体内蔵のカメラからは体形・視線の動き・顔色等のデータが集められます。

結果、打ち手の健康状態を台が分析し、適正体重やオススメの運動・食事を表示する機能が搭載されました。

「パチンコ屋に行って健康になろう！」

何かの冗談のような謳い文句で導入されたこの台「ヘルシー」は記録的な大コケをすることになります。

「体重を画面に表示されて恥ずかしい」
「遊びに来ているのに健康指導なんかされたくない」

遊技性を重視する打ち手のニーズを読み外してしまったことが要因です、
あくまで健康データの表示であってパチンコ・スロットとの融合とは言い難い台でした。

数年後、改良された「ヘルシー２」がデビューしました。

打ち手のデータ読み取り機能はそのままながら、打ち手をタイプ別に分類するようになり、大当たり告知でもタイプによって機械側が演出を変える機能が搭載。

高齢者には筐体が光ってキュインとなるようなわかりやすい告知で喜ばせ、
テクニック派にはリーチ目やサイレント告知等でニヤリとさせ、
ライトユーザーには派手で楽しい演出をこれでもかと繰り出す。

ハマりが続いてつい強打してしまうと、液晶には小学生時代に好きだったあのアニメの映像が流れて心をなごませ。高設定だけど打つのに飽きてきたと適当打ちを始めると、突然台から奇声が響いてきて不安にさせたりもします。

もちろん健康面の機能もパワーアップ。
わかりやすいが事務的で味気なかった表示方法が一新。
演出中に無理なく、打ち手の好みに合わせたセリフを言ってくれるようになりました。

萌えキャラ「もうすこし身体を鍛えたらもっと好きになっちゃう（はぁと）」
イケメン「今夜のメニューはオレの好物ところてんにしな、ヘルシーだぜ…」
アクエリオン「あなたと合体したい///」

あなたのモチベーションもグイグイ上げてきます。
口コミが広がるにつれて設置も広がり、一躍ヒット機種となります。

しかし同時にホールから一人、また一人と打ち手は減っていきました。
そう、「ヘルシー２」に健康という名の射幸心（？）を煽られた人々が、
健康管理に夢中になり打ちにこなくなってしまったのです。

「健康」は適度に楽しみ、のめりこみに注意しましょう。
いつしかそんな広告が出るようになりました。

5