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パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-

2018.06.12

『スタート』~攻略誌編集部へ

ラッシー ラッシー   パチスロワイルドサイド-脇役という生き方-


ふと壁掛け時計に目をやると、長針が真っ直ぐ天を指し、短針はその影のごとく綺麗に地を向いていた。そろそろ夕飯を作る頃だ。外はすっかり暗くなっているだろう。ずっと遮光カーテンを閉めているため分からないが。

読みかけの本に「しおり」を挟み、台所に立った。といっても、ちゃんとした料理ではない。いや、ちゃんとした料理を食べることなど許されなかった。沸騰したお湯に炊いた白米を入れ、かつおだしと塩で味付け。たったそれだけ。当時はこの塩粥だけを食べて暮らしていた。

前職を辞めて1ヵ月が経った。パチスロ攻略誌の編集部に履歴書と作文を送ったが、返事はまだない。やはりいくら募集が出ているとはいえ、大卒でもない俺が書類選考を突破するのは無理があったか。

 

 

★イラク派遣

ちょうど塩粥を食べ終えた頃ケータイが鳴った。液晶には「お母さん」の文字。俺は大きく溜め息をついたのち、通話ボタンを押した。

――「はい」
母親「なにしった? ちゃんと食べったが?」

――「今、夕飯終えたとこだよ」
母親「それはよがった。で…この前の話、考えでけだ?」

――「んー…」

この前の話――。 仕事を辞めて以降、母親は頻繁に電話を寄越していた。そりゃ無職になった息子を心配しない親などいない。当然その気持ちは嬉しいが…。

母親「そろそろ応募すねど、もう来年度さ間に合わねぐなっからよ」
――「そう言われても…俺が自衛隊なんて」

母親「自衛隊さも映像記録部門あるらしいがらよ」
――「そんなん知ってっけど…」

母親は俺に自衛隊入りを強く勧めていた。もちろん「防衛大に入れ」などという素敵なお話でない。自衛官になって、今すぐイラクに行って来いというのだ。時は2003年。ちょうど日本がイラクに向け自衛隊を派遣しはじめた頃だ。

母親「イラクさ行って、お国のために働いで来い」
――「昭和か! いつの時代のセリフだよ」

母親「いづまでそんな生活してんなや?」
――「分がったって! もう次の仕事んどさ履歴書送ったがら大丈夫だ」

母親「んだの? でも、それで仕事決まんねならイラクだがらね?」
――「…はいはい。んだらね(ガチャッ)」



イラクって!!

そんな都合よく映像記録部門に配属されるわけないし、新米自衛官がイラクに派遣されるわけねーだろが! それに息子を戦地に派遣したいとか昭和かよ! 普通嫌がるとこじゃないの? 事態は思いのほか深刻だ。仕事が決まらないと実家へ強制的に戻され、自衛隊に入れられてしまう。そんなに簡単に入れるのかは不明だが、たしかに実家の近所には自衛官が何人かいた。


履歴書と作文(提出課題)を送ったのは、大手三誌のうちの一誌「H」だ。ココを選んだ理由は2つある。俺の中ではHとMの2択だった。Mへの憧れも強かったが、当時のライター採用試験は厳しく、ビタ押しが100%でないと受からないとのウワサだった。対してHはビタ押しなどの技術にこだわらず、バラエティー色の強いライターも多数在籍している。あまり格好良くはないが、消去法的にHを選ばざるを得なかった。また、Hには昔からずっと憧れているカリスマライターがいた。もちろん自分がその人のようになれるとは露ほども思っちゃいないが、同じ現場で仕事をしてみたいという気持ちがあった。

Hがダメなら、残る二誌に当たってみよう。それでもダメならイラクだ。残弾はたった2つ…って、なんかすでに自衛隊っぽい考え方してるぅぅぅ!


俺がこの無職生活を送っていたのは、まさに4号機「パチスロ北斗の拳」がデビューした頃である。
 

▲4号機「パチスロ北斗の拳(サミー)」

改めて書くまでもないが、史上最も売れたパチスロ機がこの「パチスロ北斗の拳(以下、北斗)」だ。累計販売台数は約62万台に上る。仕様はストック+ATのCタイプ。
 

大当たり「バトルボーナス(BB)」は継続率管理で、継続率は66%・79%・85%・89%の4段階。1セットは10GのATとREG(JACゲーム)で構成されており、継続抽選にパスすれば再度AT10G+JACゲームを消化できる。
BB中の純増は約+2.7枚で、1セットを消化すれば約140枚を獲得できる。また、通常時の前兆演出やBB中の継続率示唆演出も作り込まれており、それもプレイヤーの心をガッチリ掴む一因となった。



世間は徐々に北斗で盛り上がりつつあったが、無職の俺が満足に打てるハズもない。腰を据えて北斗を打つようになるのは、もう少し先のこと。この頃はたまに新台やノーマルタイプを打ちに行く程度だった。

そのほかの娯楽といえば、たまに行くボウリングくらい。貯金も尽きかけ、二誌目に履歴書を送ろうかと思っていた矢先、待ち望んだ吉報が届いた。書類選考を通過したので面接を受けに来いと!

 

 

★試練

数日後――。

「あっ、あっ、あー。あいうえお、あーいーうーえーおー」

面接時間の少し前に現場に行き、近所の公園で発声練習。この2ヵ月、電話で話した以外は独り言を喋った程度。面接で声が出ないようでは、パチスロライターになどなれるわけがない。10分ほどで喉を仕上げ、いざ面接へ!


通されたのは、パーテーションで区切られた編集部の一角だった。面接官は思いのほか若い。自分と10歳も離れてなさそうだ。面接官は軽く挨拶したのち、履歴書と作文に目を落とした。

面接官「作文、よく書けてるね」
――「ありがとうございます」

作文なんて久しぶりだったので、少しだけホッとした。

面接官「映像の専門学校を出てるんだ?」
――「はい、今年卒業しました」

面接官「で、○○(制作会社)でアルバイトを?」
――「はい、短い期間ですが」

面接官「○○の社長なら知ってるよ。そうか…もし…」
――「もし?」

面接官「これから動画の時代が来たとして、君はディレクターもできるのかな?」
――「えっ!?」

ディレクションの経験はない。制作会社ではADだったし、学生時代も監督作品はない。助監督なら何度か経験しているが…。でも、ここで折れたら負けだ!

――「できますよ、もちろん」

面接官「それはイイね。ちなみにパチスロは勝ってるの?」
――「いやぁ、あまり勝っては…」

面接官「目押しは出来る? ビタ押しは?」
――「100%ではないですが、それなりに」

面接官「じゃあ最近なに打ってるの?」
――「う~ん…『二代目五右衛門参上』ですかね」

面接官「ぶははは! 絶対負け組じゃん!」
――「なっ、なんでですか!!」
 

▲4号機「二代目五右衛門参上(ミズホ)」

2003年の11月に登場したAタイプストック機。通常時のモードは「通常」と「連チャン」の2種類のみで、連チャンモード中は毎ゲーム1/8と高確率でボーナス放出抽選が行われる。
連チャンモード移行率はボーナス放出時の50%だが、設定6だけは31%程度。つまり連チャン率が極端に低ければ設定6の可能性が高まる。またボーナス放出当選時は、3Gの前兆を経て告知される。この3G間の演出がアツい。明らかにエラそうな雷雲が3G連続で出現したり、覗いた風呂に男がいればチャンスだ。今こうして改めて書いてみると、本当に面白いかどうか疑問ではあるが…。



――「前兆が面白いんですって!」
面接官「ああ、それよく負け組が言うヤツ」

――「アルゼが好きなんです!」
面接官「今はやっぱ北斗だろ。あとはサンダーバードとか」

――「あまり打ててなくて…」
面接官「まあ、ウチに入ればパチスロなんてアホほど打つことになるから」

――「それはいいですね」
面接官「あと、ちょっとコレやってくれない?」

目の前に1枚のプリントを差し出された。

面接官「なぁに、簡単な漢字テストだよ」
――「か、漢字テスト!?」

突然のことに困惑したが、冷静になれば当たり前ともいえる。ここは出版社なのだ。漢字に弱いようでは使い物にならない。しかし、本当に困惑するのはこのあとだった。

面接官「じゃあ、俺は20分後に戻って来るからやっといて」
――「えっ!? あ…はいっ」


パーテーションで区切られたスペースで、1人きり漢字テストを受ける。さて、これをどう解釈すればいいのだろう。

① カンニングしない誠実さを見ている
② 調べてでも完璧に遂行する能力を見ている

どっちが答えだ!? まだスマホなど無い時代だが、当時のケータイでも漢字を調べることなど容易い。もし分からない問題を空欄のまま提出したら「なぜ調べなかった? ケータイで調べられただろう。そんな融通のきかないヤツはいらない」などと言われるのではないか。いや待て! 一見すると密室のように見えるが、パーテーションの隙間から覗かれているのでは? ケータイを出して調べようとした瞬間に面接終了…なんてことになったら!?

もはや自力で解く以外に道はない。さあ、どんな難問でもかかって来やがれ!

えっ? なにこれ簡単じゃん……。

結局、途中でペンが止まることはなく、あっという間に全問終了。多少、出版業界で使う言葉が出て来る程度で、カンニングをするまでもなかった。しばらくして面接官が戻って来た。


面接官「どれどれ…ん~、漢字も全く問題ないね」
――「ありがとうございます」

面接官「で、君はなんでライターになりたいの?」
――「そうですね…」

面接官「有名になりたい?」
――「いや、そんな…。これまでホールで色んな人に出会ってきました」

面接官「うん、それで?」
――「今は技術介入というより知識介入時代じゃないですか。いかに内部システムや解析数値を知っているか、みたいな」

面接官「そうだね」
――「よく行くホールには知識がなく、若いプレイヤーから食い物にされている常連客が多かったんです。そんな人たちに知識を広められるようなライターになりたいです」

面接官「そういう人たちは、そもそも攻略誌なんて読まないんだよ」
――「…たしかにそうかもしれません。でも俺はスロプロのためじゃなく、初心者のための雑誌を作りたいんです」

面接官「うん、よく分かった。今日はありがとうございました。結果は後日電話します」
――「ありがとうございました! よろしくお願いします!」

出版社を出ると、異常なほど喉が渇いていることに気が付いた。自分が面接で言おうとしていたことの8分の1も言えていない。こんなことなら友人を呼び出し、面接の練習をしておけばよかった。そう後悔しながら駅を目指した。


数日後――

電話が鳴ったのは筋トレ中だった。来たるべきイラク派遣に備えていたわけではない。単純に筋トレくらいしかやることがなかったためだ。電話の液晶には見慣れない番号が浮かんでいる。

――「はい、五十嵐です」
面接官「このまえ面接した○○です」

――「は、はいっ!」
面接官「いつから出て来られる?」

――「え…それは採用ということでしょうか?」
面接官「ん~、まあそうなんだけど…」

――「え…(なにこの歯切れの悪さ)」
面接官「ウチ商業誌だから、どこの馬の骨とも分からんヤツにいきなり文章任せるのもどうかと思ってね」

――「は…はぁ?」
面接官「実は今、編集部員が足りなくてね。編集なら即採用だけど、どうする?」

――「編集部員!? …僕にできますかね?」
面接官「大丈夫! スグに慣れるから」

フラグだ! いやなフラグがビンビンに立ってやがる!! しかし…Hに入るまたとないチャンスだ。ここで断ってしまったら、道が断たれてしまう。え~い!

――「やります! あくまでライターを目指しますが」
面接官「おお、いいね! 下積みだと思って頑張って!」

――「頑張ります!」
面接官「で、いつから出られそう?」

――「ヒマなんで明日からでもスグに」
面接官「いやいや、もう年末で忙しくて誰も仕事を教えてあげられないから、そうだなぁ…年明けの1月12日なんてどうかな?」

――「大丈夫です!」
面接官「じゃあ1月12日の朝10時に編集部来て。服装は自由だから」

――「分かりました! ありがとうございます!!」

電話を切り煙草に火を点けると、スーッと冷静になる自分がいた。

――「…俺、ダマされたな」


かくして俺は「編集部員」となった。


 

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ラッシー
代表作:パチスロワイルドサイド -脇役という生き方-

山形県出身。アルバイトでCSのパチンコ・パチスロ番組スタッフを経験し、その後、パチスロ攻略誌編集部へ。2年半ほど編集部員としての下積みを経て、23歳でライターに転身。現在は「パチスロ必勝本&DX」や「パチスロ極&Z」を中心に執筆。DVD・CS番組・無料動画などに出演しつつ、動画のディレクションや編集も担当。好きなパチスロはハナビシリーズ・ドンちゃんシリーズ、他多数。

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