- パチセブントップ
- コミュニティ
- パチ7自由帳トップ|ブログコミュニティ
- コラム(ブログ)詳細
1/1865
1/1865
-
玉のゼロさん
すっかり使われなくなっちまった。 そんな哀愁を込めてこの名前を着けました。 - 投稿日:2017/05/15 03:34
2015年6月2日の話。
『今日、打ちに行きませんか??』
おおよそ5年ぶりに、とある男から誘われた。その彼は連れ打ちした帰りに『禁パチ宣言』をしてから、一度も打っていない。
『もう辞めた!』と大敗した夜に言う軽い言葉ではない。
『嫁と家族の気持ちを両立させるには、俺が実家のとなりに家を建てなきゃならないんで』
その言葉には芯があり、週に6回は打ちに行っていた彼は鋼の意思を貫き通した。
その宣言から5年が過ぎ彼はこう言った。
『この仕事も秋には辞めなきゃいけません。居心地良くて長居しちゃいましたが、バカな息子を育ててくれた親を助けなきゃいけないので、農家になりますわ』
『そっか・・・』
バカな上司の私はこれしか言えなかった。
『俺、バカなんで退職届の書き方教えてくれませんか?』
その言葉を受けたバカな私は
『退職届 テンプレ』
と、検索した。
そして、こんな感じで書くみたいよ。と印刷したテンプレを渡し、バカな私は告げる
『でもわざわざ退職届出さなくても口頭で大丈夫だよ、本社から送られてくる退職書類にサインで手続きは問題ないから。』
そういう私に
『いや、俺の気が許さんのですよ。もし長渕剛が同じ事を言われて了承すると思いますか?私は想像できません。お世話になった以上礼儀は通さなければダメなんです。』
義理と男気が服を着ているようなこの男に掛ける言葉ではなかった、長い間共に苦楽を共にしてきた彼にかける言葉の悉くを間違える、言葉をかけられなくなり沈黙する私に彼は言った。冒頭の誘い、
『今日、打ちに行きませんか??』
嫁に遅くなる旨を告げる、返事はない。
仕事が終わり、よく連れ打ちした店舗に向かう。
『羽根物の楽しさを教えてくれましたね』
彼と打ちにいっていた当時は併設店だったが今はスロ専、ミラカペも羽根セブンもデカチューも今はない。
『忍魂楽しかったすよね』
スイピン来た!と微笑む彼が懐かしい、だが初代はもうない。
入店した刹那、彼は耳を疑う発言をする。
『GOD打ちましょう』
彼が選択したのは神々の凱旋だ、家を建てるため遊びも酒も我慢し続けていたのにその機種選定でいいの?
『俺様の凱旋ってね』
おどけて笑う彼は、昔の顔をしていた。あの顔を。そこに意を唱える余地は無し。
『一番並んで打ったの銀河でしたね』
言われてみれば銀河英雄伝説をよく並んで打った、朝から、昼から、夜から、時間を問わずこの店で。初当りのGSRは少ない方がコーヒー奢り、継続バトルに入ると打ち手交代して毎ゲーム
『それがどうした!!』※確定演出
とレバーオン。
ああ、楽しかったなー。あの頃はもっといっぱい会話をしてたね。今じゃ、ほとんど業務連絡だけだもんな。
彼は好調そのもの。
だが、私は揉みと投資の繰り返し。
決して良い展開ではないが二人の思出話は途切れない、そんな中で彼の液晶が途切れる。
『左を押してください』
彼と握手を交わし、彼は二度目のGODを揃える。
私は万札をサンドにぶち込む。
隣に浮かぶ城を眺めながらレバーオン。
『あっ・・遅れた・・ってちょ!!』
それが興奮しすぎてブレブレになってしまってる冒頭の写真。
遅れ+右PUSH点灯。凱旋初のGOD揃い。
『まだまだ、いっぱい話せそうですね』
と、笑う彼。
もはや上司の威厳なんて必要ない。
君と楽しく話せば話すほど叱れなくなる。
私は弱いから、臆病だから、
君を避けてた訳じゃない、嫌いでもない。
話したい、大好きだ。
だけど、それをしたら私は上司じゃいられないんだ。会社に求められる姿を作らなきゃいけないから。君に家族がいるように私も家族がいるから、お客様に暴言を吐いた君を叱る私はどんな顔してたかな、道理的に正しいけれど、社会から許されない暴言を吐いた君を称賛したい私はどんな顔で君を叱ったのだろう。
『どしたんすか?暗いっすよ?』
こんな上司でゴメンな、いつも助けてくれてありがとう。
その言葉が言えなかった。
なんでもないよ、それすら言えない私に彼はこう言った
『主任、いいですか?ひとつハッキリしてますよ、今この店で一番楽しいって思ってるのは俺らっす!!』
彼が拳を突き出す。
昔の私が目を覚ます。
私も拳を合わせて。
『ったりめーだ!!』
365×5=1865
おおよそ1865日ぶりの並び打ち。
並んで浮かんだ城は二人を繁華街へ運んでいった。
21
玉のゼロさんの
共有する
このコラムへのコメント(16 件)
ありがとうございます。
なんか、最近も悩みというか中間管理職としてのストレスが多くて悩んでたんですが、なんだか救われた気がします。
人の上に立つ力がないから下の人を大事に考えられるんじゃないでしょうか
会社側と労働者側で悩まれたことも一度や二度じゃないでしょう?
悩んだ時点であなたは他人のことを大事に思えるんですよ!
素晴らしいじゃないですか!
昔にすがってばかりいられませんが、
社内で孤独を感じる今日この頃です。
最後の一番楽しいって思ってるのは~のくだりがとても良いですね^^
読んだこっちも胸がぽかぽかします^^
私はダメな人ですよ、
上に立つ力がないのに立ってしまった。
はじめまして、コメントありがとうございます。
神がいたから、私は色んな人に出会えてここまで生きてこれました。
神は実在したんですね。
いい話でした。
コメントありがとうございます。
何故彼が打とうと思ったのかは自惚れかもしれませんが私と話がしたかったのかと。
なんでも話した仲でしたが彼が打つのを辞めてからは自然と距離が離れていき、仕事の話はしますが業務の中で信念を曲げない彼とは何度もぶつかりその度に自分が会社の犬に思えては彼との関係性は私が一方的に塞ぎ込んでいきます。
あの頃に戻って、二人で笑い合えるキッカケはこれしかないと思ってくれたのかもしれません。
楽しく打ち、楽しく飲み、そして二人とも嫁さんに怒られた日でした。
死ななきゃなんとかなるべ、と20代前半を過ごしましたがそうも行かなくなった20代後半。
家庭を守るために、私は変わりました。
このコラムに出てくる彼はカッコ良かったですよ、私の憧れです。
今もFacebookで彼の農家としての戦いを見てますがたまに涙が出てきます。